賭事女王

GAMBLE QUEEN

Episode 3
(1999年10月25日放映)


■ 脚本 ■ 羽原大介
■ 演出 ■ 関卓也
■ 出演 ■
高倉紫乃:園原佑紀乃  高倉藍:木内晶子  高倉桃:内藤陽子  高倉朱々:一戸奈未
一馬:天野浩成  サミー:稲宮誠  師匠(猪熊伍郎):横山あきお  高倉賢:石丸謙二郎
雀鬼ファウスト:萩原流行  雀:岡元あつこ  桃の彼(?):久永輝明



 これまでの物語を綴る短いカットの連続の後、師匠ちゃんの「勝負に勝ちたければ、まず牌の声を聞け」というお言葉から、第3話ははじまります。
 「何いってんの」「麻雀牌がしゃべるわけないでしょ」という態度の桃姐、紫乃ちゃんに対し、「もーしもーし」と牌に耳を当てる朱々ちゃん。
 「牌はしゃべる。牌は生きているのだ」という師匠ちゃんに「ほらね。おーい」と話しかける朱々ちゃん。

 「もうちょっとわかりやすく説明してくんないかな」という桃姐に、一索(イーソウ)を示す師匠ちゃん。
 「27種ある数の牌の中で、なぜこの一索だけが美しい孔雀の柄なのか」と、かつて中国の宮殿の中で、外出を許されず生涯麻雀だけを楽しみに年老いていった女達を哀れんだある彫師が、いつか女達が外の世界へとはばたいていくようにと願いを込めて彫ったのがはいまり、という故事を師匠ちゃんが語る、そのバックにチャイナドレスに身を包んだ藍ちゃん役の木内晶子さんの映像。「つまり、この牌は、理不尽な戒めから解放される女の姿を、自由への夢を表す牌なのだ」という師匠ちゃんの言葉に、「なんか、いまの藍ちゃんのことみたい」と思いをはせる高倉姉妹。
 が、三元牌(サンゲンパイ)が古来から、白(ハク)は純白の肌、發(ハツ)は緑なす黒髪、中(チュン)は紅の唇、と古来から美しい女の象徴といわれてきて、この三つを揃えて大三元(ダイサンゲン)で上がると、最高の女にめぐりあえるという伝説があると聞くや紫乃ちゃん「やだ、だ大三元って、あたしのための役満(ヤクマン)みたい!」とうっとりすると、朱々ちゃん「どうして?」。このときの紫乃ちゃんの思いっきりイヤーな顔、強烈です(笑)!

 牌は誰からも支配されない、牌はいつも自分の意思で動くことを忘れるな、という師匠ちゃんに、牌に向かって「おーい」と呼びかけ続ける朱々ちゃん。
 「やめなさい」というお姉ちゃん達には耳を貸さず、牌を握り締めて「待っててね、藍ちゃん」という朱々ちゃん、実は最高のギャンブラー、という予感。

 そしていよいよ決戦! というところでOPへ。


 この回のテーマ「麻雀」をモチーフに使った華麗で技巧的な導入部に、期待は高まりに高まりました(一索のモチーフ、中盤にもちゃんと使われてましたし!)。
 …が、第3話の途中から、そうした構成の美しさはそっちのけになってしまうほどのスゴイ展開が待っていたことを、このときの守峰は予想していませんでした…。

 場面変わって、学校の帰り道、坂道でけんけんぱのステップを踏みながら、点数計算のエクササイズをする桃姐と朱々ちゃん。
 後ろからけげんそうについてくる桃カレ(久永輝明さん)を、ぶん回したカバンで直撃しそのままそのカバンを持たせる朱々ちゃん(桃姐じゃないのがポイント【笑】)。
 カレの受難を気にもとめず朱々ちゃんに向かって「あーんたってさ、ほーんとに計算強いよねー」という桃姐に「いったいなんなんだよ? 町内の麻雀大会かなんかにでもでるわけ?」という桃カレにこたえての、「まあね。じゃあ、あたしたち、こっちだから」という桃姐の口調が妙に冷たいと思ったら、続く姉妹の会話。
 「ねえ、いまのひと桃ちゃんの本命君?」(オトコの話になると、いつものかわいいでーす口調が解けて、普通しゃべりになる朱々ちゃん…)
 「ちっがうわよ、単なる安全パイ。いつでも切れるってやつ」
 「ふーん。そんなに高め追求してると、いつかフリテンぶっこくよ」(朱々ちゃん…オトコの話になると、言葉づかいまであらあらしく…)
 「安いオトコで上がるぐらいなら、フリテンのほうがまだマシよ。そういう朱々はどうなのよ」
 「今リーチ! そのうち高くツモるもーん」
 「せいぜいリーナメか、メンタンピン止まりでしょう」
 「一見安いオトコに見えて、実はドラが10枚ぐらいのっかってるんだなー」
 「そんなオトコいたら、絶対イカサマよ」
 「いるもーん。絶対捜す。ぱぱりんみたいなオトコ!」
 …あんたら、雀鬼ファウストさんよりよっぽど、“人生は全てギャンブル”を体現してるんじゃあ…。


 病室のぱぱりんは、藍ちゃんが戻ったら全てを話す、それまではどんなことがあっても勝手な行動は慎んでくれと三人娘に告げる。


 バー・ゼロでは雀鬼ファウストさんが藍ちゃんに、食べないともちませんよ、ギャンブルは体力などと言う。
 目的は何か、自分をどうするつもりか説明を求める藍ちゃんに、あなたは単なるきっかけ、自分達の目的は高倉姉妹をスカウトし、ゼロファミリーの一員として一流のギャンブラーにすること、というファウストさん。
 当然のことながら、堅そうな藍ちゃんは「ギャンブラー? ゼロファミリーって何?」と問い返すのに、笑うのみのファウストさん。
 「ねえ、もっとちゃんとわかるように説明してよ!」という藍ちゃん、同じ説明を求めるにしても、紫乃ちゃんや桃姐よりずっとやさしげです!(紫乃ちゃんや桃姐が問い質してる師匠ちゃんは立派な師匠で、藍ちゃんが問い質してるファウストさんは敵なのに!)


 そして突然「なんなのこのアパート! 耐えられないー!」と叫ぶ紫乃ちゃん。
 引越し引越しーとはしゃぐ桃ちゃん。
 というお引越しシーン。
 パパにもまんまいうしかないんじゃない、くよくよしたってしょうがないよ、ほらさっさと片づけてー、という桃姐。


 そしてぱぱりんは、歩ける状態じゃないのに藍ちゃんを助けに行こうとして階段から落ち、さらに容体を悪くすることに。
 「仏壇運ぶの手伝って」という桃姐に「えー」とものすごーくイヤな顔をする紫乃ちゃん(ものがお母さんを拝む仏壇なだけに、これはスゴイです…)の携帯に病院から電話がかかって、姉妹は病院のぱぱりんのところに駆けつける。うわごとに藍ちゃんの名前を呼ぶぱぱりんに「絶っ対に負けられないわ」(紫乃ちゃん)。


 …と決意して、黒の衣装に身を包み、勝負の場におもむいた三姉妹。
 が、ここでも紫乃ちゃん「なんかやだぁー、ネズミとか出そうー」。さっきの決意はどうした!
 「何いってんのよー!」と桃姐が当然イカってるところに、「お待たせ!」と天野さん一馬くん登場!
 「あれ? 師匠は?」という紫乃ちゃんに「来ないよ」という一馬くんに姉妹「えーっ!?」。
 「ああ、でもこれ預かってきたよ」という天野さん一馬くんがもってきた袋に紫乃ちゃん、うっれしそーうに「何、さしいれ?」 この期に及んで食べ物のことを考えてる紫乃ちゃん、すごいです…。

 そんな紫乃ちゃんには慣れっこの天野さん一馬くん、あっさりひとこと「伝言」。
 取り出した筆文字を読んで(そういえば腕時計、右腕についてます)「勝つと思うな 思えば負けよ…だって。」(この“負けよ”の読み方が、女言葉口調…すでに読解の誤りがあるようです、天野さん一馬くん)。
 紫乃ちゃん「何それ?」
 桃姐「わけわかんないじゃん」
 朱々ちゃん「なるほどね。」
 天野さん一馬くんが「朱々ちゃん、わかるの?」(すっごく同級生感あふれるセリフ回しです! いったい誰とタメ年なんだ、天野さん一馬くん!)と問いかけると、「うん。勝つと思うな、思うと負ける、ってことでしょ?」とのお答え。

 かくん、とする紫乃ちゃん、一馬くん、桃姐ですが、桃姐「ねえ、もういいよ、行こう」紫乃ちゃん「根性決めましょ」という姉達に取り残されても平然と「かーつーとーおもーうなー おもえばまーけーよー」と振りつきで熱唱する朱々ちゃん。
 そんな歌がいきなり出てきただけで、師匠のメッセージを正しく理解したというに十分ではないでしょうか…。


 「ようこそ」と出迎えるファウストさん、オトナの魅力の(桃姐によると“色気ババァ”…桃ちゃん…)雀さん(岡元あつこさん)に、屈強そうなスキンヘッドのお兄さん(稲宮誠さん)。
 用心棒、としか見えないお兄さんに桃ちゃんが「あんた、ダレ?」と無遠慮にきくとお兄さん、「失礼ね。こう見えても、あたしがここのマスターよ」。
 さらに失礼なことに紫乃ちゃん「オカマ…さん」、お兄さん「オカマじゃないわよ。サミー」そしてファウストさんの肩に手をかけて「やぁね」。

 「ゲームを始めましょう」というファウストさんに紫乃ちゃん「その前に藍に会わせて」。
 連れてこられた白い衣装を着けた藍ちゃん「紫乃ちゃん、桃、朱々!」。
 一馬くんには言及なし、ということは、藍ちゃんも一馬くんのことはアウトオブ眼中さんのようです(笑)。

 勝てば四人で帰れる、負ければ朱々ちゃんをもらうというファウストさん。
 「朱々も麻雀やりたいー!」という朱々ちゃんに「またはじまった」とやな顔する桃姐の表情が、きょうだい感いっぱいです(笑)。
 「大丈夫、絶対負けない」というお姉ちゃん達に「うん」とうなずいた朱々ちゃん、藍ちゃんと並んで、雀卓の見える少し離れた席に。
 「朱々!」と抱きつこうとする藍ちゃんに、にっこり笑って「あげる」と手渡したのが、自由の夢の象徴、一索の牌。


 勝負は雀鬼ファウストさん&すずめさんの組と紫乃ちゃん&桃姐の組で、合計得点の多い方が勝ち、という説明がサミーさんから。
 「なんでそんなに麻雀にこだわるの?」という紫乃ちゃんに、高々と「そこに牌があるからです!」と言い放つ雀鬼ファウストさん。
 が、これまでの二人の師匠ちゃんの教えに対する反応から十分予想される通り、二人の反応は、紫乃ちゃん「何それ?」桃姐「いいから、早くやろうよ」。
 これには雀鬼ファウストさん「ひどいっ!」(ちょーっとカマ入ってます!)。


 藍ちゃん「つまり、この勝負に勝ったらあたし達は自由になれるのね?」朱々ちゃん「うん」。
 苦労性らしく不安そうな顔(それが普通かも)の藍ちゃんに、朱々ちゃん「大丈夫。絶対勝ってくれるっていってたもん」。
 藍ちゃん「そんなのんきなこといわないで! 負けたら、あたし達ギャンブラーにさせられちゃうんだよ?」
 朱々ちゃん(けろっと)「どういうこと?」
 藍ちゃん「あたしにだってわかんないー!」


   でも、窮地に立つのは実は、高倉姉妹だけではありませんでした。
 サミーさんに「どう?」と肩に手をかけられた天野さん一馬くん、軽く会釈をして「あ、どうも」(ものすごーく天野さんキャラらしい受け答えです!)。
 「並んで座れたのはラッキーだけど、それは相手も同じ条件だものね」というサミーさんに「そうですね」という天野さん一馬くん。
 「あの、あのひとたちイカサマとか」とたずねるたのに、「そんなこと言うんじゃない!」と激しい口調で言ったサミーさん、次の瞬間には胸に手をあて、天野さん一馬くんをちょっと上目使いにみつめながら「あ、ワタシ、こうみえてもこのカジノの責任者なんだから」そして一転して雀卓の方向に鋭い視線を向けながら「イカサマはギャンブルに対する」そして天野さん一馬くんの肩を音が出るほど叩くように抱いて「冒涜よ!」。
 「なるほど」という素直な天野さん一馬くんのおしりに、するすると滑り降りていくサミーさんの手!
 ちょっとネットで書くのはねー、とためらわれる手の動きをしながら(天野さん一馬くん、痛そうな顔です!)サミーさん「サミー、って呼んで」(ほとんど脅迫です!)。
 「さみい?」と復唱する天野さん一馬くん、「はーい! あなたの名前は?」とたずねられ、「かずまです」(こたえかた、弱くなってます!)。
 そんな天野さん一馬くんに「かーわーいーい!」と振りつきで大感動なサミーさん。

 ほとんど痴漢行為をされながらも「あの、サミーさん」と礼儀正しい天野さん一馬くん(これが高倉姉妹だったら、サミーさん、半殺しです、きっと【笑】)が「サミーさん、あのひとたちのなかまじゃないんですか」とたずねると「あたしはいつだってニュートラル。タイプのオトコの前以外ではね」。
 そして天野さん一馬くんの口許の近くでチュッ、とキス音を立てるサミーさん。
 『賭事女王』史上初めて天野さん一馬くんをオトコとして眼中に入れてくれた、いいひとです!
 そして天野さん一馬くんがそんなことになってるのに、全く気にもとめていない高倉四姉妹。


 そんなことがあっても、天野さん一馬くんの肩にもたれかかって「二人とも、なかなかいい手じゃない?」と話しかけるサミーさんに、「早目のテンパイで、先制攻撃できればいいんですけど」と生真面目に答える天野さん一馬くん。
 雀卓では、連続してポンの雀さん(字幕で“東一局 親−雀”の文字が出て、漢字がわかりました!)。
 「なんて奴だ。女の配牌(ハイパイ)が見えてるみたいに」とうなる天野さん一馬くんに「当然よ。彼は雀鬼。ファウストと呼ばれる男よ」と返すサミーさん。
 …何をされても相手と仲良くなって一緒に解説なんかしちゃう天野さん一馬くん、ほんとうに気立てのいい子です!


 藍ちゃん「わかった。3つ揃えていけば、あがれるってゲームね」(優等生っぽい、でもどこかズレてくれそうという期待のもてる口調のセリフ!)。
 朱々ちゃん「ピンポーン!」。
 藍ちゃん「じゃあ、どんどんポンされたら負けちゃうじゃない!」。
 朱々ちゃん「ピンポーン!」。
 藍ちゃん「もーう!」
 …桃姐はともかく、紫乃ちゃんと朱々ちゃんにはついていけなさそうな、生真面目な藍ちゃんです!


 そうこうしてるうちに雀さん「ロン」。
 紫乃ちゃん「何それ」(この場でもそのセリフかい!)
 桃姐「ちょっと、あたしまだ一度もツモってないのよ!」
 雀さん「だから?」。

 「完全にあっちのペースだ」という天野さん一馬くんに「まだまだ。麻雀は人生と同じ。山あり、谷ありなんだから」と諭すサミーさん。
 その手はしっかり天野さん一馬くんの腰に回されてます…。
 雀さんとファウストさんが次々にロン。
 天野さん一馬くん「だめだー。完全に流れがあっちに行き出した」。
 サミーさんとお揃いのポーズしてたりして、二人セットでかわいいです!

 で、初めて桃姐が「ロン!」。
 でも紫乃ちゃん激怒。「おバカ! あたしからあがってどうするのよ!」。
 桃姐「ツキを変えるためよ。このまんまじゃいつになっても親になれないでしょ」
 紫乃ちゃん「二人の合計点で勝負するのよ!」
 桃姐「紫乃ちゃんがいつまでたってもあがれないからいけないんじゃん」
 紫乃ちゃん「ドジ!」
 桃姐「ドジはどっちよ!」
 紫乃ちゃん「こんなんじゃ勝てるわけないじゃない」
 桃姐「負けたら紫乃ちゃんのせいだからね」。
 サミーさんも「あーあ」と両手を広げて肩をすくめ、天野さん一馬くんにいたっては、天を仰いでタメ息!(まーたはじまった、というカンジ【笑】!)


 すっごい顔でにらみ合う紫乃ちゃんと桃姐、そしてファウストさん、ゼロの紋章…というところで“to be continued.”。


 その後、サミーさんと天野さん一馬くんの攻防が話題沸騰になったことは(一索のモチーフを使った美しさのコトは、完全に忘れ去られました【笑】)、言うまでもありません!