本気!21

天野さん御共演者様: 石橋保さん 誠直也さん 本田博太郎さん
賀川黒之助さん 小野寺丈さん

(『本気!』シリーズ)
菅田俊さん
(『BE-BOP HIGHSCHOOL「武闘派番長・血闘篇」』)

 天野さん九くんに正式にサヨナラを告げる『本気!21』、観ました!

 天野さん九くんが、寝たきりのお母さんの世話をするために郷里に帰った、という説明は、もちろん冒頭、『本気!』世界では当然のごとく、あの赤い橋で。
 このシーン、“説明”なんですが、それぞれに“らしい”兄貴さん達のセリフやしぐさのおかげで、“説明”以上のものになっていました! 九くんがいなくても、九くんがいたときの九くんへの接し方そのままな、兄貴さん達の。
 いつも九くんにストレートに優しかった北脇さんは「泣かせるじゃありませんか、寝たきりのおふくろさんの面倒をみたいなんて」と、やっぱり九くんをほめてくれる、暖かい言葉。
 本気さんは「いなくなってみるとさびしいもんだな」と、実際にいなくなってみるまでは、さびしいというよりほっとしてたってことですか、本気さん…? という感じの、九くんのために命を賭けまでしてくださったりもするわりに、微妙〜に“めんどくせぇー”という本音が感じられたりもした(笑)、でも、九くんを見るときとても屈託ない笑顔をみせるようになっていた本気さんの気持ちが凝縮されたようなせりふ。
 そして一番感覚に訴えかけたのが、夢作さん! そもそも、本気さんが赤い橋で物思いにふけっているところに「九の野郎がいないと、調子狂っちゃいますね」と、九くんの話題を出してくれたのは、夢作さん。そして続けて「いつもこのへんにいたのに」と、いつも九くんがいたあたりに、まるでそこにいる九くんに触れているように手を動かすしぐさがいかにも、いつも一番九くんとスキンシップを図っていた夢作さんらしく! まるで九くんの体温まで感じられるようなその動作、最後までの大サービスでした!
 時間にしてみたらほんの短い時間の、でも、九くんと兄貴さん達の暖かい触れ合いが確かにあったということを確認させてくれての、サヨナラ九くんシーン。こんな風に九くんを暖かく送り出していただけたこと、とてもうれしく、ありがたく思います!

 …なのですが、やっぱり天野さん九くんがいなくなったことで、気持ちに穴が空いてしまったみたいです。  それを感じたのは、天野さん九くんがいたときには、手に取るようにわかる! とさえ思えた本気さんの気持ちが、本気さんの表情をみていても、見えなくなってしまったと気づいたとき。セラミュの“御卒業”でも経験しましたが、気持ちに穴があくと、何かひとつそういう“目”を失ってしまうようです。
 先に書いた“サヨナラ九くん”のシーンでも、遠くを見るような目をしたままほとんど表情が動かなかった本気さんの気持ち、“見えた”という実感が、悲しいことに持てませんでした。もっとがんばれ、自分! という感じです(泣)。
 そんな感じで、本気さんの心の動きを十分に感じ取れなくなってしまった状態の自分でも、石橋さんの表情そのものの好ましさは、いっぱいに感じました! 特に楽しかったのは、九くんの代わりに入ってきたギンジ君が、津軽弁で言い訳をしたのを聞いたときの、思わず腰を浮かせそうな雰囲気での「お前、何言ってんだ?」。本気さんらしからぬ(笑)このヒトコトの楽しさ、説明不能です! ぜひ映像を御覧になってお確かめください(冒頭シーンに次ぐぐらいの回数、巻き戻して繰り返し観てしまいました【笑】)。


 そんな風に大切な“目”を失ったワタシに、本気さんの心情を伝えてくれたのが(笑)、赤目さん!  九くんの代わりに、と赤目さんが子組に預けたギンジさんについて「赤目組でも一番の問題児で、誰も面倒を見ようって奴がいなくてな」と言う赤目さんの、預かっていた子犬を返しちゃって寂しがっている子供に新しい子犬を与えたパパのような、御満悦の表情!
 本気さん激ラヴの赤目さんが本気さんを困らせようとするワケがなく、問題児のギンジさんを本気さんに預けたのも、大の問題児だった九くんがいなくなって本気さんがすっごく寂しそうで、本気さんには九くんのような存在が必要だと思ったからなんだね、と、思わせてくれました!(その証拠に、九くん登場前に『本気!15』で赤目さんが本気さんに預けた北脇さんと夢作さんは、とっても真っ当なオトナ…)
 『本気!15』では、うなじのあたりからものすごく悲しそうな雰囲気が漂っていた本気さんが、巻を重ねるごとにどんどん明るくなっていった過程を思い起こすと、それってあながち妄想じゃないかも(笑)。

 九くんの代わりに赤目さんが預けたギンジさん(Cast:三上大和さん)ですが、全くの新採ではなく、赤目組に一応いたということで、登場シーンで高校生とケンカしていたということ以外は、かなりちゃんとした方でした(笑)! 天野さん九くんより格段にオトナです!(電話とか、最初からちゃんと応対しそう【笑】!)
 問題の高校生とケンカしていたこと(そのとき、それが赤目さんが預けようとしているギンジさんだとわかったときの本気さんのあきれの表情、素晴らしかったです! タイトルの直前にあの表情がくるというあたり、すっごく『本気!』って感じで、ほっとしちゃいました【笑】)についても「未青年が昼間から酒ばっかり飲んでいたので注意した」と即座に理路整然とした(!?)言い訳が出るあたり、セーラームーンミュージカルでの天野さんの御後任・江戸英雅さん(江戸タキ先生!)をちょっと思い出しました(笑)。

 と、今回も、染夜さん最高でした!
 血も涙もなさそうな川島組の事務所で、「いい夢見てたのに」と、むっくり昼寝から起きてくるというスバラシイ登場をされる染夜さん、ほんとうに観ていて大喜びしちゃいます!
 最初は「クビにしてくれてもいいんだ」とか言っていたのに、本気さんがからんでくると、途端に「オレはここにいることに決めた」と、雇い主の意向も全く聞かずに決めちゃう染夜さん(しかも、ものすごぉーくうれしそう【笑】)。むちゃむちゃ強面なのに、染夜さんを全くコントロールできずに困り果ててる風の川島組組長さん達の演技とのコンビネーション、ユーモアさえあふれまくりで、もう最高です(笑)!
 そして「お前は組長なんだから鉄砲玉みたいな真似をするな」と本気さんを諭すわ、川島組が覚醒剤を関西に流していた証拠を探り出して赤目さんに報告しているわ、このお方は一体何者? というほどの超重要なお働き!
 やっぱり『本気!』シリーズに、染夜さんの存在は欠かせません!

 と、うれしかったのが、今回のラスボスの菅田俊さん〜!  菅田さんといえば、『BE-OP HIGHSCHOOL 武闘派番長・血闘篇』の、ヤクザにしか見えない刑事さん・島崎巡査部長(鬼島)。天野さんヒロシ君にとっても親切だった鬼島さんの、あの肩を抱いて話しかけるしぐさと同じようなしぐさが今回の『本気!21』でも出てきて、『武闘派番長血闘篇』での鬼島さんがヒロシ君を可愛がってる(笑)しぐさや声、鬼島さんにびびりまくりの天野さんヒロシ君がみせてくれた、へこっと頭を下げながらの笑顔、やわらかーい声でのていねいな言葉、上目遣いの表情、とむちゃくちゃ可愛い映像の数々が自動的によみがえってきて、『本気!21』のストーリーとは全く関係なく、気持ち良くなってしまってました!
 これに関しては本当に、全然ストーリーを追ってなくてスミマセンと平謝りに謝るしか…。
 それにしても、菅田俊さんを観てこんなにしあわせになれるというのは、楽園へのパスポートを手にしたようなものでは…と気づきました。菅田さん御出演作品、もっと観ていきたいです!

 そして、メインのストーリー。
 は、かなり衝撃的なものでした。
 本気さんが2巻から14巻までずっと一緒にいた新二(Cast:KOJIROさん)が、今回殺されてしまう人だと気づいた瞬間(『本気!』シリーズを観続けていれば、かなり早い段階でわかります…)には、その厳しさに、体温がすっと下がる思いでした。少年ジャンプ系の作品や『セーラームーン』であれば、死ぬシーンがあっても必ず生き返るであろう位置の登場人物(しかも、とてもキャラクター性があって、魅力的な人!)を、生き返りのない世界で死なせてしまうあたり、とても暖かい『本気!』シリーズも、やはり任侠系の厳しさをもった作品なんだ、ということを、今更ながら感じました。
 だから、九くんには、帰ってきてほしい、なんて思ってはいけないんだな、と、わかりました。そういう意味でも、きっぱり九くんを送り出してくれた、という気がします!

 そういうストーリーの中でとてもツボだったのが、新二さんの遺骨を前にして、新二さんの思い出を語る本気さんの言葉のなかに。
 「いつも“兄貴ひとりを、死なせましぇーん!”って」と、かつての新二さんの口調を口真似してみせる本気さん。  あの真面目一本という感じの本気さんが、誰かのモノマネなんていうひょうきんなことをする、という意外性つきの面白さと、その“面白さ”が、一番の悲しみの場面に出てくることによる、複雑な、そしてとてつもなく深い感情の表現になっていて、すごい、と思いました。
 …と、マトモに考える一方で、石橋さん本気さんによる天野さん九くんの口真似もみたいなあ、などと、脈絡なく思ったり。九くんを殺されたりは、困りますが(笑)。

 …と、今回は、感想、全然まとまらなくてぐしゃぐしゃです(泣)。『本気!序章』では、天野さん九くんのいるシリーズとのカラーの違いや、それを構成する人達の位置関係など、何もかもがすっとクリアに入ってきたような気がしていたのに、今回はほんとうにダメダメな自分!
 やっぱり天野さん九くんがいなくなってしまった、というのは、自分にとって、どうしようもなくさびしいことだったんだ、と、納得しました。
 でも、こんなに“御卒業”が“さびしい”と感じられる作品に出会えたということは、とてもしあわせなことだと思います。またそういう気持ちになる作品が現れるなんて、セラミュの御卒業のときには想像もしていなかったことでした。  そう思わせてくださった『本気!』シリーズに関わる皆様(村田監督をはじめとする『本気!』を作ってくださる皆様、とても親切にしてくださっている『本気!』各キャストさんのファンの皆様、一緒に『本気!』を観て、語ってくださった皆様、みんな!)に、心から感謝したいと思います!

(ゲストブック書き込み:2002年1月25日)



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