29th October, 2005  
シネマ・ジャック(横浜)
出演者:天野浩成さん 及川拓郎監督
木内美歩さん、正木蒼二さん、大村波彦さん、平塚真介さん
中島舞さん、椎名令恵さん、肥野竜也さん、中村方隆さん



『Happy Birthday』
初日舞台挨拶
《2005年10月29日》


 シネマ・ジャックで行われた『Happy Birthday』初日舞台挨拶、静かで地味な映画館の入り口に、その周囲のちょっとものさびしいような感じもする街並からするとやや不思議にも思える並び列ができていました。
 その列を、劇場スタッフ様は
 11:00 番号つき入場券発売→12:20 集合&入場券に印字の番号順に整列→12:30頃〜 5人ぐらいずつ列を区切っての入場→13:00 舞台挨拶開始
 と、整然と誘導。
 先に入ったお客さんが席を決めた頃合を見計らっての次のお客さんの入場、関係者席についてはお客さんが入場する後方からでもはっきりわかるように椅子の背からも見えるような貼り紙でわかりやすく表示、と、入場の際にありがちな席取りのばたばたが全くなく、落ち着いた雰囲気で着席できました。
 ごくごく少ないスタッフでスムーズに事を運ばれたスタッフの皆様、舞台挨拶等をたくさんこなしてこられた“映画屋さん”の風格でした!



【舞台挨拶の雰囲気を決定!(笑) 司会進行=木内美歩さん】

 舞台挨拶の司会進行は、なんと木内美歩さん。
 ずっと前から、出演者として認識していた女優さんなので、ちょっとびっくり!
 映画本編のエンディングクレジットをみると、“制作プロデューサー”としてクレジットされていたので、そういうことか! と納得するとともに、へええええ…という感じ。
 …でも、舞台挨拶の雰囲気としては、“木内美歩さん=制作プロデューサー=司会進行当たり前”というより“木内美歩さん=出演者=なんでアナタがそこにいるの!?”なカンジでした(笑)。
 そんな司会進行役の選択も含め、“仲間”を感じさせてくれた、この舞台挨拶に乾杯!(笑)


【監督と天野さん、魂の双子状態。最初の御挨拶】

 舞台挨拶は、壇上ではなく、客席と同じ高さの舞台下で。
 (最前列は関係者席)
 舞台挨拶出演者は、及川拓郎監督、天野浩成さん、正木蒼二さん、木内美歩さん、大村波彦さん、平塚真介さん、中島舞さん、椎名令恵さん、肥野竜也さん、中村方隆さん。
 劇場HPに記載のあったけれども御出席でなかった方々のうち、大西麻恵さんは、劇場前のポスターにはってあった舞台挨拶案内にお名前がもともと載っていたものの二重線で消されていたのでたぶん急な御欠席、増本庄一郎さんはその案内にもお名前がありませんでした。
 及川拓郎監督と主演の天野さんが中央に、大勢いるキャストさんは横2列に並ばれる、というフォーメーション。
 天野さんは『デザイナー』の明くんの衣装を買い取られたもの?という感じの、ワインレッドのシャツにジーンズ。
 映画村で、あべの橋イベントの衣装も、映画村イベントの衣装も明くんの衣装を買い取ったものとおっしゃってましたが、天野さん、これから当分“明くんシャツ+ジーンズ”の組み合わせでいくんでしょうか(笑)。

 そして御紹介と、簡単な御挨拶。
 及川監督は「及川です。ありがとうございます。楽しんで帰ってください」と、シンプルに。
 で、主人公を演じた天野さん! という晴れがましい場面なのですが、天野さん、マイクが入っていないという、『仮面ライダー剣』劇場版の記者会見の再現のようなことに(笑)。そのときは、司会の方に「あわてんぼうですか」を突っ込まれてペースを崩し、そこで言うべきことが何も言えなかった模様だった天野さんですが、今回はお隣にいらした及川監督が、笑いながら、なんともフレンドリーなしぐさで天野さんの手をとるようにして、マイクのスイッチを入れさせてあげてらして、すごくいい光景を見た! という感じが!
 天野さん「どうもこんにちは。今日は楽しんで帰ってください。ありがとうございます」と、監督のお言葉の順番をちょっとシャッフルしただけという感じながら、しっかりとごあいさつ。
 この監督のお言葉ほとんどリピート状態! も、舞台挨拶を通じて感じられる、監督と天野さんの“魂の双子”状態の表れのひとつと思うと、また味わいが(笑)。
 続く正木蒼二さんも「面白い作品なんで、楽しんで帰ってください」というようなことを。

 これでは単調に全てが終わってしまう! と思われたのか(笑)、司会の木内さん「次は誰にふろうかな」と変化をつけ、後列中央付近にいらした椎名令恵さんにいきなり。
 期待通りに(?)椎名さん「皆さん、この作品を観てすごい興奮すると思うんですけど、鼻血を出さないように、楽しんで観ていってください」。まだ作品を観ていないお客さんは、ふーん、そうかあー、と思って静かに聴いていたのですが(終わってみると、椎名さんのあの言葉は一体!?でしたが【笑】)、天野さんは及川監督と二人で大ウケでした!(なんだかこのお二人、リアクションが魂の双子的に似ていて、終始仲良さそーうでした…)
 木内さんも「ティッシュの御用意を」と、ノリよく(笑)。
 そして中村方隆さん。「頭、白くしてるんで、わかるかどうかわからないんですが…」とのこと。
 大村波彦さんは「ネットで作品を早く観たいと思って探していたら、舞台挨拶に僕の名前がなかったので、自分からオレも出してくれといって無理やり来させてもらいました」とのこと(笑)。
 平塚真介さんは「今日誕生日の人!」と客席に呼びかけ。そして「はーい、Happy Birthday」と、落ち着きのある声で、ヨユウの客席とのやりとり! 映画『タッチ』でキャッチャーの松平孝太郎役=高校生を演じられたばかりなので、お若い方かと思っていたら、天野さんより1つ下なだけ(1979年6月4日生まれ)でした。
 客席には笑いが出ていたのですが、その後、しーん。
 木内さん「あ、はいはい、終わったんですね」。さらに爆笑!
 中島舞さん「今回、映画が初なので、温かい目で観てください」とのこと。

 ここで木内さんが「こんな面々で…」とくくろうとすると、天野さん「いやいやいや!」。
 キャストさん達もざわざわ。
 「椎名さんやったでしょー!」と、自分は間違いない! と強気に主張しかけた木内さんでしたが、すぐに椎名さんの隣の俳優さんに「肥野さん、ごめん…」(笑)。
 あやうくスルーされかけた後列の肥野竜也さんを、及川監督と天野さん、両側からその背中を押して、前に出してさしあげ。
 その動作、すごくシンメトリー感があって、ますます魂の双子状態(笑)!
 「こういうのちょっと初めてなんで、緊張してます」という肥野さんに、肥野さんをスルーしかけた鬼司会の木内さん「何前出てんの!」と、あくまで鬼(笑)。


【天野さんの部屋に、お化け。撮影時エピソード等】

 撮影時のエピソードをお聞きしましょう、といって木内さんが監督に「ロケ場所」と振るや、急に笑い出す天野さん(笑)。一体何が!?
 監督「ロケ場所…どこだっけ?」と、監督、あまのさんですか…監督なのに…といういきなりの忘却状態。
 そしてこれにはなんと、天野さんがさっと「那須」とお答えするという、これまで数々の天野さんトークを考えると、超レアな光景が!(これまで「どこか」「圏外」だった天野さんが…【感涙】)
 那須高原で泊りがけで4日間、プラス東京、千葉で、合計7日間で撮られたとのこと。
 これに木内さん、なんとも無造作に「ふぅ〜ん」。
 キャストさん達が笑い、客席も笑い出し、監督「大丈夫かよ、この司会は!」。
 木内さん「大変でしたか」監督「大変でしたよ!」木内さん「朝から晩まで?」監督「朝から晩まで」。
 天野さん、声を出して笑ってます!
 監督のお話では、6月の梅雨時で、組んでいたスケジュールが雨で延ばさなければならないことがあって大変でした、とのこと。
 これに木内さんが「ああー、雨降ってたんですか、大変でしたね」なのですが、木内さんも途中から笑い出し、キャストさんはみんな笑っていて(要するに“お前もいただろーが!”状態【笑】)。

 そして天野さんに「撮影で印象に残ってること」の質問。
 天野さん「いろいろあるんですけど、はじめの車とか」と、さらなる説明がないととてもわからないお答え。
 「みんなで泊まってたんですよ。全員で。女性は女性で別の部屋で…部屋?」と、さっそく自分の言葉に疑問符をつけだす天野さん。
 木内さん「別荘を借りてたって聞いたんですけど」
 天野さん、すっごいトーンのあがった(ひっくり返った【笑】)呆れ声で「聞いたとかって!」。
 「すごく楽しかったですね」と、落ち着いた声できれいにまとめかけた天野さんですが、“はじめの車”って一体!? 撮影で印象に残ったのは、全員で泊まっていたこと!? と、冷静に考ええるとわけわかんないです!(笑)
 そんな天野さんをフォローして、ちゃんと“印象的だった出来事”の回答を引き出してくださったのが、さすが大人! 1973年1月11日生まれの正木蒼二さん!
 その内容というのが「天野くんの部屋、お化け出たんですよ」。天野さん、ごく当たり前の声で「そうそうそうそう!」
 …『義経と弁慶』の撮影のときは日本旅館の部屋に怖くて一人でなんて泊まれない、といって竹財輝之助さんに一緒に泊まってもらい、日頃も幽霊に足をつかまれないように足は絶対に布団でくるんで寝るという天野さん…またですか!(笑)。
 天野さん「オレ、リビングで寝たり。こわいから」。
 すると後列から平塚さんが「その部屋にオレ、ずっと寝てたんです。天野さんが来たときに、部屋代わろうかと思ったら、“いや、オレいい”とかいって」。
 初日は平塚さんが下で寝ていて、正木さんが上で寝ていて…と話がごちゃごちゃしてきて、言い出した平塚さんはからは「この話やめよっか」などと声が飛んだりもしていましたが(笑)、とにかくいつのまにか天野さんがリビングで寝ていた…とのこと。
 天野さん「そんな感じで、みんな初めて会ったんですけど…前に仕事した方とか一人もいなかったんですけど、和気藹々と…わきあいあい?」と、またまた自らの言葉に疑問符をつけている天野さん…この場にはいらっしゃいませんでしたが、共演者の中には、『山手線デス・ゲーム』の増本庄一郎監督がいらしたんじゃあ…(一緒にお泊りじゃなかったから、対象外だったとか?)。
 「監督も同い年ですし」と天野さん。27歳です!
 「楽しい現場で。それが伝わればなあと」。
 そんな天野さんを見て、正木さん、かなり笑ってらっしゃいました(笑)。

 木内さん「次は…元レディースというウワサの椎名さん」。椎名さん「違いますよ!」
 そんな椎名さんが話し出すところを見ている天野さん、にっこにこの笑顔!
 演じた役の自分に近いところは、女性の強さというところ…と話はじめて、ちょっと迷いかけた椎名さん。
 及川監督「芯のしっかりした女性」とフォローされるところ、さすがです!
 「芯が強く、自己主張が強いところが近いと思います」という椎名さんに木内さん「やっぱりレディースでしたか!」(笑)。
 そんなやりとりに、天野さん、ひたすらウケ続け! 今にもしゃがみこみそうな勢い(笑)。

 正木さんへの質問は、アクションシーンや弾着の印象。
 弾着は初めてではないです、という正木さんに「今回の弾着は」とくいさがる木内さん。
 「今回の弾着…激しかったですね…」などと、話をあわせようとする正木さんですが、ついに「何を求めてんの?」。
 その後も、正木さんはワイヤーアクションやってないよ、等々、微妙にかみあわない正木さんと木内さんのやりとりが続くのですが、その間に吹き出したりしている天野さん(笑)。
 監督と二人で、並んで笑ったりしていて、またまた魂の双子状態(寄り添っているところが、なんとも可愛らしいお二人!)。

 木内さん「いっぱい現場経験のある中村方隆さん」。他の撮影現場と違ったことは、という質問。
 中村さん「待ち時間がものすごく長い」。
 初日が雨で、渋谷に朝一番電車で駆けつけたのに制作の方がなかなか来なくて…と、かなりダイレクトなクレーム状態(笑)。
 昼過ぎに那須に着いて、自分の出番が始まるかなと思ったら、結局夜まで待ったとのこと。
 そこで「やっぱり、役者さんって、待つのが仕事なんですか」と、しれっと聞いてみる木内さん@制作プロデューサーさん。
 中村さん「こんなに待たされたのは、初めて」と斬り捨て(笑)。
 木内さん「とても参考になる御意見、ありがとうございます」。強心臓です!(笑)

 ここで、監督に、この作品を撮った理由、思い入れをおたずね。
 監督「この作品は、ちょっと不思議な物語で」。
 今はこんなにキャストさん達は和気藹々としているけれども、コメディではなく、がっと見入ってもらえたらな、とのこと。
 これまで監督はコメディや群像劇を撮っていらしたとのことで、この時期にたまには不思議な話をやりたい、と思って、この作品を書きました、と、クリアなお声で。
 木内さん「やっと映画の舞台挨拶らしいコメントが」(笑)。

 監督にもうひとつ、監督から見た役者さん、たとえば天野さんの印象。
 監督「天野さんに関しては、ほんとに同い年なんですよ。…そんな感じしないかな? ふけてる?」
 木内さん「どっちが若く見えますか?」。会場のムードは“天野さん”な感じ。…天野さんが“若い”というより、監督のほうが明らかにしっかりしていらして大人っぽいからだと思います(笑)。
 「ほんとに同い年で。78年生まれなんですね」。天野さん「78年会。今結成した!」。及川監督「たまにメールのやりとりして。…のみなんですけどね(笑)」。
 いままで及川監督がからんだ役者さんは、みんな年上の方が主役で、初めて同年代の人が一番現場で一緒にいて、長く芝居を作っていくというのが新鮮だったとのこと。
 主演は天野さんで、出番も差があったりするけれども、みんなキャラクターがしっかりしていて、やっていてとても気持ちがよかったとのこと。

 肥野さんには、初めて映画の現場に入ったということで、上手にできましたか、と。
 「全然、真っ白でした」でも「楽しかった」とのこと。
 肥野さんには今後の抱負を、という質問に、なぜ抱負!? という空気を漂わせつつ「…がんばっていきたいと思います」と、天野さんだったらおぼろ〜な感じになりがちなお答えを、しっかりした口調でお答えの肥野さん。

 中島さんもお芝居が初めてとのこと。
 「役づくりとかどうしたらいいのかほんとにわからなかったので…『ガラスの仮面』とか読んで、そんな感じでやりました」。
 木内さん「『ガラスの仮面』参考になりましたか」中島さん「“私は…敏江!”みたいな」。
 …面白すぎです中島さん!(笑)
 そして、『ガラスの仮面』を参考に熱演されたという中島さんですが、本編中の出番はあれっというほど短く(笑)。そんなこんなも含めて最高です(笑)。

 木内さん「大村さんも演技初めてですか」大村さん「30年ぐらいになりますか」。
 木内さん「大村さんには真面目に質問を」と、今まではなんだったんですかーっ!な木内さん「若い子だ増えてきましたが、今後…」。
 大村さん「まだまだ負けてられないな、と」。
 現在44歳の大村さん、18歳のデビュー当時は年上のスタッフばかりだったのが、今は監督も共演者も年下のことが多くなってきたけれども、同年代にエールを送りたい、40代50代は元気がないといわれるけれど、自分が頑張って、負けないでやっていきたい、との力強いお言葉。


【主演俳優さんらしく。最後のメッセージ】

 そして最後に、ということで「作品を観る皆さんにメッセージを、天野さんから」。
 天野さん「オレですか!?」。主役さん!!
 見てねー、みたいな感じでも、カメラ目線でも、と言われて天野さん「カメラ目線!?」そして「どこだろ…」とカメラを探される天野さん。そんな天野さんに、あそこあそこ、と、寄り添うようにしてカメラの位置を教えてあげたりされている及川監督。なんか好きです、及川監督と天野さんの、穏やかな2ショット。
 天野さん「ほんとにみんな一所懸命やってます。あと、編集も、すごい一所懸命やってもらってます」。
 “編集をすごい一所懸命やってもらってます”というのは、ちょっと珍しいコメントのような気がしますが、天野さんと及川監督の親しさの表れのようで、とってもハートフル。
 「絵がきれいです。変わった世界観、不思議な感じでしあがっているので…バレちゃだめだから、あんま話せないんですけど…。
 何回か観てください」
 …と、かなりしっかりお話されてるなあ、と思っていたところに「何言ってるんだろう…」と、自分がわからなくなる天野さん(笑)。
 ですが、すぐに気を取り直して「楽しんでいただければいいと思います。楽しかったら皆さん、周りの方に宣伝していただいて、たくさんの方に観ていただけるとうれしいです。」と、主演俳優さんらしく、しっかりとPR。
 最後の「お願いしますっ!」が力強く、さわやかでした!


【心地よく、せつなくも心地よく。『Happy Birthday』】

 そんな和気藹々の舞台挨拶の後上映された『Happy Birthday』。
 心地よい作品でした!
 天野さんの声がやわらかくて、天野さん演じる耕平くんが優しくて、音楽も素敵で、映像がきれいで、そして物語のラストが、ハートフルで(かなり残酷なシーンもある、ストーリーとしては殺伐とした作品なのに!)。
 耕平くんのことが、あまりにも大好きになってしまって、ちょっと困ったな…というぐらい。
 (あまり耕平くんのことを好きになっちゃうと、かなりせつないものがあって、ほんとに困るんです…)
 穏やかで優しい天野さん耕平くんの声、劇場の音響で聞くのが、すごくいいです。映画を劇場で観るのがとりたてて好き、というわけではない自分ですが、この耕平君の声は劇場で聞きたい、この声には劇場で包まれたい、という願いがひしひしと。
 都内で上映だったら、仕事をいったん抜けて観て、また戻る、ぐらいしてしまいそうなので(むちゃむちゃ忙しくて、深夜までやってぎりぎりの時期なのに!)、それはムリな横浜での上映で、よかったかも…
 舞台挨拶の日は、上映回数が通常より少なかったのですが、17:30まで待って、もう一回観ました。観ずにはいられないぐらいでした…
 皆様もぜひ、劇場で耕平くんの優しさに包まれてみてほしい、そう思いました!




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