賭事女王

GAMBLE QUEEN

Episode 6
(1999年11月15日放映)


■ 脚本 ■ 大森美香
■ 演出 ■ 稲葉正宏
■ 出演 ■
高倉紫乃:園原佑紀乃  高倉藍:木内晶子  高倉桃:内藤陽子  高倉朱々:一戸奈未
一馬:天野浩成  サミー:稲宮誠  師匠:横山あきお  ロン:谷村好一
デュオと一緒の女の人(氷室加奈):秋本奈緒美  デュオ:川端竜太



 最初のシーンは、前回師匠ちゃんに引率してもらって連れて着てもらった賭場で、きれいな着物を着て壷を振る紫乃ちゃん。
 途中から藍ちゃんが賭けに参加して、お互いに「やるじゃない」とエールを送るところで、OP。


 そのあと紫乃ちゃんの壷振り修行シーン。水に浮かべた板の上に壷(竹籠なんですが)を下ろして、思い通りの目を出そうというんですが、羽根を置くようにそっとやらなきゃいけないのにものすごく水がはねるほど、賽の目は当然定まらない。
 そうするとすぐにすねちゃうのが紫乃ちゃん(笑)。
 デュオに勝つんじゃないの、と、藍ちゃんにお母さんのように優しくさとされて(繰り返しますが、藍ちゃんは次女。紫乃ちゃんが高倉家の長女です!)、思い通りの目なんて出せなくても勝てる、と口をとがらせていた紫乃ちゃんでしたが。
 「お紫乃さん」
 前回師匠ちゃんに「ロン」と呼ばれていた、賭場のオーナーっぽいしぶいあにさん(谷村好一さん)に、カッコイイ名前で呼ばれると、突然目が輝く紫乃ちゃん(笑)。
 賽は人間と同じだ、どんな場所でも空気をつかむことが勝つことにつながる、あなたにはその素質がありますよ、お紫乃さん、と物静かに説かれて(大人の男です!)、どうやら紫乃ちゃん、その気になったようです!


 というわけで、カジノ・ねずみ(仮称【笑】)に乗り込む高倉四姉妹(一馬くん抜き)。
 勝負する紫乃ちゃんと藍ちゃんは喪服(紫乃ちゃんは和服、藍ちゃんはノースリーブの洋服)。
 それにすかさず、ゼロ側のきれいなお姉さん(秋本奈緒美さん)が、勝負に臨む人が喪服なんて縁起が悪いとか文句をつけると、紫乃ちゃん、「私達の父、高倉賢は先日何者かの手によってあい果てました。最愛の父を亡くして、娘が喪に服するのは当然のこと。どうか、人の心、親子の情をおわかりいただけるのならば、なにとぞ喪服の儀、お許しください」、別人のように立派な口上!
  頭を下げる紫乃ちゃんに従って、藍ちゃん、桃ちゃんは頭を下げますが、紫乃ちゃんのかっこよさにおおよろこびしてる朱々ちゃんは突っ立ってにこにこしたまま、桃ちゃんに頭を押さえつけられて頭を下げます(笑)

 そこに「僕はいいよ」と、若い男の声。
 この時点で、高倉姉妹はきれいなお姉さんを対戦相手の「デュオ」だと思っていたのですが、実はその声の主、前回きれいなお姉さんのタバコに火をつけてたりした、きれいなお姉さんのツバメだと思われていたに違いない、ルービックキューブを持ったストーカー君(ほんとに、高倉姉妹をつけ回して、写真入りのデータファイル[きれいなお姉さんいわく『仔猫ちゃん達観察日記』]をきれいにつくって、閲覧してたりしたんです、前回!)のほうがデュオだったのです!
 「じゃあ、はじめようか」と、ルービックキューブを放るデュオ(川端竜太さん)。
 受け取った朱々ちゃん「きれいー!」
 桃ちゃん「きっとこれ、最新式のサイコロよ!」。…それを“ルービックキューブ”だと知る者は、色気があろうがなかろうが“ジジイ”か“ババア”だと言わんばかりのムスメ達。


 デュオ君は、天野さん一馬くんのような好青年ではありません(その証拠に、サミーさんはデュオ君に対して全く食指を動かさないどころか、非情に冷たい態度を取ります【笑】)。
 紫乃ちゃんが振った壷、一回外してみせて、「なるほどね」というのもカンジ悪いなら、藍ちゃんに、君達のことは調べさせてもらった(注:勝手にストーキングしただけです)、君達はギャンブルの才能があるようだ、中でも高倉藍、君は飛びぬけている、でも僕にとっては血とか家族とか関係ない、などと言って、温厚な藍ちゃんまで怒らせ、「あたしにとって一番大事なのは家族よ。血の通ってないギャンブルマシーンにはなりたくないわ!」という激しいセリフを言わせてしまいます!
(注:前回、藍ちゃんにはサイコロの目を読む才能、紫乃ちゃんには壷振りの才能があることがわかり、今回デュオとの勝負は、紫乃ちゃんが壷を振る+藍ちゃんが目を当てる高倉姉妹コンビと、その両方をするデュオが、交互に壷振りをし、その都度かまぼこ板みたいな札[←名称不明…]を賭け、どちらかの札がなくなったら終わり、というルール。)
 でも動じず、ヘンな振り方(千手観音振り、とでもいいましょうか。特撮映像です!)で藍ちゃんをまどわせ、目を読めなくするデュオ。
 僕には血は通ってない、血なんて汚いだけだ、僕は高性能のギャンブルマシーンだとのたまい、地道に暮らしている藍ちゃんを「僕の美学に反している!」などと言い出します…それで前半終わり。


 それからしばらくはデュオ君の一人勝ちシーンの連続。サミーさん、ムカついてかまぼこ板をデュオ君のところに、ばん、と重ねて、小指はさんじゃったりしてます(笑)。
 流れが変わるのが、紫乃ちゃんが壷を振ったとき、デュオ君が突然息があがっちゃって爪噛んじゃって「赤い丸は…いやだ」とか言い出しちゃったこと。
 きれいなお姉さん(…デュオママ?)が「立会人さん。今の勝負流して。そちらの不戦勝でいいわ」と言うと、サミーさん「またはじまっちゃったの。やっかいね」とうんざーりしたおカマ口調で言うなり、横座りになってカマボコ板をうちわのように使い出す状態。紫乃ちゃんが壷を上げると、1の目が出たサイコロがふたつ(ピンゾロの丁)。
 と、デュオ君「見ちゃったー。赤い丸を見ちゃったー」と泣きながら、デュオママに抱きついてしまいます(デュオママは、サミーさんに抱きつかれた天野さん一馬くんとは違って、それをいやがったりせず、優しく抱きしめてくれます!)。

 …『ヤマダ一家の辛抱』では一馬くんと正反対のタケオ君を見事に演じられた天野さんですが、このデュオ君の役を演じるのは、難しいかもしれません。天野さんが同じことをやったら、無用にカワイクなっちゃって(セラミュ夏公演の「だからこんなつあーきたくなかったんだ」を思い出すとそうとしか…御覧になっていない皆様は、そろそろ一般発売・レンタルもされている頃の『美少女戦士セーラームーンミュージカル かぐや島伝説改訂版 夏休み宝石探検隊』をぜひぜひ!)、高倉姉妹よりデュオ君に肩入れしてしまうヒトが続出してしまうおそれがあるからです!(だいたいサミーさんが、デュオ君側についちゃいそう…)

 いったい何が! と不審がる紫乃ちゃん(これは当然です)に、「気にしないで。いつものクセよー。あの子、ピンゾロの丁を異常に怖がるのよ」とサミーさん。
 麻雀勝負の病的な演歌ギライのファウストさんといいこのデュオ君といい、ゼロに集まった一流のギャンブラー、ちょっと変わったヒトが多いみたいです…


 そういう流れが変わるポイントに、天野さん一馬くん、満面の笑顔で登場!(なんでそんなにうれしそうかな!)
 「道間違えちゃったよ!」
 と言いながらしめているネクタイには、赤い丸がいっぱい。
 デュオ君、ますます泣いちゃって「赤い丸はやだっていったのにー」(←要説明かもですが、デュオ君はとってもキレイめな若い男の子で、きれいなデュオママと二人でいると非常に絵になるのですが、この泣いてるところは、あんまりカワイイという感じではありません。天野さんまもちゃんのカワイイせりふのようなものを思い浮かべませんよう)。
 天野さん一馬くんの賭事女神ぶり、大発揮です!


 そして「あなたは強いの。ずっと見ててあげるから」と、デュオ君の両頬をやさしく手で包み込んで語りかけるデュオママ。
 涙声で「…ぼくだけ見ててくれる?」と上目遣いにいうデュオ。
 「あなただけ見ててあげる。ほら、こんどはあなたの好きなお壷よ。さ、いきましょ」と言われると、デュオ君、にっこり笑って「うん」。
 …天野さんデュオ君、みたかったかも(にっこり笑って「うん」とかゆわれたら、もうデュオ君を応援するしかないでしょう!)。
 よく考えてみれば、どうしても高倉姉妹を応援しなければならない義理はないワケだし(笑)!


 そういう視聴者のキモチを見抜いたかのように、次のカットは、うれしそーうにひらひらと手を振るサミーさん。
 手を振っている相手はもちろん、天野さん一馬くん!
 そして天野さん一馬くん、一瞬ぼうぜんとしてるものの、すぐににっこり笑ってひょこっと頭を下げたりしてます。…前回麻雀勝負のとき、けっこうヒドイ目にあってそうだったのにその笑顔(内心はすごーく困ってるとしても【笑】)、気立てよすぎです、天野さん一馬くん!
 川端さんデュオ君の“壊れた機械の至福の笑顔”に対して、天野さん一馬くんの“本当は困ってるんだけど血の通った笑顔”の対比、象徴的です。
 …というのはわかるんですが、川端さんデュオ君と天野さん一馬くんの笑顔を競わせるような撮り方をする『賭事女王』…奥の深い番組かも(笑)。


 それでも勝ち続けるデュオ君。
 デュオ君が勝つたびに、天野さん一馬くんがいないときより、あからさまにスネてみせるサミーさん!
 そして高倉姉妹側のカマボコ板が2枚になった時点で、「勝負になんないじゃん。人間がマシーンに勝つわけないんだよ。血なんて無駄なんだよ」というデュオ君。
 続く勝負で藍ちゃん、残った札を二枚ともばん、と賭ける。
 「負けたらあたしがゼロに入る。そしてあなたみたいなギャンブルマシーンになればいいんでしょ」。
 これに「なんだ。やっぱり君、頭がいいんだね」と、悪役の典型のようなセリフを言った途端、デュオ君の千手観音振りは単なるはったりだということが、藍ちゃんに完全に読まれてしまいます!

 藍ちゃんがデュオの目を読めたときの、天野さん一馬くんの喜びよう、すごいです!
 「やったよ! 藍が勝ったよ!」、と、足踏み鳴らしたりしてます!
 でもあんまり子供っぽくなくて、喪服で座ってる紫乃ちゃんの隣で、ちょっとお父さんぽいかも(笑)。不思議です。

 「完全に読めた。もう勝てないわよ!」と言い放つ藍ちゃんに、「面白いなあ。面白いよ。僕が負けるなんて。この僕が負けるなんて」と、最初笑っていて急に不安になるデュオ君。「そんなのうそだぁ! うそだぁー!」とデュオママに泣き付くところを見て「完全に回路がずれちゃったみたいね」と、容赦のないことを言う高倉姉妹年長組…


 紫乃ちゃんが席につくや、完全にふてくされたデュオ君、紫乃ちゃんが壷を振る前から「丁」。
 丁に全部賭ける、君は半を出すんだな、と紫乃ちゃんに言い放つデュオ君。
 「君は未熟なんだよ」云々言うデュオ君に、突然オトコ声になって「おうおうおう! ルールの変更は…」と威嚇するサミーさんですが、デュオ君一言「黙れ変人!」
 …説明するまでもなく、発言者のデュオ君が変人中の変人であることは火を見るより明らかですので、これはサミーさん、ショックでしょう(サミーさんは、天野さん一馬くんをカワイイと思ったりする、とっても常識的な感性をもつ方なのに!)。
 「いや〜ん! カズマくぅ〜ん!」と、すかさず天野さん一馬くんのもとに走ります…(…ま、普通かな。)
 その間も、半端者のくせにプロと戦おうなんて生意気なんだよとかゆってるデュオ君に、紫乃ちゃん、喪服の着物の片肌脱いでさらしを巻いた右上半身を露わにし、「このお紫乃、半端者と言われて逃げたんじゃ、女がすたるというもの。後悔するんじゃないよ」と、ものすごい迫力ですごみます!
  …なんかロンさんに「お紫乃さん」と呼びかけられただけで、思考改造されちゃったみたいです、紫乃ちゃん…(ロンさん偉大です!)
 「半端者の意地、見せてやろうじゃないの!」とタンカを切る紫乃ちゃんに、「よっ、お紫乃さん、日本一!」と声援を送る桃ちゃん&朱々ちゃんコンビ。(そしてこのとき、生真面目な天野さん一馬くんはじっと紫乃ちゃんをみつめていて、腕にしがみついているサミーさんを気にしているゆとりはないのでした)。
 その声援に、にんまりとする紫乃ちゃん…桃ちゃん&朱々ちゃん、さすがお姉ちゃんの性格を見抜いてます…(そして天野さん一馬くんはそれを見て安心したのか、肩にかけられたサミーさんの手をさりげなーく外します…最初にみたときは、天野さん一馬くんがサミーさんの手首を握ってるところが目に入って、天野さん一馬くんまさかずっとサミーさんの手を握ってたの!? と、あらぬ誤解をしそうになりました【笑】。)


 空気を支配する、というロンさんの言葉を胸に壷を振る紫乃ちゃん。
 祈る高倉姉妹。
 天野さん一馬くんは、ひときわ大きなしぐさで両手を組みあわせ、念じてました!
 そしていつもの紫乃ちゃんらしい声。「出たぁ!」
 出た目は1と4。
 サミーさんも思わず、うわずったオカマさん声で「半〜!」といいかけてはっと我に返り、ドスのきいたオトコ声で「半。勝者、高倉姉妹!」
 喜ぶ高倉姉妹の後ろで、サミーさんと天野さん一馬くんがもみあっているのがわかるのですが、四姉妹がかぶっていて全貌は見えません…(勝手に想像していいってコト?)


 藍ちゃん「あなたはギャンブルに支配されている。あたしたちはギャンブルと戦ってるの!」
 桃ちゃん「ギャンブルに生涯を捧げたりしない。支配されたりしない。こっちが支配してやるわ!」
 朱々ちゃん「だからギャンブルの美学なんていらない」
 紫乃ちゃん「戦う手段としてギャンブルを選んだ。ただそれだけよ」


 そして紫乃ちゃんが、1枚のカードを投げる。
 “YOU LOST(はあと)”と手書きされたカード。
 サミーさんに腰をがっちり抱かれている天野さん一馬くんと、サミーさんがそれを見る。
 デュオ君を優しく抱きしめてるデュオママとデュオ君もそれを見る。
 紫乃ちゃん「あんたの負けよ」。
 そして(またしても天野さん一馬くんを見捨てて)立ち去る高倉四姉妹。
 デュオ君は、なぜか印刷されているカードの裏の文字を読む。
 「GAMBLE QUEEN…」


 他の番組で棒が売り出されるように、このカードが発売されるのか! と思ってしまったのは、正しいでしょうか…?


 「終わったね」という朱々ちゃんに、「終わってないよ。はじまったばかりよ、戦いは!」と藍ちゃんがさわやかにしめてるのに、「ねえ、今日のあたし、かなりイケてなかった?」と己のカッコよさを認めさせたがる紫乃ちゃん(紫乃ちゃんらしい紫乃ちゃんが見られないと、落ち着かないです、もはや)。「もう、紫乃ちゃんはカッコばかりなんだから!」と桃ちゃん。
 そこに「おーい、ちょっと待って! 待ってってよ!」と追いすがってくる天野さん一馬くん(着衣、だいぶ乱れてます)!
 あっという間に遠ざかる小さな後ろ姿でも、天野さん一馬くんが高倉姉妹に、相手にされてなかったりからかわれたりしてる様子がよくわかります…


 そして現れる、赤いハイヒールに黒の網タイツのおみあし。
 ひらりと落とされたゼロのカードは、赤いハイヒールがひとまたぎすると、JOKERのカードに変わっていました…