20th March, 1999
過去との訣別。
生まれ変わったセラミュー、始動。 ![]() 楽しみで楽しみだった1999年セラミュー春公演、守峰にとっての初日は、3月20日でした! 席は、10列17番。4列目で「下がった」という印象を持った1月イベント後のチケットGETのときにはずいぶん 後ろ、という気がしたのですが、久々にサンシャインに入ってみると、全然そんなことはありませんでした(笑)。しかも中央中の中央。舞台全体を見渡すのに、最高の席でした。 この席も、この午前中のレポートの行方を支配したかもしれません。では。 ![]() 【強き者達よ、その1。〜オペラマン・鹿志村さんダークプラズマン】 幕が開いた瞬間、朗々たるバリトンが響き渡り! オペラマン(御活躍はミュージカルなのですが、冒頭の節がいかにもオペラの幕開きっぽい節回しのせいか、オペラマン!という印象が! 藤原歌劇団研究所の御出身ということで、その感が強いのかも)・鹿志村さんダークプラズマンの歌声で、一気にそちらの世界に引き込まれてしまいました! 正直に告白しますと、守峰が最初に一公演あたりの回数を増やしたのは、吉岡小鼓音さん歌う火球王妃のアリアがきっかけ(生理的快感に逆らえないタイプの守峰…)。この幕開けの気持ちのいい声を聞いた瞬間、どんなに睡眠不足になろうとも、来られる公演は全部来ようと決意してしまいました。 小鼓音さん火球王妃のときは、登場が一幕の最後だったのはとても効果的だったのでいいとして、その後にアリア一曲というのがいかにも僅少。あの夢心地の声を“あと一声!”と求め続け、せめて火球王妃の死のシーンではアリアとまではいかなくてもレチタティーヴォぐらい…という心残りとなってしまいました。これに対しオペラマン・鹿志村さんは冒頭からいきなりアリア状態、1月イベントでBANDAIさんコンビが繰り返していらしたように“一番の悪は要するにダーク・プラズマン”なので最後のクライマックスまで随所随所で登場、それぞれの場面で惜しみなく歌って下さるばかりか、セリフの部分でもレチタティーヴォのように声楽的発声で話して下さるため、公演全体がとにかく重厚、ものすごい「見たぞ!」感にあふれるものに! 午前の部が終わった後、あまりの満足感に、ハイになってました。 …というわけで、幕が開いた早々守峰はオペラマン・鹿志村さんの声でカタルシス光線を浴びてしまい、午前はいつになく公平な鑑賞態度になってしまいました(笑)。10列17番という、公平な鑑賞態度にはもってこいの席も、作用したのかもしれません。実際にはいろいろまたかたよったコトを発見してしあわせになっていたのですが、午前のレポートはこの精神状態を記念して、公平な鑑賞態度に基づくものにしてみようかと。 ![]() 【強き者達よ、その2。〜強烈な存在感、山本カナコさんレア・ルビー】 鹿志村さんダーク・プラズマンの堂々たる、あきらかに“強い”歌声の次は、その歌の中にあった最初の、数文の短いセリフで、大阪弁のイキのいい姐さんの存在感を強烈に発信した、山本カナコさんレア・ルビー! 続く場面は、前の立体感のある、登場人物も五人いる場面から一転して、レア・ルビーが化けたツアー・コンダクターの独白とソロ曲『ルビーの赤』というシンプルさ。それでも、衣装の赤と闇の色彩のコントラストの鮮やかさと、何より山本カナコさんの強烈な存在感で、空間が一部の隙もなく埋まっている印象。勢いにみちた大阪弁のセリフも、そのあとのちょっとセクシー調の、それでいてからりとした印象のある歌も、それひとつで舞台が成り立つあざやかさ。 すごい人を、セラミューはお迎えしました! ![]() 【強き者達よ、その3。〜小野妃香里さん女海賊ルーフ・メロウ】 その後、内部+外部(もちろんナオさんウラヌスも! 久々で感動!)+衛の登場する場面(…も、レア・ルビーの独り場面の一部に彼等が登場した、とも取れなくないつくり。最後はレア・ルビーの独白で終わる)の後、BANDAIさんが“あの有名な”とキャプションをつけた、小野妃香里さん女海賊ルーフ・メロウ登場! これまでのセラミューSIDEの誇る大スター妃香里さんの魅力は、最初の場面でいきなり爆発。ソロ、ということで妃香里さんのかっこよさ全開の曲『女海賊の作戦』と、それに続く部下の三人(1月イベントでBANDAIさん側から「お笑いはこのへんにくるでしょう」と指定のあった方々です)とのお笑いシーンで、これまでのセラミューでの妃香里さんのイメージから観たいと思うものは、全て出揃った、と思える鮮烈さ。 しかし、ここで終わらないのが、今回のセラミュー。最初のシーンで、最高!と思えた妃香里さんルーフ・メロウは、その後のストーリーの中で、つぼみがやわらかにほころびるように、ほんとうにいとおしい変化をとげるのです。これまでだって“最高”だった妃香里さんに、まだその先があるなんて、いままでのセラミューでは想像できませんでした。 ![]() 【強き者達を、前に立てての前進。〜過去からの訣別】 ダーク・プラズマン、レア・ルビー、ルーフ・メロウと、見るからに“強い”キャラクターをこれでもかこれでもかと繰り出して、それからうさぎ達メインの場面が出てくる。そういう印象が、初めて観たとき、強く、しました。 敵の存在が示され、内部達(ときに外部も)の登場シーン(身分を偽った敵との接触)があって、別の陣営が出てきて…という進行自体はこれまでもあったと思うのですが、うさぎメインの場面になるまで敵サイドに使われる時間・内容の量が大きく思えるところが、そう思わせるのかもしれません。とにかく最初は、セーラームーン中心なんて原則にとらわれまいとするように、強いもの、強いものをこれでもかこれでもかと押し出してくる印象を、錯覚かもしれないにせよ、受けました。 そこには、過去のセーラームーン作品の余韻を漂わせようといった気分などなく、潔さを感じました。過去からの訣別、そんな言葉さえ思い浮かびました(これまでセラミューが積み上げてきたものをパワー・アップして再現していると思われた妃香里さんでさえ、その先に行く舞台!)。セラミューFANでない人達、どころか、セラムンを知らない人達が観て、ぐっと掴まれる舞台への船出、そんなイメージも抱きました。 5年後も10年後もセラミューをやっていたい。ファン感謝イベントでの、BANDAIさんの言葉を思い出しました。 原作もアニメも終了した後のセラミュー。 どうなっていくのか、どきどきします。 ![]() 【さらに、すごい奴等。〜仔猫ちゃん達】 1月イベントでいきなりものすごい完成度の歌を聴かせてくれた仔猫ちゃん達。歌で選ばれた、ということで、舞台になったらどうなるか、と思っていたら。 すごいです。せりふは通るし、仕種からポーズから言葉から、とにかくかわいい仔猫ちゃん。仔猫ちゃん達が登場すると周り中の子供やお母さん達から「かわいいー」の声がもれるほど(午前、午後とも!)。 この仔猫ちゃん達に、山本カナコさんレア・ルビーを含む強力なお母さん達が加わって、ドラマするわけです。泣きの力、すごかったようです! ![]() 【そのなかでも、光るもの。〜ツートップ・ナオさんウラヌス】 とにかく盛りだくさんの今回の公演、セーラー戦士の見せ場は必然的に圧縮。それでも充実感を確実に下さるのが、ナオさんウラヌスです! セーラー戦士全体のダンスシーンは、これはもう当然のように、ナオさんウラヌス&聖子さんプルートが最前列に立って、というフォーメーションが多く、たまらない満足感! 結構長身の聖子さんがナオさんと対になって立つと、非常に映えます! ナオさんウラヌスのスペースソードと聖子さんプルートのガーネットオーブが対称をなすように突き出されたりするシーンなど、すばらしい視覚的効果。このへんについては今後のレポートで、えんえん語られるのでは! ![]() 【新カップル登場。〜衛とうさぎの関係論】 2nd Stageになって初めての(榎本さんタキシード仮面には衛の場面がなかったので、今回が望月さん後初めての)衛とうさぎ登場なのですが。 これが、大革命! 実は今回の公演で一番変わったのは、ここかもというぐらい(笑)! まもちゃんが若返るとこんなことが起こるのか、と、目からウロコが落ちるような! これについても、たぶん、以下詳述… ![]() 【日本人の血、たぎる。〜華麗なる望月さんの登場】 これはかなーりネタバレ的でこんな早い段階で書くのはためらわれるのですが、どうしても特筆! 今回の望月さん、登場シーンはコテコテの特撮仕様(宇宙刑事もの的)! 一部台所用品的アイテムも散見されるコスチュームも、特撮的お約束で書かれた曲も、そして望月さんのあの、王子様の格好をしていても特撮的かっこよさを発散してしまうダンスも、何もかもが日本人の血をたぎらせます! 今回演出の奥村達夫先生は、98年秋に高木ナオさんが出演された『ハウ・ツウ・デイト2』の演出をされた方。ということは、あのコスプレパブのシーンで、ナオさん対応と思われるセーラームーンちゃんや、鳳蘭さん対応と思われるべるバラ風コスチュームをたくらんだ方では! 望月さんの特撮的キャリア・資質を、これだけ派手にショウ・アップして観客を喜ばせて下さる、そういう遊び心が十八番だとすると…と、思わず今後を楽しみにしてしまいます。 (ところでこの歌の中で、力強く“Justice!”と歌われる部分が何度かあるのですが、この“Justice”という言葉が印象的に出てくる特撮の歌、何だったでしょうか。同人誌イベントの帰りに友達がよく語ってくれたような気がするのに、思い出せなくて…【泣】) ![]() 【こんなところにまで、新機軸。〜舞台装置】 舞台奥に高い部分、高い部分と低い部分をつないで中央に階段、階段の両脇には扉があって、中央のせりがいろいろに使われる。これがこれまでずっとなじんできた、セラミューの大道具でした。 しかし今回、それ以外の装置もセラミューに登場、新鮮でした! 回り舞台、さまざまに配列される高低、たくさんの背景… シンプルな装置も絶大な効果を上げ得ますが、動くのを見るだけで感動する装置も(笑)。これもお楽しみに! (ちなみに、ふと側面の壁を見ると海をさかまく波が映し出されている、などという仕掛けもされていたりします。席をいろいろ移動して照明効果を観るのも、楽しみになってきました!) ![]() 【それでもこれは、セラミュー。〜残った曲は】 ほとんど新曲、1曲だけ旧曲が残るとのBANDAIさんのインフォメがありました。 カーテンコールの『ラ・ソウルジャー』だと思っていたら、違いました(カーテンコールは『Everlasting Moonlight』と『ラ・ソウルジャー』の二曲立て!) えっ、と思うほど昔の曲で、意外でした。Sの時の、『ソーラーミラクルメイクアップ』。 この曲の初出の、これ以上はないほどシンプルな映像を思い出しながら、今回この曲が使われた場面の舞台上の豪華さを観ると、言い尽くしようのない感慨がありました。 ![]() 【とにかく。】 とにかく、今回、ものすごい密度でした。 イベントであれだけ感動的で、どんなクライマックスに使われるんだろうと思ったあの“お母さんの歌”「お母さんてなんだろう」が、途中で実にさりげなく使われたという印象になっている、というあたりから、今回の舞台のとんでもない濃密さをどうか想像して下さい! セラミューを観たことないけど、あるいはセラムンを知らないけど、観てみようかな、という方。 どうぞおいでください! 必ずどこかにお気に入りのアイテムがみつかるのでは! 「公平な鑑賞態度」によるレポートは、これで終わりです。 さて! ![]() |