CHILDREN


天野さん御共演者様: 小野寺丈さん (『本気!』シリーズ)
石橋保さん (『本気!』シリーズ)
岡元あつこさん (『賭事女王』)

 2004年5月22日(土)は、昼間は新宿で『仮面ライダー剣』烏丸所長役の山路和弘さん御出演の舞台『曲がり角の向こうに』を観て、その足で下北沢に向かい、本多劇場で、『本気!』シリーズ夢作さん役の小野寺丈さん作・演出・出演、『本気!』シリーズ本気さん役の石橋保さん、『賭事女王』雀役の岡元あつこさん御出演の舞台『CHILDREN』を観ました。
 予約のみ&当日精算でのチケット購入でしたので、当日まで席がわからなかったのですが、最前列センターで大ラッキー!
 ぜいたくに楽しみました!

 最初の舞台は、2日跡には取り壊されてしまう小学校の校舎。
 そこに集まっている、かつてその小学校の生徒だったり、その近所にいた人々。その中には、小説家をめざして父親(Cast:大島宇三郎さん)と対立、家を出ている太地(Cast:小野寺丈さん)や、子供の頃のある日から心を病んで「ひまわりの花びらが降ってくる…きれい…」としか言わなくなってしまった妹・英美里(Cast:村田洋子さん)を支え、妻との仲がぎくしゃくしている徳さん(Cast:小野寺昭さん)、子供の頃列車事故で兄を失った多門(Cast:清水拓蔵さん)、子供の頃は病弱だったけれど、今は筋肉隆々の健康体になっている亮一(Cast:AKIRAさん)、ずっと植物状態でいたために記憶を失っている尚人(Cast:石橋保さん)、尚人の母(Cast:岡元あつこさん)によって植物状態の尚人から遠ざけられ、今はフィアンセがいる美穂(Cast:山田まりやさん)といった人々がいた。
 同級生達の一人・可奈絵(Cast:最所美咲さん)が、音楽室に、時の扉を発見。そこをくぐって一同は、その世界にいた子供時代の自分と入れ替わって、子供としてその世界に入りこむことになる…というのが、この『CHILDREN』の世界。

 オトナの役者さん達が、小学生やら赤ちゃんやらの服装になって走り回る、というだけで激しくインパクトがあったはずなのですが、いかんせん前日に『バナナがすきな人』で温水洋一さんの小学生を観てしまっていたので、その点は残念ながら(笑)。でも、子供になった皆さんが、ダブダブの大人服を着た状態になったところは、かなりインパクト! でもでも、石橋保さん、小学生のかっこうでも違和感ナシなのは、どういうことですかーっ!状態!
(石橋さん、ヴィジュアルもそうなんですが、声も若々しい青少年声なんですよね! ちょっとぜいたくですが、静かなシーンのときにちょっと目を閉じて声だけ聴いてみたりして、その少年性をタンノウしてもみたりしました。)
 そのインパクトが薄れた分、シリアスなストーリーに、すっと集中できた…どころか、せつなさの相乗作用で、より気持ちの触れ幅大で観られたかもしれません。

 子供になっちゃったよーっ! というドタバタに始まり、笑いのあるシーンもたっぷりだったのですが、ストーリーはシリアスな人の心の機微や揺れがたっぷりと描かれているもので、それを“遠い過去”というなつかしさのフィルターがかかった状態で観るということで、なんともぐっときました。
 一番じんときたシーンは、小野寺丈さん太地と石橋保さん尚人が、それぞれ父の、母の気持ちを知るシーン。
 太地は妹の友香から、現実世界の老父が病で余命いくばくもないこと、太地の小説修行に反対しているようでいて、ファンを装って雑誌にファンレターを送ったりしていたということを聞かされるのですが、それを知って、小さな太地を無邪気といってもいいような愛しっぷりで可愛がる昔世界の父親を目の前にすると、いとおしさが涙とともにこみあげてくるという感じで。
 尚人は、母親が一度受け取った後埋め戻したタイムカプセルに入れられた母の手紙で、母親が美穂のこれからの人生を思いやって美穂を尚人から遠ざけたこと、尚人を生きさせるために自ら命を絶って、生命保険金を尚人に残したことなどを知るのですが、こちらも、それを知って、子供の尚人を優しく愛する母親の姿を目の前にすると、たまらないせつなさが。
 小野寺丈さん太地の父親とのシーンには、小野寺さんの味のあるしぐさ表情とともに、小野寺さんがいろいろなところで繰り返し語られているお父様への思いや、お父様から激励された思い出のことなども重なってよりじんとしますし、石橋さん尚人の涙は、生で観るとさらに迫ってくるものがあって。

 そして、校舎取り壊しの日=もとの世界に戻るタイムリミットが近づいてからの、石橋さん尚人と山田さん美穂の心の動き。
 いろいろなことを知ってしまった尚人が、あちらの世界に戻ったらつらいことばかりなのに、という美穂に、「つらいことが多いからこそ、帰りたいんだ」と言い切る、凛とした強さの美しさ。
 その強さ美しさに感動する一方で、何があっても尚人を待つことができなかった現在の世界に戻ることを選べず、今度こそは何があっても尚人を待つ、と、過去の世界に残った美穂の気持ちもすごくわかって、どちらにも共感できるだけに、そのふたつの気持ちが“別れ”という結果を生んでしまったことが、たまらなくせつなく。
 ラストシーン、美穂が戻らなかったために、現在の世界に取り残された子供時代の美穂を尚人が抱きしめて「パパになってあげる」と宣言するところは、光と、舞い散るひまわりの花びらの紙吹雪が、とにかくきれいで感動的でした。
 ひまわりの紙吹雪、薄紙をダイヤの形に切ってあるんですよね。ダイヤの紙吹雪って、こんな風に激しく回転して、震えるように見えながら舞い散るんだ…などと思いながら、その美しい世界にひたりました。


(ゲストブック書き込み:2004年5月26日)


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