8th August, 1999
帰る日に。
さよなら、神戸の夢 ![]() 夢のような神戸公演(新幹線の駅のすぐそばの劇場ということもあり、そこが神戸だということさえ夢のようでした!)も、ついに最後、という、8月8日15:00の公演。終わったら新幹線に乗って帰る、ということが、とても不思議な感じでした。 お席は、Q20番。最前列の、センターよりほんのちょっと右寄り。夏公演の、ベストポジションでした! ![]() 【当然日替わりは、はじまっています! 小野妃香里さん一座】 神戸公演4回のうちに、日替わりはスタートするか? していました。口火を切るのはもちろん、小野妃香里さん一座です! お笑いのオーディション有で選ばれたお二人を迎えた新・海賊トリオと小野妃香里さんルーフ・メロウの最初の日替わりポイントは、『夏休み ルーフ・メロウ国語教室』! 先生・妃香里さんルーフ・メロウの質問は「海里とはなんでしょう」。それへの海賊トリオの答えのセットが、日替わりポイント。初日11:00は「見返り」「宙返り」「カーリー」でしたが、その日の15:00からは「見返り」「でんぐり返り」「カーリー」。「宙返り」は初回限りかと思っていたら、その後大阪で目撃されたとの情報も。今後必ずや、新ネタが生まれそうなスポットです! 前述の「宙返り」と「でんぐり返り」が単なる変更かと思って油断していたら、全く予想していなかったところに、神戸公演千秋楽で日替わりが! 美奈子・亜美ちゃん・まこちゃん・ほたるの四人組と綱引きをして、コート姿のルーフ・メロウがひっぱり出されてしまった場面で、妃香里さんルーフ・メロウが叫んで立ち去る言葉「アディオス・タコス・ペペロンチーノ!」。これに対して内部ちゃん(今回の公演では、ほたるが微妙に内部化してます【笑】)サイドから「メキシコ人!?」と突っ込みが入るこの場所、神戸千秋楽では「ニーハオ・メンソーレ・ヒヤソーメン!」「中国人!?」のセットに変換! ナンセンスものだけに、今後の言葉遊び、楽しみです。 ちなみに8月8日15:00の回の妃香里さん、海賊トリオさんの演技を見るシーンで思わず笑ってしまう、という場面が何度も。『夏休み ルーフ・メロウ国語教室』でも、『フォーメーションA』でも、吹き出すように笑う妃香里さんの表情が印象的でした! 日替わり・お笑いを打ち出している妃香里さんルーフ・メロウ一座ですが、ルーフ・メロウの心のかわいらしさも、春公演よりさらに深まっています。春公演では自分の気持ちがよくわかっていなくて「これが、むねやけ。」と小首を傾げて口にしていたルーフ・メロウのイノセントな可愛さが、ほころびかけのつぼみのようにいとおしかったこの場面、夏公演ではもう少し自分の気持ちの正体がわかっていて、それが思うようにコントロールできなくていやいやをしているルーフ・メロウが、なんともかわいい。理屈では、春公演のようなイノセント系のほうが物語的に高度かも、などと考えてみても、いざ目の前で「もういいよお前たち、どっかいけよ!」とか、「…そんなんじゃ、なおんないよ」などと、あんな声で言われたら、たまらないいとおしさがこみあげてきてしまいます。圧巻。 ![]() 【最後をしあわせな気持ちにしてくれて、ありがとう。天野さんまもちゃんの笑顔】 8月8日15:00の回は、天野さんまもちゃんのにこやかさがいろいろなところで見られて、うれしい回でした! 『愛より宝石かぐや島』のあいだ、甲板の高いところ(プリンセス席!)にひとり、ゆったりと座って見下ろしている天野さんまもちゃん。そのロイヤルシート(クイン・ベリル様が座っていそうな席!)にふさわしく、ゆったりとしたしぐさになった、“ペリドット”で立ち上がるしぐさの後、この回はにっこり、かわいらしく笑ってくれました! かぐや姫の伝説が語り出される前の「どこかで聞いたな」のセリフのときも、この回の天野さんまもちゃん、にっこり。この笑顔、ややもするとどたばたに走りすぎてしまう場面全体の印象を、しっとりと落ち着かせる重要な笑顔です! かぐや島に流れ着いてから、うさぎちゃんにひどいしうちをされてぷんぷんなまもちゃんですが、この回はいつもより特に、『ウエルカム ハレハレヒレハレ』でうさぎちゃんににこにこされると、にこにこと機嫌を直すまもちゃん、の印象が。そういうところが、まもちゃんの性格の良さを表していて、天野さんまもちゃんの笑顔、大切です。 こんなところでまで! とうれしかったのが、うさぎちゃんとキスしようとしていたところをみちるとはるかに発見されて、はるかに「余裕だな」と言われたときの天野さんまもちゃん。この回、はるかにそう言われてすっごくうれしそうににこにこしている天野さんまもちゃんを見て、しあわせって理屈じゃなくてこういうものなんだ、と、しみじみ感じてしまいました。 まもちゃんのやさしいところをいっぱい感じさせてくれたのが、ネコが宝石を返してと言ってるというのを聞いてもらえないでふくれてるちびうさを見ているときの、天野さんまもちゃんの笑顔。亜美ちゃんが熱がある、というときにはあわてて騒ぐことはしなくても、ほたるが具合が悪そうだと顔色を変えて駆け寄るような、子供好きでやさしいまもちゃんを感じさせる笑顔、いいです! 神戸の最後、しばらくセラミュとお別れになるこの回に、しあわせであたたかい気持ちにしてくれて、ほんとうにありがとう! です! ![]() 【新たな芽生えの、予感。天野さんまもちゃんフレンドリーチェック】 『愛より宝石 かぐや島』で上甲板にあがっていく天野さんまもちゃん。8月7日の回、誘導の水夫さんに向かって、とてもきれいににっこりと笑いかけた結果が、早くもここに! 見送る水夫さんが、甲板をあがっていく天野さんまもちゃんに、なんともフレンドリーに手を振って見送ってくれていました!(おそるべし、天野さんまもちゃんのキラーぶり!) フレンドリーとはほど遠いですが、海の怪物にやられる天野さんまもちゃんのやられかた、この神戸千秋楽が一番すごかったです。逃げるときも足許が定まらずよろけるほどの逸品。これから大阪・岡山・東京と、27公演を重ねる中で、このシーンがどういう完成をみていくのか、どきどきします! 突発的フレンドリーも。うさぎちゃんがひろってきた食べ物をみんなで食べるシーンの後、栗山さんまこちゃんと稲田さん美奈子ちゃんが食べ物を片づけて退場するところで、持ち去るはずだったフランスパンが落ちてしまうというアクシデント。天野さんまもちゃん、すかさずそれを拾いあげて(こういう動作は、ほんとうにかっこいいです!)、さあどうするかと思ったら、うさぎちゃんと一緒に退場するときに、うさぎちゃんにあげてました(笑)。一番うさぎちゃんの性格等々を踏まえた正解だと思ったので、うれしくなりました! ![]() 【そうか、そうだったのか。Part 3 船上の愛の謎】 まもちゃんにとことんじゃけんにされている河崎美貴さんキャプテン。あんなに美人なのにー、と、レア・ルビー姐さんにはにっこにこのまもちゃんの嗜好を謎に思ってみたり、してました。 が、全員で踊ることになった『ウエルカム ハレハレヒレハレ』の最中、史奈さんうさぎちゃんがまんざらでもなさそうな(というより、にっこにこな)表情をしているのを見て、ふと思ったこと。 この舞台の上では、変装したジルパ・サファイヤのキャプテンが、男だと思われている、ということになっているのでわ? そうだとすると、「好きなんです!」と言われて「何いってるんですか!」という天野さんまもちゃんのの泣きそうなリアクションも、ある種ノーマルな反応かも、と納得。でも、聖子さんプーの白衣の下の水着を目の前にして、女の子達と一緒に頭をかかえてるような天野さんまもちゃんには、あまり説得的な説明にはならないかも(笑)。 ![]() 【語りたいもの。ナオさんウラヌスのダンス】 フレンドリーチェックがあまりにも楽しくて、それに追いやられてしまいがちな、でもどうしても語りたいこと。 それはやっぱり、ナオさんウラヌスのダンスです! ダイナミックなダンスシーンは、やや減ってしまった感があるものの、ナオさんの動きにどきどきできる場面、たくさんあります。 夏公演では『愛より宝石 かぐや島』で宝石の説明ひとつひとつに全員参加のマイムがついて、そこでのナオさんの動きが、指先一本一本の軌跡までほんとうにきれい! その手の動きで描き出されたかたちは、まさにしあわせを呼ぶ宝石。限りなく貴重です。 『ウェルカム ハレハレヒレハレ』ではあどさんダーク・メノラーとの日替わり攻防は見られなくなってしまいましたが、全員揃ってのダンスで、ナオさんの動きの美しさが際立ちます! ジャズダンスシティ関係のダンス公演でもそうでしたが、全員同じ振り付けの群舞でもがぜん光を放つナオさんダンス。そういう特質が、セラミュ舞台の上に降り立ってます! 戦闘シーンでは、河崎美貴さんジルパ・サファイヤとの殺陣が、華麗でダイナミック。ナオさんウラヌスが、地面に片手を突きながら斜め上方に剣を突きだした状態での静止ポーズ、ミュージカルならではの様式美を感じました。 天野さんたきしーどかめん様が、ばっ、と銀の苔を撒き散らした場面では、足首から足を包む手をゆるやかにすべらせていくナオさんウラヌスのマイムで、暗黒病が治っていさまが見事に表現されています。ストーリーを語る上で重要なこのマイム、そのかたち自体も静かな美しさがあって、必見です! 『LINK』では、“次のリンク あなただと”と歌が切れ、史奈さんムーンのソロへと続くところでの、足を後ろに蹴上げてのターンが小気味よく。 そして、セーラー戦士の決意を示す『セーラーWAR!』で、ナオさんはるかが一度握りしめたこぶしを、ゆっくりと握りなおす、そういう内面性を感じさせるしぐさが、深く印象に残りました。 ![]() 【たまらなく、はるからしさ。この公演で光るもの】 風土病で、うさぎ達に弱みは見せずに、黙って頑張ろうとしたはるか。 こういう“はるからしさ”が光ったのが、今回の公演のナオさんはるかでした。 本公演の華といえる、みちるとはるかの二人きりのシーンの他にも、風土病は、“はるからしさ”を浮かび上がらせる数々のシーンを生みました。 みちるに何度も支えられなければならないほどふらふらなのに、戦闘シーンで倒れるのは最後なウラヌス。そして、治療のための銀の苔が舞い散るや、一番最初に立ち上がるのもウラヌス。身体に残った力を限界まで使い尽くす、ある種のもろさをはらんだウラヌスの“強さ”が表れていて、感動でした。 心情的にうったえかけてきたのが、はるかの「僕達は、困ったときの戦士だからな」。平易で、華やかさも、煽り立てるような悲壮感もない普通の言葉“困ったときの”。それが、ぎりぎりの場面で使ってのけられるあたりが、すごい、と思いました。それをすんなりと、淡い笑みとともに口にするはるかのキャラクターが、くっきりと立ち上がるせりふ。すごい、としか、いいようがありません。 ![]() 【帰る日に。】 たくさんの、たくさんのものを見せてもらった、神戸での4公演。 これが全公演の8分の1ぐらいでしかないということに、ちょっと、驚いています。 そしてセラミューは、サンシャインに“帰り”ます。一番たくさんの公演が行われる、舞台装置もきっとここに照準が合わせられている、“本拠地”サンシャイン劇場。 そこでは必ず、神戸とは“違う”ドラマが生まれるはず。 その予感に、どきどきしています! ![]() |