空想 万年サーカス団


天野さん御共演者様: 串田和美さん(演出)
(『ホーム&アウェイ』)
中澤聖子さん
(セーラームーンミュージカル『かぐや島伝説』『同改訂版』)

 今回の東京では、『ホーム&アウェイ』第10話で天野さんと御共演の串田和美さん演出、セラミュ『かぐや島伝説』で御共演の中澤聖子さん御出演の舞台『空想 万年サーカス団』(新橋演舞場  脚本:阪本順治監督  出演:中村勘九郎さん、藤山直美さん、柄本明さん 他)を観たい!と思っていましたが、チケット発売日がちょうど『仮面ライダー剣』記者会見関連の報道が一斉に出た1月8日(しかも自分が福岡に移動する日…)だったため、チケットがうまく取れないまま東京に来てしまいました。
 14:00開演の『ラブ・レターが』16:00前には終わってしまい、『仮面ライダー剣』を観てからゆっくりできるよう、多少席は悪くても今日チケットを買ってしまおうか…と新橋演舞場に回って、念のため当日券を聞いてみると、5列目センター近くの席があるとのこと!
 これは即観なくては!と思い、はしごに走りました(こんなに行き当たりばったりで舞台を観たのは初めてかも)。

 新橋演舞場は、“子供の来るところじゃないのよ”というフンイキ(超大人の人のための舞台がかかるところという印象!)で、憧れの劇場でした。聖子さんの舞台で行くというのは予想外で、こんなに早く演舞場観劇ができて、ちょっとうれしく。
 そういう古典的な雰囲気の新橋演舞場(花道もあれば、提灯ずらり!)での『空想 万年サーカス団』のですが、開演前、お客さんがだんだん入ってきてざわざわしている時から幕は上がっていて、役者さんが舞台の上をうろうろ。そしてそのうちサーカス団のテントの設営が始まり、そのテントが完成したところで開幕、というあたりは、これまでにもKUSHIDA WORKINGで観てきた串田演出そのもの。新橋演舞場のようなところでもそれが観られたということが、とても新鮮!
(そのほか、朝比奈尚行さんの音楽、サーカス団が旅をするシーンでの舞台をぐるぐる行進するシーンの動き、内田紳一郎さん【笑】など、おなじみ感のある要素いろいろを新橋演舞場で観られた、というあたり、不思議感覚でした。)

 聖子さんは、サーカス団の団員・マコ役。劇中で登場人物に紹介されるときの「ちょっと変わってる」という言葉通り、エキセントリックな動きに、閉じ閉じ少女な表情で、見事にマコの役どころぴったりの個性を表しつつ、その動きがまぎれもなく“聖子さんチック”なあたり、もう観ていてうれしいことうれしいこと。
 劇中、どちらかというとストーリーが進行している中心とは反対の立ち位置で、独自の動き(他の登場人物が立っているとき床にべったりうつぶせになっていたり、他の登場人物がにぎやかに話しているときに後ろを向いてしゃがみこんでいたりと、とにかくベクトルが他の人と逆【笑】)をしていることが多かった聖子さんマコですが、すごい見せ場が用意されていました。

 第3幕の幕開きは第1幕と同様、お客さんがまだ休憩時間のうちから幕が開いたのですが、その薄暗い舞台上には檻に入った虎と、人形のように脚をぴんと開きぎみに伸ばして立ち、少し前かがみで何かを持っている聖子さんマコだけが。
 そのうちに、周りのお客さんから「微動だにしないねえ」「マネキンみたい」と、聖子さんに注目する声が。
 いよいよ開幕となり、音楽が聞こえてくると、聖子さんマコ、その音にぴくんと反応。そこからからくり人形のような動きがしばし続き、最後に、解き放たれたように人間のマコの動きに戻ると、拍手喝采!
 そうそうたる顔ぶれの舞台で、こんな見せ場をもらえるというのもすごいですが、これ以外のシーンでも聖子さん、むちゃむちゃ濃いメンバーの中でも個性的で、負けてないなあ…と思えるのがすごいです。
 こんな女優さんが出てたなんて、すごいぞセラミュ、『かぐや島伝説』! と思えるぐらい!

 この『空想 万年サーカス団』、それぞれ何かしら欠落を抱えた人達の寄せ集めのようなサーカス団で、コントのようなシーン(笑)が繰り返されながら、喜びや悲しみが、コントシーンの派手さとは逆に淡々と描かれていて、そしてラスト、戦争が終わってまた団員達が集まってくるシーンでそれがじわじわと効いてきて。
 “またサーカス団を。ほら、ブランコの音が聞こえてきた…”という、回想と明日への意思(と同時に、彼らを押し流すであろう時代の波)を感じさせるラストシーンには、思いもかけないぐらいの感動がきました。
 ストーリー全体のそういう感動はもちろん、イメージ映像的に本物の空中ブランコやアクロバットを観られたこと、中村勘九郎さん、藤山直美さん、柄本明さんのかけあいが大熱演で面白かったこと(中村勘九郎さん演じる、ちょっと頭の弱い“歌舞伎のモノマネが得意なピエロ”と、柄本明さん演じる安吉が演じる猿のコンビ“ピンキー”、ケッサクでした!)など、パーツパーツも本物感があって大満足。  聖子さん追っかけで、またいいものを観られて、しあわせです!


(ゲストブック書き込み:2004年2月22日)


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