舞台も踊る大捜査線
ザッツ・スリーアミーゴス


天野さん御共演者様: 小野武彦さん
(『First Love』)

 2003年8月15日(金)の夜は、『First Love』で夏澄&朋子のパパ・江沢守役の小野武彦さん御出演の『舞台も踊る大捜査線! ザッツ・スリーアミーゴス』(スタジオ・ドリームメーカー)を観てきました!
 タイトルからわかる通り、明らかに現在公開中の『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ』PRの一環のイベントですし、プレイガイドのチケット情報だと“トークショー”ということだったので、まあトークショー+αぐらいかなあ、と思って観に行ったのですが、第1部のお芝居部分も結構ボリュームがあって楽しく、見応えがありました! これでチケット1800円、あまりにもお買い得!
 席は…気恥ずかしくなるような、最前列センター(チケぴで一番の席では)。前にも後ろにも誰〜も並んでいない福岡市内のチケぴで朝一に買えたので、大ラッキーでした!(チケット、全公演即日完売していた人気公演のようだっただけに、よけい!)

 開演前のロビーも、湾岸署のマスコット・湾岸君の着ぐるみが愛想をふりまいていたり、関係者からのお花があったり、『踊る大捜査線』とは関係ないけれど、フジテレビの夏ドラマ『僕だけのマドンナ』や『ウォーターボーイズ』の台本や出演者サインのミニ展示があったりと、なかなか華やかで楽しい雰囲気(『ウォーターボーイズ』メインキャスト5人のサインは、主演の山田孝之さんと、プチ太っちょ役でいい味の石井智也さんの、フツウに名前を楷書で縦書きしただけのサインが、ものすごく素朴で新鮮でした…特に山田孝之さん、プライムタイムのドラマの主演俳優さんのサインとしては画期的なのでは!)
 おおっ、と思ったのが、【First Love 第3話】に、朋子が子供の頃いた施設の職員役として出演されていた広澤草さんあてのお花があったこと! しかも贈り主は、『少年サスペンス「謎の男子転校生」』の堤幸彦監督!  堤監督が撮影されているSMOOTH ACEの『逢いたいね』のPVや、『池袋ウエストゲートパーク』(第1話&スープの回)、『愛なんていらねえよ、夏』(第1話)、『ピカ☆ンチ』に草さんが出演されているようなので、そのツナガリかと。
 天野さん共演者様で観られるのは小野武彦さんだけだと思っていたのですが(それだけでも十分すぎるぐらい…)、思いがけずもうお一方生で観ることができて、またまた大ラッキー!

 客席(劇場ではないので、パイプ椅子を並べた空間)のほうからは、開演前なのになぜか笑い声。
 入ってみると、舞台(かなり高さが低くて、ほんとに目の前!)の両脇に、やや大型のモニター。
 そのモニターに、黒地に白ゴシックの文字が次々に浮かんで、どうやらサイレントで前説をやっている模様(笑)。
 “ヒマだから”“拍手の練習でもする?”という映像に、拍手する観客(笑)。さすがに“立ち上がって!”や“ウェーブ!”にまで従うノリにまでは高まっていなかったのですが、幕が開くと…(笑)。
 モニターではさらに、映画館用の流用と思われる、ユースケ・サンタマリアさんと筧利夫さん御出演の“携帯の電源は切れ!”注意の映像(凝ってます!)。
 拍手練習を繰り返していたモニターは、“ホントもー雨の中”“埋め立て地くんだりまですいませんねー”と、話を進め。
 “OD2みました?”“観た人手を上げて”“観てない人は”
 “帰れ!!”(笑)
 “だってこの舞台、ネタバレしまくりだからね”
 こんなところまでも映画のPR…というより、ここにいらっしゃる皆さん、ほぼ全員(何回も)観てるんだろうなあ、と(笑)。
 “返事は?” “聞こえない” といった文字も、いかにもイベントっぽく(笑)。

 そして開幕。
 舞台は署長室。映画・TVのセットを流用したのか、予算がたっぷりあるのか、普通の舞台にしても大道具・小道具がなかなか立派で、ディテールこだわりまくりの感じが。
 この舞台装置、署長室の入り口のドアの奥の廊下や、ドアの裏側まで立派に作ってあったのがすごかったです(廊下には絵までかかっていたりして)。
 というのも、さっきまで前説で大活躍だったモニターが、四分割の画面で、ドアの裏側、廊下、もうちょっと先の廊下、エレベーターを映し出していて、舞台上とリンクしているという仕掛けになっていたため。この画面の中でも芝居は行われ、さらにはエレベーターのドアが開くと湾岸君が乗っていて、うわぁっ!というような小ネタの繰り返しがあったりと、楽しく機能してました!

 そこに木村陽子巡査(Cast:木村陽子さん)、続いて広澤草巡査(Cast:広澤草さん)が、おそうじのために登場。
 この広澤草さんが、可愛い! 生で拝見して、こんなに可愛い方だったとは!と、思い切り開眼してしまいました!
 この可愛いお二人の巡査さん達は、劇中の“去年の忘年会”“今年の忘年会(予定)”で、お二人で振りつきで熱唱したり、質問コーナーではマイクを持って客席に走ったりと、大活躍。おじさま達の舞台を観にきたわけですが、いやー、可愛い女の子はいいなあと、いわずもがなの再認識を(笑)。

 そしてスリーアミーゴスの、秋山副署長(Cast:斉藤暁さん)、袴田健吾刑事課長(Cast:小野武彦さん)が登場すると、会場さらに、拍手で盛り上がり!
 そして最後に、神田署長(Cast:北村総一郎さん)が客席センターの通路から登場するや、黄色い歓声と、おさわりの手、手、手(笑)! しかも北村総一郎さんが、マメに握手を返したりされるもので(舞台に上がってから北村さん「今のとこ、セリフあったんだけどね」【笑】)、会場一気にヒートアップ!
 御登場は他に、緒方薫盗犯係巡査部長(甲本雅裕さん)、森下孝治強行犯係巡査部長(遠山俊也さん)、この回のゲストとして魚住二郎強行犯係長(佐戸井けん太さん)。

 ストーリーは、劇場版のストーリーの後、秋山副署長、袴田課長にそれぞれ栄転の話が密かにやってきていて、二人はウキウキ、ソワソワ(でもみんなには内緒)。
 その情報をキャッチした緒方、森下も、人に話したくてしかたなく。でも、その二人がいなくなったら、あの署長の面倒は誰が見るの!?…というお笑いシーンが楽しく展開され、でもラストは、被疑者を殴ってしまった緒方巡査部長をかばい、湾岸署員には自由にさせたいと、本庁からの電話にタンカを切ってしまう署長の姿に、副署長、刑事課長は湾岸署に残ることを決める…(でも署長は、進退伺いを、勝手に3人の連名にしていた…というオチつき…)

 ストーリー的にはなんとなく、半ばコント的なのですが(『お江戸でござる』とか、こんなノリ?【笑】)、とにかく皆さん芝居上手なので(たとえば小野武彦さん、『First Love』では、お母さんが倒れたときに娘達に連絡を取ろうとして電話をかけるとき、あわてるあまり「ゼロ発信は会社だ」などとうまくかけられなかったりするシーンがすごくリアルでしたが、この舞台でも、携帯で電話をかけるとき、番号を押すのに顔が微妙に変化[口元が伸びるというか【笑】]していて、いかにも“オジサン、携帯をかける”という雰囲気に!)、間近で観られるのがたまらなくしあわせ。
 甲本雅裕さんと遠山俊也さんが、しゃべりたいけどしゃべれない…お前しゃべれよ…で結局、お互いにバラしてしまう、というくだり(のどまで出かかった言葉が飛び出してしまって、掃き集めた別のところでしゃべりだしたりと、ちょっとシュール【笑】)では、そのいかにも舞台っぽい動きで、“舞台を観た〜!”という満足感も。
 客席にも、その満足感はみちみちていた模様。舞台最後、無人前説で練習した拍手、無人前説では皆さんノらなかったスタンディング・オベーションやウェーブも、この盛り上がりの中では皆さん、画面の指示通り、すっと自然に! この楽しい気分を表す方法を、誘導してもらえてよかった! と思えるぐらいに!

 そして第2部。
 こんどは有人前説で(笑)、甲本さん&遠山さん御登場。
 甲本さんの「後ろのほうの方は、客席の構造上観にくいところを、楽しんでいただけた雰囲気が伝わってきて、こちらも楽しんで演じられました。指示にいろいろ従っていただいたのも、ありがとうございました」というお言葉が、なんともハートフル。
 そして、スリーアミーゴスを呼びましょう、という段で「ワガママですから、呼び方が悪いと、出て来ないかもしれません。」ということで、“GO! アミーゴ!”という掛け声を客席と練習していると、呼ぶまでもなく出てくるお三方。
 北村さん「さっきから出たくてしかたがなかったんだよ!」(笑)。

 ということで、スリーアミーゴスのお三方に、ゲストの佐戸井けん太さんを交えてのトークショー。
 佐戸井さん、「髪型が変わったね」と指摘されると「いろいろ仕事してるもんで」(笑)。この日も京都から駆けつけられたそうです。
 ここでモニターが“家庭の事情ですか?”と表示すると、佐戸井さん「複雑なんですよ」。会場大喝采!
 そして“家庭の事情”云々は、役でのことだよ、と指摘されると、あっ!という表情になる佐戸井さん。
 会場にウケられると「驚いてみせたら、ウケると思ったんだよ!」(笑)。

 そして質問コーナー。
 あらかじめロビーで、お客さんから箱(金属製で、湾岸君がプリントされていたりして可愛い!)に入れてもらった質問を、遠山さんが読み上げる…のですが、佐戸井さんから「遠山は漢字が読めないからね」。このコメントには、どなたかから「劇団(夢の遊眠社?)の上下関係は厳しいね」との突っ込み(笑)。
 序盤は、神田署長への「婦警の佳子さんは、いつ落としたんですか?」(北村さんの、神田署長そのものの「落としてません! ただちょっと、甘酸っぱい気持ち…テニスのときにちょっと手が触れたりね」といった熱弁、楽しかったです)とか、秋山副署長への「愛犬のカンダとはうまくやってますか?」(深夜の4夜連続15分番組『深夜も踊る大走査線2』でやったネタ。客席のコアさに、斉藤さん「ありがとうございます」)といった、役に対する質問。

 その後、会場から直の質問を求めるようになり、キャストさんへの質問がいろいろ。そうなってくると、キャストさんの個性が現れて、ますます面白く。
 たとえば「『踊る』のTVシリーズ、スペシャル、映画を通じて、好きなセリフは?」という質問。
 斉藤さんはきっぱり「ない」とのこと。「そうでございますね」とかそんなセリフばっかり!なので(笑)。
 北村さんは、戒名(事件の捜査本部の名称)をつけるとき、あれこれすったもんだ検討して作り上げたはての「長いね」というセリフ。このへんに来るあたり、ミョーに北村さんのキャラクターに合っていて、ものすごく納得してしまいました(笑)。
 小野さんは、TVシリーズで真下(Cast:ユースケ・サンタマリアさん)が撃たれて、青島刑事がぼーっとしてしまっているときにかける「青島!」と、シリアス系。なんとなく、小野さんの雰囲気が伝わるようなチョイスで、これまた味がありました。

 「若い頃はどんな刑事でしたか?」という質問は、キャラクターへの質問だったのですが…
 斉藤さん as 秋山副署長「若い頃は和久さん(Cast:いかりや長介さん)みたいな、シブい刑事になりたかったけど、家庭の事情で出世に走ったんですよ」
 北村さん as 神田署長「3人の経歴については、本が出ているので、それを読むように(笑)。細かい設定は、今忘れたけど、受験勉強には苦労した。だからこそノンキャリアでここまで来られた」
 小野武彦さんは、役ではなく、小野さんのお話で。「若い頃の刑事といえば、20代後半は、よく刑事役をやっていました。20代前半は、犯人役が多くて、2人いる子どものうち、1人目は犯人役で、2人目は刑事役で育てました。その頃は、走ったりして活動的な、よく働く刑事役でした」
 ここで客席から、そのドラマのタイトルの声がかかると、小野さん「よく御存知で。他局なんですよね」と、大人のコメント。
 でも、スクリーンには“大都会”と、そのタイトルがくっきりと(笑)。
 その後スクリーンには、北村総一郎さんのお若い頃の写真が。その二枚目ぶりに、客席、どよめき!

 遠山さん as 森下巡査部長には「結婚おめでとうございます。奥様は元ヤンとのことですが、どちらからプロポーズされたのですか?」
 そんな設定にないことを尋ねられて困った遠山さん、「魚住さんが話をもってきて…ねえ?」と、魚住係長役の佐戸井さんに頼る(笑)。
 佐戸井さんは落ち着いたもので「親戚から頼まれて困ってたんですよ。それで机に置いておいたら、森下が勝手に見て」とすらすらと御回答。このナイスフォローに、客席大拍手! 佐戸井さん「こうやって話は、どんどん作られていくんですね」(笑)。
 遠山さん、最後にようやく「妻が元ヤンだということは、結婚後に知りました」と、シメ(笑)。

 最後の質問は、甲本さんの指名で、5歳ぐらいと思われる男の子に。キャストさん達、子供のお客さんは珍しいのか(実際、ほとんど大人のお客さんばかり。まあ当然【笑】)、「可愛いー」としきりに。
 その質問は「小さい頃、どんな幼稚園でしたか」。
 子供らしくて可愛い! うえに、なかなか意表をついていて(大人には思いつかないし、舞台の上のおじさま達とのギャップが最高!【笑】)、しかも「若い頃はどんな刑事でしたか」という前述の質問のパロディのようでもあり、最高の質問でした!
 ただ、ちょっと心配されたのは、スリーアミーゴスのキャストさんの世代で、どれぐらい幼稚園に行っていらしたか、というあたり。案の定、北村さんは「行ってなかった」とのお答え(周囲から「戦後のどさくさで…」という突っ込みあり【笑】)。
 でも、心配は杞憂で、他のキャストさんはOKでした。
 斉藤さんは「セントポール幼稚園でした」といって、これ、と、十字を切るしぐさ。斉藤さん、『ソムリエ』でも神父様役を演じられたりしていたこともあり、なかなかよかったです!
 小野さんも「2つ行ってました。1つ目は上馬の幼稚園、2つ目は上高井戸の幼稚園で、キリスト教系でした」と、丁寧なお答え。
 この質問、スリーアミーゴスのお三方にも、幼稚園児(相当の年齢)の頃があったんだ…という、当たり前だけれど普通考えないことに思いをはせられる、ステキなラストの質問でした!

 そしてカーテンコール。
 本当に盛り上がったイベントでしたので、拍手鳴りやまず、カーテンコールは3回。
 最後には、スリーアミーゴスのお三方だけ登場され、北村さんからお言葉。
 「今回は本広監督が舞台の初演出で、映像と組み合わせて舞台の裏まで見せるという斬新な方法を使って、面白くでき、参加できてほんとうによかった。本広監督は、これから舞台のほうも、どんどんやられていくのでは。  皆さん、愛をたくさんくださって、ありがとう!」
 (結構感動的!)
 そして最後に小野さんがさりげなく「ゆりかもめは混んでいるようです。りんかい線もありますので」と、興奮冷めやらぬ客席にお帰りをうながすあたり、最後の最後まで大人の味で、シビれました。

 このイベント、たまたまネットでみつけた、という感じだったので、観られてほんとうにラッキーでした!
 小野武彦さんをはじめ、この舞台に出演された俳優さんと天野さんとの御共演が観られる日、来るといいなあと、心から思います!

(ゲストブック書き込み:2003年8月28日)


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