修羅がゆく10
−北陸代理決戦−

劇場公開:1999年9月4日
ビデオリリース:1999年10月8日
製作:Knack
配給:東映(ビデオ:ZF00467)
カラー97分  ビスタサイズ

 About 修羅がゆく

日本最大の暴力団・関西光和会会長である岸田組組長は、病気引退を機に本郷流一を跡目に指名しようとする。が、自らが後継者と信じていた伊能政治は、会長の意思を聞いて会長を殺害、その罪を本郷に着せる。
親殺しの濡れ衣を着せられた本郷はわずかな組員を率いて新宿に逃れ、組を構え、宿敵・伊能と因縁の対決を繰り広げる。
ともに全国制覇を目指す本郷・伊能の対決が、東京・九州・広島・東北・四国・北海道・北陸・名古屋・北九州と、全13巻で完結するまで日本中を巻き込んで展開される、巨大なスケールの作品。
その第10作である『北陸代理決戦』においては、組長の誠実な人柄で堅気の人々の信頼も得ている由緒ある極道・神先組が一手に引き受ける金沢の利権を手に入れようとする伊能と、その企みを阻止しようとする本郷の闘いが描かれている。


 Seiji Sanada Cast:天野浩成

天野浩成さん演じるセイジは、石川県・金沢で一番古い極道、伝統工芸等の地場産業の守り神の家柄・神先(かんざき)家の、五代目当主・憲介の義理の弟(憲介の妻・暎子の弟)。
堅気の人達を泣かせる高利貸しを操っていたシリーズを通してのラスボス・伊能政治を倒そうとして囚われ、殺される。
この事件が『修羅がゆく』全体を通してのメインストーリーである主人公・本郷流一と伊能の戦いへとつながっていくという、つまりは物語の導入役。
正義感が強く、真っ直ぐな気性は、義兄や神先組、街の人達に愛されていた模様。
(サナダ セイジ というフルネームは、義兄の神先憲介が伊能のもとに条件は飲まないと告げに赴いた際の憲介の言葉のなかに。)



 Staff
監督 ◆ 小澤啓一
原作 ◆ 川辺優  劇画 ◆ 山口正人
脚本 ◆ 小澤啓一  楢原卓展  和久田正明
撮影 ◆ 丸池 納
音楽 ◆ 竹村次郎
プロデューサー ◆ 斎藤高弘  吉池邦彦


 Character & Cast

本郷流一(本郷組組長) ◆ 哀川 翔
   徳丸真也(本郷組若頭) ◆ 松田 優
   小溝雅宏(本郷組) ◆ 武本裕史
   一色達哉(本郷組) ◆ 山口 剛
   工藤(本郷組) ◆ 浅野 明
   戸沢(本郷組) ◆ 永倉大輔

伊能政治(光和会本部長・岸田組組長) ◆ 萩原流行
   向井 敬(伊能政治の兄弟分、元オリンピック選手) ◆ 名高達男
   河津五郎(河津ファイナンス社長、伊能の手先) ◆ 成瀬正孝
   荒垣(岸田組若頭) ◆ 柳田よしたか
   京極(岸田組若頭補佐) ◆ 新地雅之

神先憲介(神先組五代目組長) ◆ 鶴見辰吾
   暎子(神先憲介の妻) ◆ 藤森夕子
   恭子(神先憲介の妹) ◆ 田中規子
   中山(神先組若頭) ◆ 誠 直也
   セイジ(暎子の弟、神先組[最初の事件後、破門]) ◆ 天野浩成

春田 昇(関東木曜会・春田組組長) ◆ 安岡力也
   白井(関東木曜会・春田組若頭)◆ 高野拳磁

京本錠児(本郷流一の兄弟分、元京本組組長) ◆ 大和武士



 Check Point! −天野さんセイジ君みどころ−

店の改装費200万円の借金を4700万円にして請求され困っている若いママさん(お嬢さん、という感じ!)を助けに、颯爽と登場した天野さんセイジ君。
紫系のスーツにシャツ、明るめの色合いのネクタイと、『本気』シリーズでは観ることができなかった、(一応)大人の若い衆スタイル!
任侠系大人の姿、見られてうれしかったです!(でも、先方の第一声は「神先んとこの小僧け」【笑】)

その一方で、助けに来られたお嬢さんのほうは「私が弁護士さんに相談するから、セイジさん、やめて!」と必死の叫び。セイジ君に無理をさせたくないという、日頃からの好意が感じられました。

伊能を銃撃するため、伊能が向井と酒を酌み交わしているクラブで、伊能に花束が届いていると告げて近づいた天野さんセイジ君。
タキシード風の衣装に黒い蝶ネクタイという制服での笑顔に、ピンクの薔薇がお似合い。

両手首を縛られて吊るされ、鉄の鎖で打ち据えられるセイジ君。
白いシャツはずたずたに裂け、露わになった肌は血まみれという姿、苦痛に歪んだ表情、髪を掴まれて顔をあげさせられた横顔のラインなど、痛々しい映像までどういうわけかきれい。

なぜ伊能を狙ったのか伊能に問い詰められ、伊能が金沢に高利貸で介入して堅気の人を沢山泣かせているからだ、首を吊った人もいるんだと叫ぶセイジ君。その若々しい正義感に、金沢のお国言葉がなんともいえない存在感を。

組のことを考えてセイジ君を助けに行けない憲介さんに、セイジさんを助けるなら今だ、セイジさんを見殺しにするのかと、強い口調で訴える中山さん。
組にずっと忠義を尽くしてきたに違いない組頭のそういう言葉からは、セイジ君がどれだけ組に大事にされてきたかということ、組の利益に反することでも組長に訴えずにいられない中山さん自身のセイジ君への暖かい思いが感じられ、重みがあります!

「プレゼントがある」という電話に、神先組の若い人達が海岸に行ってみると、そこには傷つき果てたセイジ君のなきがらが…というシーン。
かなり無残なかたちでなきがらを返してよこすのでは…と思ったら、意外にも波打ち際に静かに横たえられていました。シリーズを通じての伊能さんの極悪非道ぶりを考えると、これも大プラスポイント?

組の存続のためにセイジ君を見殺しにせざるを得なかった憲介さん、変わり果てた姿となったセイジ君を前に、男泣き(実の姉の暎子さんが、弟の不始末…と、涙を見せないこととの対照があざやか!)。
「セイジは一人前の極道として死んだ。みんなもそう思ってくれ!」という言葉に、かえって、憲介さんにとってほんとうは、セイジ君はまだまだ子供だと思っていた弟だったということがにじみ出ています。
(後の場面で憲介さんが暎子さんと交わした対話によると、二人が結婚したのは10年前。初めて出会った頃のセイジ君は、まだほんとうに子供だったはず、ということを考えると、よけい!)

その憲介さんの言葉を聞いて「もちろんです」を涙ながらに応える神先組の皆さん。
『本気!』シリーズで、30代の兄貴さん3人とのカジュアルな関係を見慣れていると、もっと年上の方も多いこんなに沢山の組員さんがおいおい泣いてくれる光景に感銘(そもそもセイジ君への“さん”づけも、新鮮!)。

廊下では若い人が「弔い合戦をするんだ!」と飛び出していこうとするのを止められている光景。
彼等にとってセイジ君は、組のおぼっちゃまというより、大事な友達だったんじゃないかなあという感じ。
重層的な嘆きのシーンの描写に感動。



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