スカイハイ2
第一死


天野さん御共演者様:粟田 麗さん
(『仮面ライダー剣』)
春田純一さん
(『仮面ライダー剣』[後に御共演])

 『仮面ライダー剣』で小夜子さんを演じられる粟田麗さん御出演の『スカイハイ2』第一死(【テレビ朝日公式:スカイハイ−第一死】)、観ました!
 粟田さん演じる藤吉妙子は、飲酒運転のバスに乗り合わせて事故に遭い、二人の幼い娘を失い自らは夫(Cast:布川敏和さん)と共に生き残ってしまった若い母親。

 死者の門にやってきて“1.天国に行って再生の準備をする 2.現世に霊としてとどまる 3.人一人を呪い殺し、自らは地獄で再生のない永遠の苦しみを続ける”の選択肢を迫られるのは、事故で亡くなった、二人の幼い少女達、身寄りがなく人恋しさからバスに乗っていた老人、服役している間に兄貴分に恋人も何もかも奪われて居場所のなくなったヤクザの4人。
 4人は死んでここに来た、というイズコの言葉を最初は信じられず、子供達を連れて帰ろうとさまよった老人も、子供達をうるさがっていたヤクザも、あどけない少女達のために一番よいようにと、自らの選択を考えるようになり…というストーリー。

 粟田さん演じる妙子は、最初は、いかにも平凡なお母さん。
(そもそも、『仮面ライダー剣』の第3話予告では、天野さん橘さんの身体の不調に関わってくるお医者さん役としてはあまりにも若くて可愛い女の子、という印象だったのに、この母親役での登場は声からして完全にオトナで、そこからしてびっくりしました【笑】)
 子供達のお葬式のシーンで棺にとりすがって泣くシーンや、運転手に飲酒運転の疑いがあると刑事が夫婦に告げにきたときに憤りとともに泣くシーンで、泣き顔の美しさを印象づけるという演出でもなく。
 妻が子供達のビデオを観ていると、つらくてそんなものは観ていられない、と、夫が乱暴にビデオを止めたことからはじまる口論のシーンでも、夫を責めていないと言いつつも苛立った口調を夫にぶつけるところも、観ている方の同情を誘うような感じでもなく。

 それが、夫が飲酒運転をして反省のそぶりもない運転手を殺そうとして刑事に止められる短いシーンなども経た後の、子供達が通っていた幼稚園のクリスマス会のシーンあたりから、変化が。
 子供達の遺影を抱えてクリスマス会に参加する夫婦。「娘達も、楽しみにしていましたから」と幼稚園の先生に告げる粟田さん妙子さんの声は、前半の激しい泣き声や、苛立った声とはうって変わった(そして、事故が起こる前の声とも違う)穏やかな声。
 他の子供達が、亡くなった少女達が歌っていた歌を斉唱するのを見ながら、夫に娘の遺影のひとつを渡すとき、一瞬見せる、泣きそうな顔での微笑みは、前半の二人の嵐を観た後では、それだけで観ていてもう泣きそうになるぐらい、ぐっときます。すごく微かな表情なんですが。
 イズコに肉体ごと地上に下ろしてもらったヤクザが、そのクリスマス会にサンタの扮装をして現れ、子供達がクリスマスプレゼントにと両親や友達のために描いた絵を届けたシーンで、届けられた中身が娘達の描いた絵だと真っ先に気づくシーンの表情も、すごくナチュラルで、でもすでに“美しい”と心に響いてくる表情になってきていて。

 現世のラストシーン、夜の公演のブランコに腰掛けてプレゼントの絵を観ながら、粟田さん妙子さんが夫に、娘達は自分達のそばにいる、自分達のことをずっと見ていてくれる、元気出して、頑張って生きて、そう言ってくれてるんだと思う、と語る表情、夫の「俺達、前に進むしかないんだよな」という言葉に、うん、とうなずく泣きそうな表情、そこから笑顔をつくって星空を見上げ、二人寄り添って次々に降る流れ星をみつめるせつない表情は、前半のシーンではあくまでも“平凡な人間”だった人が決意して、そこまで辿りつけた姿だからこそ、尊く、力強く、観ているこちらも勇気づけられる、そういう底力のあるものでした。どちらかというと地味で、ごく“普通”の表情なのに、観ていて感情がゆっくりと、内側からの力に押しあげられて高まってくるような、そういう感じ。

 この作品、人によっては、大切な人を理不尽に殺されてそんなに簡単に心が回復するものじゃない、あまりにもおとぎ話に過ぎる、と、不快に思う人もいると思います。もし『仮面ライダー剣』の第3話予告を観る前にさくっと観ていたら、自分もそう思ったかも。
 でも、『仮面ライダー剣』の第3話予告を観て、そういう思い入れ込みでこの作品を観ると、この夫婦が立ち上がるさまが『仮面ライダー剣』OP曲の“それても明日を探せ”という部分とダイレクトにリンクして、もうたまりませんでした。
 いいタイミングで、いいものを観たと思います。
 粟田さん小夜子さんと天野さん橘さんのシーン、大事に大事に観ます!

 ちなみに、この『スカイハイ』第一死では、事故で亡くなってしまった二人の幼稚園生の女の子達がたまらなく可愛く。
 二人で寄り添うようにえんえん泣いたり、無邪気にお絵かきしたり、つぶらな瞳でおじさん達を見つめたり、にっこり笑ったりするだけのこの子達がやたらと可愛く感じられるのは、『剣』のキツイことをばんばん言う天音っちに慣れ親しんでいるから?(笑)
 …と思ったところで、天音っちはそれはもうしょっちゅう、いかにも“子供らしく”泣いたり笑ったりだけしてるような子達と比べられて、キツイことばっかり言って可愛げのない子とか思われてるんだろうな、きっと本人も、そういう他人の目に思うところもあるんだろうけど、でもやっぱり、天音っちは天音っち以外の何者にもなれないんだろうな…などと考えてしまい、天音っちがたまらなくいとおしく思えてきてしまいました(笑)。
 第3話では、森本さん始に向かって「始さん、人間じゃないみたい」と、始本人がむちゃむちゃ気にしていそうなことをズバリと言う非道なところを見せてくれるようですが、それが天音っちのいいところ…たぶん(笑)。

(ゲストブック書き込み:2004年2月7日)



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