8th August, 1999  
あざやかな日々。
人間のいる舞台





 夏公演初日の8月7日の公演、メモを項目別に分けて書くだけで夜中の3時までかかってしまったぐらい、とーってもみどころたくさんの舞台でした! 今年の夏のセラミューは、最初からフレンドリー等、くっきり頭に入ってきています。
 最初からそれだけフレンドリーチェックしちゃったら、2日目以降はせりふの細かいところの確認だけで、何も新発見はできないんじゃあ…と思ったら、大マチガイ。帰りの新幹線の中で整理しきれないぐらい(東京まで、何時間も時間あったのに!)たくさん、うれしいことがいっぱいでした!
 いっぱいいっぱい楽しんだ8月8日11:00の回のお席は、Q15番。最前列の、センターよりほんのちょっと左寄りという、すばらしい席でした!




【青年、少年。まもちゃんの主張】
 99年春公演の期間中に、小学生のようなかわいらしさから大人っぽいお兄さんらしさにまで、一気に花開いた天野さんまもちゃん。
 この99年夏公演では、最初から大人のお兄さんの声で、しかもいっぱい主張してました!
 この夏の特徴は、まもちゃんにたくさん作られたSHOUT系のせりふ。船上のシーンでデッキブラシで両側からまもちゃんの靴をみがく水夫さん2人に叫ぶ「くつをみがくなー!」、かぐや島の伝説を物語るレアルビー姐さんの「見よったなぁ〜」への「そういうことは大阪弁じゃないほうが!」、『愛より宝石 かぐや島』が終わった直後、にこにこして「わかった、でもみんなきいてくれ」とゆったのに誰も聞いてくれなかったのでの「きけーっ!」。こういうSHOUT系のせりふみんな、大人のお兄さんの声でした。(このあたり、99年5月イベントの妃香里さんのニセネプへのSHOUT系突っ込み「そりゃ運命だろ!」が妃香里さんに「ナイス突っ込み!」との評価をいただいた、そのイキオイできてるような気が【笑】。)そして、その叫びの主張を、くつをみがくのをぱっとやめた水夫さん達、「み〜た〜な〜」と即座にセリフを言い直したレアルビー姐さんはきいてくれたものの、味方のはずのセーラー戦士のお嬢さん方は誰も聞いちゃあいない、というあたりが、天野さんまもちゃんの置かれた理不尽な立場を象徴しています。
 春公演でひたすらかわいらしかった天野さんまもちゃんも、反抗期がきちゃったのか、ちょっぴりらんぼうなコトバもいうようになりました。船上のシーン、『愛より宝石 かぐや島』への導入部、春公演ではおっとり「そんなにいいかなあ、宝石が」だったところが、「そんなにいいかよ、宝石が」と、星野入っちゃってるかも、なワイルドさ。洞窟のシーンでうさぎちゃんが嗅覚で宝石を探し出そうとしてるときのレイちゃんの「すごい集中力!」を受けての「ほかに使えよ」もその系統(「コブラ対マングースだな」も、そうかも)。船上のシーンの最後、みんなが船室へと入っていくところでひとり残った天野さんまもちゃんをうさぎちゃんが呼ぶ「まもちゃん何ぐずってんの、宝石の場所わかんなくなっちゃうよー!」に応えて天野さんまもちゃんがつぶやく、シェイクスピアの『ハムレット』の名セリフ「尼寺へ行け」も、ちょっぴり反抗期系かも。
 これで天野さんまもちゃん、完全におとなになっちゃったのかな、と思ったら、かわいいところ、ちゃんと残ってました!
 かぐや島にみんな流れ着いた場面で、「みんな、大丈夫か!」と、大人の配慮をみせる天野さんまもちゃん。春公演では、こんぶがからみついて「きもちわるいよー」と言っているうさぎちゃんから、しょうがないなあ、という感じでこんぶをとってあげたりしてたまもちゃんですが、夏になると桶を頭からかぶって登場したうさぎちゃんに「さっき、自分でつけたんだろ」。まもちゃんがぷんぷんなのも当然。「岩のあいだにたおれてたぼくを踏んづけていったの、君だろ!」(うさぎちゃん、ひどいです【笑】)。でも、非難されたうさぎちゃん、全く意に介するケハイもなく「大きなナマコだと思ってたー(笑)」。うさぎちゃんがひどいだけならまだしも、うさぎちゃんのコトバに大ウケする女の子達に、天野さんまもちゃんの「もーかえる!」。
 この「もーかえる!」が、おかあさんにムリヤリお買い物に連れて来られた小学校低学年以下のお子様的で、最高にかわいらしかったです!
 それを受けての女の子達みんな揃っての「どこへー?」、99年5月のFAN感謝イベント冒頭で、ナオさんウラヌスに「どうせ段取り通りにしかできないんだろ」とゆわれた天野さんたきしーどかめん様が「望月さぁーん!」と泣きに入ると、「いないよー!」とほかの戦士がいじわるく声を揃える、あの呼吸にそっくり【笑】。5月イベントで成功したことはとことん取り入れていた夏公演です!
 「だからこんなツアーきたくなかったんだ…」という天野さんまもちゃんの状態、“ぐずる”の、船上の場面でのうさぎちゃんの「まもちゃん、何ぐずってんの!」にみられる“ぐずぐずする”の意味とはまた違った、もうひとつの用例(笑)。




【天然物の結晶。天野さんまもちゃん&仔猫ちゃんフレンドリー】
 春公演では天野さんまもちゃんの最高のトクイワザは洞窟のシーンでした。
 夏公演では、それにまさるともおとらない名場面が!
 ちびうさを探しに洞窟に入っていった天野さんまもちゃん、登場するなり「完全に迷ったなー」としゃがみこんじゃいます(望月さんキングにはあんなにしっかりしてるカンジで「洞窟に行きます。なんだか気になるんです」とゆってたのに【笑】)。この夏のプリンセスぶりが際立つ天野さんまもちゃんが困っているときに誰かが助けてくれないはずもなく、なんと仔猫ちゃん達が、助けに来てくれます!(…冷静に分析すると、その後の場面で天野さんまもちゃんはちびうさが捕らわれている神殿にいたりしたので、仔猫ちゃん達は天野さんまもちゃんを助けてくれたわけではなく、ちびうさを助ける人手として連れ去ったということらしいのですが、神戸公演を観てから半月ほど、そのことに全く思い至りませんでした…いかにも“助けてもらった”な雰囲気を漂わせていた、プリンセスまもちゃん。)
 天野さんまもちゃんに近づいた仔猫ちゃん、まずは天野さんまもちゃんが叫ばないように(洞窟のシーンを知っていたのかな?)「しっ」。それを聞いて天野さんまもちゃん「ネコって、しっ、って鳴いたっけ」。天然感をきれいに切り取った感じのこのセリフ、天野さんまもちゃんのムボウビ系の声と動作にぴったり! 「こっちこっち」という仔猫ちゃんの言葉への「こっちって、たしか人間の言葉だよね」というおっとりしたせりふ回しには、もう反抗期のカゲもカタチもありません(笑)。
 とってもかわいい仔猫ちゃん達ですが、もっとかわいい系の生き物に目の前に現れられると、かわいくしてるのもばかばかしくなってくるのか、「ぶつぶついわんときー」と態度を変えるケハイ。そのケハイに気づかず、そのまま「関西弁に聞こえる…ぼくはくるったんだー!」と叫んでしまう天野さんまもちゃんを、かわいさをかなぐり捨てたネコ達、「うるさい!」「黙って来い!」と一喝(一応男の子の天野さんまもちゃんがちょっぴり反抗期だったりするのの何倍も、仔猫ちゃんの「来い!」は大豹変だと思います…強い仔猫ちゃん達、気持ちよかったです【笑】)。
 かえす天野さんまもちゃんの、空気に溶けるような「…はい」が絶品! 夏公演で一番好きなせりふかも、と思えるほど(笑)。5月イベントの『ちびっこラ・ソウルジャー 踊っちゃおうコーナー』などで、台本になさそうな問いかけを史奈さんムーンちゃんにされたときのムボウビなおへんじに酷似したこの「はい」を、よくせりふとして再現できたものと、大感動しました!
 公演終了後のロビーで、この場面が「ネコより弱いまもちゃん…」と話題になったことは、いうまでもありません。




【一寸の虫にも、すきずき。天野さんまもちゃんの嗜好】
 全宇宙にフレンドリーの輪をひろげようかという天野さんまもちゃんですが、意外と来る者拒まずではなく、リアクションの差があることに、公演を何度か観るうちに、気がついてきました。
 極端にキョゼツされているのが、今回天野さんまもちゃんに大接近の、美貴さんジルパ・サファイアが変装したキャプテン! 「好きなんです!」とコクハクすれば、天野さんまもちゃんに泣きそうな声で「なにいってるの?」といわれる、『ウエルカム ハレハレヒレハレ』のラストで手をとろうとしてもだめ、と、さんざんです。ところがその天野さんまもちゃん、レアルビー姐さんに話しかけられるとにっこにこ! 意外とはっきりしてます、天野さんまもちゃん!
 こういう態度の差は、対セーラー戦士にも。ツアコンのレアルビー姐さんがツアーの説明をする場面で、朝見さんみちるが天野さんまもちゃんに笑いかけたりしてくれているのですが(はるかしか興味ないはずのみちるの意外なフレンドリー、実はものすごく価値があるのかも!)、天野さんまもちゃんはほとんど反応なし。うさぎちゃんがひろってきた食べ物をみんなで食べる場面で、稲田さん美奈子ちゃんにおひつとしゃもじを渡す接触があるのですが、これはフレンドリーと呼んでいいか迷ってしまうほど事務的でニュートラル(そもそも「宝石の山」と聞いた瞬間天野さんまもちゃんを思い切り突き飛ばすような稲田さん美奈子ちゃんに“フレンドリー”しろというのが、とうてい無理な相談かも…)。
 ところが、ツアコンのレア・ルビー姐さんの説明の場面で姐さんの、ざっぶーん、ざっぶーん、というアクションにつられて聞いているセーラー戦士のみんなが思わずそれにあわせて身体をゆらしてるとき、いちいちはるかの顔を見る天野さんまもちゃん…笑顔がなくても、そんなにはるかのことすき? とたずねたくなっちゃうような雰囲気です! そして説明が終わって解散するときには、はるかににっこり。違いのわかるまもちゃんです!




【あざやかな毎日。ナオさんウラヌスフレンドリーチェック】
 ひとつひとつが輝きを放つような、ナオさんウラヌスのフレンドリー。それが日々ニュアンスをひるがえすさまは、ほんとうにあざやかです!
 『夢を買います島の旅』の場面で、水着で悩殺ポーズをとる聖子さんせつなをうしろにひっぱっていくナオさんはるか(他の女の子達にちょっかいを出すのとはニュアンスの違う、ダチ的フレンドリー)! その後、聖子さんせつながナオさんはるかの二の腕ををとって話し込みモードに入るあたりも、ほんとうに親しげな“仲間”的!
 『かぐや島伝説』に欠かせないフレンドリーの大事な柱、はるかとほたるの親子フレンドリー。『愛より宝石 かぐや島』のとき、ナオさんはるかは真央さんほたると仲良く手をつないでたりするのですが、8日11:00の回は、頭をなでるしぐさまで! ほたるとのふれあいは、しぐさそれ自体のやわらかさがどきどきすることも多々ある重要フレンドリー。これからも、楽しみです。
 そして王道中の王道、あやの様とちびうさとのフレンドリー! 仔猫達が宝石を返してと言ってる、とみんなに言ってるのにきいてもらえなくてふてくされてるちびうさの両頬を、ナオさんはるか、指の長い片手ではさみこむという、どきどきのフレンドリー! そのナオさんはるかのしぐさに位負けすることなく、そのあとぷう、と頬をふくらませてみせたりするあやの様の表情、ものすごくいいです! さらにその場からの去りぎわに、あやの様ちびうさの頭をなでていくナオさんはるか。息をつめてみつめたくなるような、濃厚フレンドリー! こうしたフレンドリーの積み重ねが、仔猫達がたおれる場面で、とても似た表情で泣いているナオさんはるかとあやの様ちびうさの情感を、高めているのかも。
 そうしたセーラー戦士同士のフレンドリーと少し違ったニュアンスを帯びるのが、ダークプラズマンにやられたキング・エンディミオンを、ずっと気にしているウラヌス。この夏の、新しい色合いです。




【ウェルカムウェルカム、ようこそここへ!「ダークプラズマン様が太陽系に入られた!」】
 「ダークプラズマン様が太陽系に入られた!」という、声高く叫ばれるセリフ(誰のセリフだかわかっていないあたり、守峰の偏りが如実に表れています!)
 それを合図に変身前のセーラー戦士達が駆け込んでくるこの場面、天野さんまもちゃん&ナオさんはるかフレンドリーの、珠玉のポイントです!
 7日15:00の回は、ほんとうに手に手を取って、という状態で飛び込んできた二人。8日11:00の回は、お互いのウエストのあたりに触れたり、ひじに触れたりという、ひめやかな触れ合いフレンドリーが、どきどきでした!
 ダークプラズマン様の太陽系への御来訪、心よりお待ちしております!




【生きている舞台。本日の変更点】
 レアヴァージョンかも、なのは、30世紀の場面で、エプロンをしないでビーフシチューの鍋をもつキング・エンディミオン様(8月8日15:00の回には、エプロン着用モードに戻ってました)! エプロンのないその姿を「どこかへん」と思ってしまったぐらい、エプロン姿、目になじんでます(笑)。
 『LINK』の前、天野さんたきしーどかめん様が袖に消えるとき、この前の回ぐらいは確か棒をくるくるっ、と回してから退場していたような気がするのですが、この回からはなくなったような。『LINK』冒頭の天野さんたきしーどかめん様が退場するまでは、ナオさんウラヌスと立ち位置がほぼ正反対ということもあって非常に視点の置き場に困っている時間帯なので、あまり自信がない“今日の変更点”。
 ちびうさ登場シーンに続く場面でのみちるの「宝石は裏切らないわよ」に対する「どういう意味」が、いつもは天野さんまもちゃんと一緒なのに、この回はナオさんはるかのソロ。8日15:00の回には、二人のユニゾンに戻ったあたり、キングのエプロンとおそろい(笑)。




【そうか、そうだったのか。 Part U 誠実さの秘密】
 史奈さんうさぎちゃんと天野さんまもちゃんのらぶらぶ場面で歌われる『You're My jewerly』。
 「さて問題です。その頃1年は…何日だ!」という、小学生のなぞなぞみたいなほほえましい会話に続いて歌われて、その歌詞のうさんくささにもかかわらず、とってもかわいかったこの曲。夏公演では、天野さんまもちゃんの年齢がちょっと上になってしまい(ちゃんときれいな“かっこいい系”になってました。天野さんまもちゃんのキャラクターが定着した舞台の上で見ると、別のひとみたいで、不思議な気持ちになりました)、“ほほえましい!”という感じではなくなっていたのですが、それでも『You're My Jewerly』の天野さんまもちゃんの、あの歌詞にもかかわらず誠実っぽい感じに、変わりはありませんでした。
 なんでだろうなんでだろう、あの“かっこいい系”しゃべりから入ったら、もっと嘘っぽくなってもおかしくないのに、と思っていたのですが、8日11:00の回を観ていて、その理由がわかったような気が。『You're my Jewerly』のうさぎちゃんとのデュエット部分、“Baby...”の前に天野さんまもちゃん、肩が上下するのが見えるほど大きく深呼吸!
 5月イベント千秋楽のおかたづけの時間に、いつも朝二人で顔を合わせた瞬間に“Baby...”とあわせてしまう、というほほえましいTALKのあった『You're my Jewerly』。ここでの天野さんまもちゃんは、いつもいっしょうけんめいです(歌い始める前にジャケットの衿を正されたという、あの春公演の初日から!)。そういうところが、歌のあいだじゅうやわらかに光を放っている笑顔といっしょに、うさぎちゃんとまもちゃんのらぶらぶを“本物”にしてるのかも、と思いました。うれしいことです。




【最後に心に残った、“楽しそう”のこと。】
 そして8日11:00の回の最後に心に残ったのは、カーテンコールの『Everlasting Moonlight』や『ラ・ソウルジャー』でのナオさんダンスが、いつになく“楽しそう”だったこと!
 ナオさんのダンスといえば、指先一本まで制御され尽くしてののびやかさという印象があるのですが、今日のカーテンコールのダンスは、決してみだれているというわけではなく、そういう制御の印象を忘れるような“楽しそう”。『ラ・ソウルジャー』のあのステップのところでは、飛び跳ねるような“楽しそう”が、何がそんなに楽しいのかわからないけどとにかく楽しそうだった木村早苗さんうらぬすの『ラ・ソウルジャー』ステップを、ふと思い出してしまったり。こういうナオさんダンスもまたいいなあ、と、思ったりしました(なんでそんな印象になったのか、全然わからないのですが!)。