7th August, 1999
ダブル・プリンセスの夏。
夢の公演のはじまり ![]() GWイベントの告知がなされ、夏公演があるとわかって以来ずーっと、ずーっと楽しみにしてきた『かぐや島伝説 夏休み宝石探検隊』、観てくることができました! 初めて地方公演で神戸まで行ってきたこと、劇場が新幹線の駅のすぐそばであまりにもあっさりと行けたこともあり、なんだかまだ夢のようです。 そして公演内容も、夢のよう! はりきってレポします! 初めての新神戸オリエンタル劇場、お席はJ03。前から8列目の左から3番目、一番前と一番後ろのちょうど真ん中ぐらいの端のほうだったので、舞台が遠いかな、と思っていたのですが、やや小さめの劇場だったため、思いの外近くてうれしかったです! ![]() 【可憐! 健気! ダブル・プリンセスの夏】 「私達は、あなたを守るためにいるの」 過去幾多のセラミューで、セーラー戦士が決意を込めて告げた言葉。 その言葉の通り“守られる”のがプリンセスであるならば、この夏もプリンセス一番乗りは、天野さんまもちゃんでした! 春公演では、まもちゃんのくせにウラヌスにけがをさせるような海の怪物をやっつけるなんておかしいとか、さんざん騒いでしまった、『かぐや島伝説』最初の戦闘シーン。今回、海の怪物に対する殺陣はよりきれいにかっこよく、そしてなによりやられる所作が1000%向上! はがいじめにされて、無抵抗に殴られては身体がしなやかに流れ、蹴られてはきゅ、と身体が折れ、というシーンは、今回の公演で一番色っぽいシーンだったかも! タキシード仮面(強くないのが仕事!)の大ベテラン・望月さんのやられ所作はやられかたの最高峰、というすばらしさですが、それとは全く違った味わいの身体の動き、どきどきものでした。 力尽きたプリンセスを救いに颯爽と現れるナイトはもちろん、ナオさんウラヌス! …なのですが、そのナオさんウラヌスも海の怪物に蹴り上げた脚を取られ、膝のあたりを折られたんじゃないかと思うほど強く打たれ、舞台のほとんど反対側の隅に倒れこむ状態。表情を歪め、脚を押さえてうずくまるウラヌスを、プルート(ロッドの守りが堅固な印象!)とネプチューンに大事にかばわれているあたり、あまりにもあざやかなプリンセスぶり。この場面、ヴィーナス・マーズ・ネプチューンでウラヌスをかばう場面もあり、単なる外部の助け合い以上の広がりを早くも予感させました。 それでも、ダークプラズマンが出てくる頃にはしっかり逆転して、天野さんまもちゃんが史奈さんうさぎを、ナオさんウラヌスが朝見さんネプをかばっているのは、立派だと思います。 天野さんまもちゃん+ナオさんウラヌスのダブル・プリンセスぶりは、全編を通じ、さまざまな場面で際立つ花でした。 月のプリンセス・うさぎちゃんのことは全セーラー戦士が護りますが、天野さんまもちゃんのプリンセスぶりは、それをはるかにしのぐ、時空を超えた広がり! 今回、捕らわれたちびうさを救い出しに神殿に赴くのはまもちゃんなのですが、そこでは海賊トリオが天野さんまもちゃんを守ってくれます! 男性が貴重な貴重なセラミューで、屈強な男海賊3人の守りは堅固。全男性キャストの半数、天野さんを除くと60%、さらに敵のボスキャラ(…にまで守ってもらったら究極なんですが)を除くと75%の人材を投入しての(そして残りの25%は、天野さんまもちゃん最大の保護者・望月さん!)、天野さんまもちゃんプリンセス化大プロジェクトです! 最後のほうの全セーラー戦士の戦闘シーンの『ラ・ソウルジャー』の前にいたっては、ネコ達がまもちゃんの手を引いてその場から逃げさせてくれるというシーンさえ! これは屈強な男3人の守護とは対極的な意味で、スゴイことです。天野さんまもちゃんの全方向的プリンセスぶり、とどまるところを知りません! 今回ネコ達は、道に迷ったまもちゃんを助けてくれるし、病気になったら薬を飲ませてくれるし、完全に天野さんまもちゃんの保護者です(そしてネコ達の言うことを思わず素直に聞いてしまう天野さんまもちゃん…)! もうひとりのプリンセス・ウラヌスの守護隊、プルート&ネプチューンが天野さんまもちゃんを護ってくれるシーンも(海賊トリオ→ルーフメロウ→ダーク・プラズマンと登場してくる一連の戦闘シーンの中で!)。ウラヌスを護ることしか興味がなさそうなネプチューンにさえ護られるというのは、これもまた快挙です。 そして今回の公演では、天野さんまもちゃんが望月さんキング・エンディミオン様に護っていただく夢のような場面も! ダーク・プラズマン様が「プラズマドームに消え失せろ!」と、変身できないセーラー戦士をその場からはじき飛ばした瞬間、ひとりその場に残った天野さんまもちゃんを、キング・エンディミオン様がマントを広げて護ってくださるシーン、天野さんまもちゃんが無防備に夏物の私服なことともあいまって、プリンセス度の非常に高いフレンドリーになっています! 細かいところではコンの歌のとき、天野さんまもちゃんが微妙に望月さんスペースナイトの背後に入ったりしているあたりも、プリンセス感十分! 去年の夏の初登場の際はとにかく力強い印象が際だったナオさんウラヌスですが、春公演の頃から変化の兆しがみられ、今回の公演では、どの一瞬一瞬をとってもきれいな身のこなしとあいまって、あざやかなプリンセスぶりを見せてくれています。ウラヌスの守護隊・プルート&ネプチューンが天野さんまもちゃんを護れば、天野さんまもちゃんの最大の保護者・望月さんキングがナオさんはるかを護ってくださるシーンも! 変身できない状態でダークプラズマンに「死ぬことなんかこわくない!」と向かっていったはるかを、望月さんキングがかばってくださるという! その対称ぶりが、ダブル・プリンセスな構図を際立たせてます! そしてダブル・プリンセスの季節の美しい結晶が、天野さんまもちゃんとナオさんウラヌスの、うつくしい相互かばいあい。 銀水晶を「わたすものか!」とルーフメロウに向かっていって攻撃を受け、膝をついたナオさんはるかに、「はるかさん!」と叫んで駆け寄った天野さんまもちゃん、背中に手を触れたり、はるかのひじを支えるようにつかんだり(そしてその手の優しい印象は折り紙つき!)と、思わず息をのむような密なフレンドリー。 「ダーク・プラズマン様が太陽系に入られた!」とレア・ルビーが叫ぶところではナオさんはるかが天野さんまもちゃんを微妙にかばって立つ姿が。この場面、公演を重ねるごとに、天野さんまもちゃんとナオさんが手に手を取ってという感じで駆け込んで来たり(7日15:00)、互いにウエストや肘に触れ合ったり(8日11:00)と、早くも要定点観測なポイントに(これから公演観られる皆様、「ダーク・プラズマン様が太陽系に入られた!」というシーンのナオさんはるか&天野さんまもちゃんについては、必ずレポしてください【笑】!)。 そのほかにも、ダークプラズマンに向かっていって傷ついたナオさんはるかがしゃがみこんでいるとき、天野さんまもちゃんがナオさんはるかの肩に手を置いていたり、ケルン・サーペン・クラーケンがダークプラズマン様にやられているとき、天野さんまもちゃんとナオさんはるかがかばいあっていたり、と、寄り添って咲く花のようなダブル・プリンセスな情景は枚挙にいとまがありません状態。 ダブル・プリンセスな季節の中で観られる夏公演、すでに東京公演が待ち遠しいです! ![]() 【微妙な距離。この夏のまもはるフレンドリー】 戦闘シーンでは二輪の花のように寄り添っている天野さんまもちゃんとナオさんはるか。 もちろん、日常のシーンでも、フレンドリー、ありです。 でも、春は男の子同士のようだった二人の関係に、この夏、ちょっぴり変化のきざし。 船上で、かぐや島での宝石探険ツアーの説明を聞いているときの、ナオさんはるかの天野さんまもちゃんへのせりふ「おかしいんじゃないですか」(8月7日11:00。7日15:00には「なんかできすぎですよね」)。まもちゃんのほうがお兄さん、のせいなのかな、と思うと、ルーフ・メロウにナオさんはるかがやられたときの天野さんまもちゃんの「はるかさん!」。春公演でのダブルチョキや、宝探しに出かけるときの胸のはりあいの雰囲気とは、ちょっと違った風が吹いてます。 でも、よそよそしいわけでは決してなくて。「なんかできすぎですよね」というナオさんはるかに、天野さんまもちゃん、それはもうなかよしそうに、にいっこりと笑うんです! ツアーの説明受けて解散するときも、ダブルチョキはなくなってしまったけれど、天野さんまもちゃん、ナオさんはるかに、にっこり笑ってさよならしたり。 そして、『You're My Jewerly』でまもちゃんとうさぎちゃんがキスしようとしてた現場を目撃したナオさんはるか、「余裕だな」。その揺らぎ感が、なんともいえません。 いつまでも、無邪気な男の子同士みたいな二人でいてほしいけど、そういうわけにはいかないのかな。 そんなことを考えたりした、夏の情景でした。 ![]() 【変わっても、残るもの。夏の外野三人衆】 春公演では、沙羅さんみちるが完全に内部ちゃん化していたため(笑)、はるか、せつな、まもちゃんの三人で内部ちゃん(含・沙羅さんみちる)達を遠巻きに見守っていた“外野三人衆”。 今回、みちるがとても外部的な朝見さんみちるになり、はるか、みちる、せつな、の外部太陽系三戦士体制が復活したため、外野三人衆という構図は、やや変化しました(最も端的なところはうさぎちゃんが食べ物をひろってきたときの天野さんまもちゃんの大転向! 内部化を通り越してうさぎちゃん化する天野さんまもちゃん、もんのすごくかわいいです!)。 それでも、はるか、せつな、まもちゃんが大三角形を作るシーン(今回の公演のひとつの目玉! 話題沸騰【笑】)も。最初の十番高校のシーン、とんでもないリゾートスタイル(登場するなり笑いが起こる5人娘、はじけてていいです!)で歌い踊っていたうさぎちゃん達に天野さんまもちゃん「何やってるんだ、学校で!」。ここでうさぎちゃん達とは一線を画してオトナの良識をみせるのが外野三人衆だったはずなのですが、スクール水着に白いローブに帽子という、あまりにもかわいいスタイルの真央さんほたちゃんと一緒に登場した聖子さんせつな、いまこそオトナの良識を、というこの場面であろうことか、白衣の前をばっとはだけてその下の色鮮やかな水着を見せながら、美しいおみあしを後方に高々とあげてのあざやかなターンを決めてしまわれる(そしてその瞬間、音楽が途切れ、みんなさあっとひく…)という! ナオさんはるかがへたりこむと(流れ作ってます! 重要!)天野さんまもちゃんが「何て言ったのさ!」。聖子さんせつな「プールで父兄参観じゃないの!?」(一同頭を抱えて座り込む【笑】)。外野三人衆ここにあり、という、あざやかなコンビネーションです! それに続く『夢を買います島の旅』でも、内部ちゃん達が歌い踊る後ろで、聖子さんせつながナオさんはるかに水着のパレオをひろげてみせてたり(このへん、とっても女の子フレンドリー!)、ナオさんはるかが天野さんまもちゃんに笑いかけたり、春の楽しい思い出まで再現されるようなフレンドリー! ほかにも、今回ちびうさの登場シーンに外部太陽系三戦士も一緒にいるおかげで、“歯磨き手洗いガミガミ”の歌詞のところで、ちびうさをたしなめに近づいたせつながちびうさに払いのけられた聖子さんせつなを天野さんまもちゃんが笑うと、聖子さんせつな、猛然と天野さんまもちゃんをおこりだすというシーンも! 春公演でナオさんウラヌスの「片想い長いからな」で聖子さんせつなを笑っていた(一応キングと同一人物なんだから、ひどいです…と春公演では思っていたのですが、夏公演では状況激変…あとでわかります)のはおとがめなしだった天野さんまもちゃんも、今回はおこられちゃいました(笑・ほほえましいです)! ![]() 【圧巻とさりげなさと。風土病の分かつもの】 誰が残るのか。 その判明が重大な関心を呼び起こした、たった二人だけがかからないという、風土病。 それは、一部考えられていたようにみんな倒れて動きをやめ、残った二人だけが行動するシーンがつくられるというのではなく、高熱に冒されながらみんながうさぎちゃんを守るために頑張る姿をみせる、さらに、5000年前のアルティカ帝国の滅亡の原因と、月王国の存在の地球にとっての理不尽さを示す、という役割を盛り込まれたものでした。 この風土病はいくつかの名場面を生み出しましたが、圧巻ははるかとみちるの、『永遠伝説』以来じゃないかと思われる、ふたりきりのシーン! 高熱に冒されて、ついに膝をついた姿を「あの子達には、見せられないな」と、みちるに笑いかけるはるか。はるかの額に手をあててみちるが「ひどい熱…」とみちるがつぶやくそのとき、みちるの手に導かれるようにあおむけられるナオさんはるかの目を閉じた表情、こわいぐらいきれいです。舞台の上に二人だけ、暗闇の中そこだけしんとしたスポットをあてての二人の濃密な情景は、息をするのも忘れるほど、圧巻。風土病という新しい設定は、このシーンのために生まれたのではないかと思うほどの、セラミュ史上に必ず残るであろう名場面でした。 この圧倒的な印象の名場面に対し、舞台のライトの下に出てこないところでさりげなく光っていたのが、天野さんまもちゃんの風土病。 “銀水晶の持ち主だけがかからない”という設定の暗黒病、みんながつぎつぎとたおれていくなか、天野さんまもちゃんは全然くるしそうな顔もしないで、淡々と笑いまでとっている。どうしたのかな、どうしたのかな、だいじょうぶなのかな、と思っていると、天野さんまもちゃんのいない戦闘シーンでネコが「おにいさんにも薬草をあげたよ」と告げることで、天野さんまもちゃんも実は病気にかかってた、ということがわかる。ほんとうにどうにもならなくなるまで、なんでもないような顔をして普通にがんばった、そのあときっとぱったりたおれちゃった天野さんまもちゃん、さりげなく男の子です。5月イベントで史奈さんムーンちゃんが天野さんたきしーどかめん様のことをいった「私達は、この性格で救われたこともありました」という言葉と重ね合わせたりすると、ほんのり胸が熱くなります! ![]() 【禁断の逢瀬。キング&まもちゃんフレンドリー】 全ては、食べ物の差し入れのカゴを、天野さんまもちゃんが望月さんキングから受け取ったことからはじまりました。(春公演の聖子さんせつなは、望月さんキングに気づいてウケてるだけだったのに、うれしそーうに食べ物をもらっちゃうあたり、天野さんまもちゃんの望月さんキングへのらぶらぶぶりがうかがえます!) それは、その後の運命の歯車を全て狂わせてしまうほどの、大きなターニングポイントだったのです! そのことから導かれる必然として、春の聖子さんせつながの「キング、あなたでしたのね」というセリフは天野さんまもちゃんの「差し入れ、ありがとうございます」(さわやか!)に。それでもなぜかせつなが登場すると、満面の笑みをうかべていた天野さんまもちゃんの笑顔がすっと消えるあたり、いつ『女の論争』がはじまってもおかしくないような、三角関係状態! (ちびうさがさらわれたと告げにきたネコ達に天野さんまもちゃんが「どうしたんだ?」とたずねるシーンや、ちびうさのピンクのポシェットを天野さんまもちゃんがもったりするのは、とってもうれしいおまけです!) ルーフ・メロウとキングが語らう場面の冒頭でも一緒に出てきて、洞窟が気になるので行ってくる、と告げ、キングとうなずきあって走っていく天野さんまもちゃん。そのあいだに大事な望月さんキングは、ルーフ・メロウとろまんすにはしっちゃうんだよ! と教えてあげたくなっちゃうような、望月さんキングを信じ切ってる感じがたまらなくいいです! 母達三人組と仔猫達の物語と並んで物語の大きな柱をなしていた、望月さんキングと妃香里さんルーフ・メロウのロマンス(ルーフ・メロウの片想いですが)。その最後にさえ、天野さんまもちゃんは立ち会うことに。海賊トリオの、ルーフメロウの最期をずっと一緒に見届ける望月さんキングと天野さんまもちゃんの姿は、天野さんまもちゃんの、どう反応していいのかわからないでいるようなちょっと幼い表情とあいまって、夏の日、父や大きな兄のいつも見せない世界を垣間見て、少年が大人になっていく、という物語さえ感じさせます。 同じ時代に存在することはかなわないはずの二人の禁断の逢瀬の、すぐれてミュージカル的な結実が『And Believe In All』の望月さんキング&天野さんたきしーどかめん様デュエット化! おそらくはBANDAIさんの叡知の結晶であろうこの演出、全セーラー戦士のコーラスを従えて高らかに歌い上げられるその壮麗さを目の当たりにすると(しかも歌詞は“And Believe In Love”…)、最初の動機が何であれ、結果としては、望月さんキングと天野さんたきしーどかめん様のカップリングがBANDAIさんの一押しなんじゃあ…という思いがふとよぎってしまったのは、わたしだけだったでしょうか。 ![]() |