賭事女王

GAMBLE QUEEN

Episode 17(前半)
(2000年2月28日放映)


■ 脚本 ■ 羽原大介
■ 演出 ■ 小林薫
■ 出演 ■ 
高倉紫乃:園原佑紀乃 高倉藍:木内晶子 高倉桃:内藤陽子 高倉朱々:一戸奈未
瑠璃:浜丘麻矢 サミー:稲宮誠 猪熊伍郎(師匠):横山あきお
万田一馬:天野浩成 茜:奈美悦子



 母・茜との再会シーンの回想。
 最後の相手は自分だと告げる茜。
 そしてそれが、“血の宿命・第2章”なのだと。


 雷鳴の鳴り響く、四姉妹の部屋。
 パジャマ姿で途方に暮れる、高倉四姉妹。
 「やっぱりママリン、ゼロのギャンブラーだったんだね」と朱々。
 脅迫されているのかも、洗脳されてるのかもしれない、という藍に、わかってないわね、あの目は脅迫も洗脳もされてない、と否定する紫乃。あたしたち、母親に対して夢を見過ぎてたのよ。
 とにかく母さんにもゼロにも勝ってすべてを明らかにしなければ、という桃にも、紫乃は否定的。勝ったからって何になるの、と。
 そのとき玄関口で、がたりという音。


 着替えた高倉姉妹が、暗い部屋におそるおそる入ってくる。藍の手にはゼロのカード。
 お酒のボトル、ユニオンジャック、時計の映る部屋には、誰もいない。
 「帰ろう、罠かもしれない」と紫乃。
 火花を散らしながら燃える導火線。4、3…カウトダウン。
 「爆弾!?」「逃げよう!」
 2、1…四姉妹が“爆弾”から逃れようと跳んだところで、OP。


 少女の声で「ゼロ」。
 悲鳴を上げる高倉姉妹。
 バズーカのような筒から、破裂音。
 撃たれたー、とうめく高倉四姉妹…にふりかかっているのは、クラッカーの紙テープ。
 明かりが点いて。
 「ハッピーバースデーッ!」
 と、声を限りに叫ぶ、赤いおっきな蝶ネクタイをつけた一馬くんと、可愛い女の子!
 「紫乃、誕生日、おめでとーうっ! イエ〜〜〜ッ!」と、アクションも大きく祝福を贈る一馬くんに、「誕生日?」と思い切り不審そうな顔で見上げた紫乃ちゃん、ふと気づいて「あ」。
 藍ちゃん達も気づいて「じゃ、これ、一馬君が」? 藍ちゃんの差し出したカードには、黒字に白の活字で「明日午後三時、クロコダイルアーミーで待つ。 ゼロ」。
 満面の笑顔に両手Vサインで「そっ。」と答える一馬くんに、一瞬の冷たい沈黙。

 次の瞬間立ち上がり、紫乃ちゃん「ちょっと一馬、バカじゃないの? 冗談やめてよ!」と、マジギレ状態!
 さっきカードを指し示したときは藍ちゃん、笑顔でしたが、紫乃ちゃんの剣幕にひっぱられてか、一馬くんに詰め寄る高倉姉妹!
 一馬くんぴーんち! のときに、藍ちゃんの救いの声。
 「一馬君…この子」
 藍ちゃんがさした女の子に一馬くん「ああ。俺の妹でさ」、女の子は「瑠璃です。はじめまして」。しっかりしてます、瑠璃ちゃん!
 「今、春休みでこっち遊びに来てんだ、なっ」と、笑顔で言う一馬くん、すっごくお兄さんしてます!
 「へーえ、こんな可愛い妹さんがいるんだ」、という藍ちゃんの言葉通り、高倉姉妹にいいようにされていた一馬くんに、こんなに可愛い妹さんがいて、ちゃんとお兄さんしてるというのは、驚愕の事実です! 怒り狂っていた紫乃ちゃんも、感嘆の表情。

 「そうだ、瑠璃、あれ」、と一馬くんが指示すると(お兄ちゃんですー!)、瑠璃ちゃんが“HAPPY BIRTHDAY SINO”の文字入りのチョコレートプレートの載った、イチゴ&生クリームのバースデーケーキをもって「プレゼントです」。
 「わあ、すっごい!」と朱々ちゃんが手を叩いて、桃ちゃんが「これ、瑠璃ちゃんの手作り?」と訊ねると、瑠璃ちゃん「未来のお姉さんのために、一生懸命作りました」。
 藍ちゃん、桃ちゃん、朱々ちゃん「未来のお姉さん!?」
 瑠璃ちゃん「お兄ちゃんのお嫁さんになってくれるんですよね?」
 紫乃ちゃん「へ?」。いつものお得意の「はぁ!?」も出ないほどの茫然状態!
 瑠璃ちゃんに「お姉さんて呼んでもいいですか?」と言われた紫乃ちゃんが、糾弾のまなざしで一馬くんを見やると、瑠璃ちゃんの後ろで一馬くんが、手を合わせて紫乃ちゃんをおがみたおしてます!
 紫乃ちゃん、笑顔になって「もちろん」。瑠璃ちゃん「よかったぁー!」
 あきれた表情の高倉姉妹!(この3人の表情を見ると、紫乃ちゃんがいいひとに思えます!)


 ケーキにろうそくを灯して、みんなで歌って踊るハッピーバーズデーの歌。
 藍ちゃんが「いいの、紫乃ちゃん?」、紫乃ちゃん「しょうがないでしょ。妹の前で恥をかかしちゃ、かわいそうじゃない」。
 紫乃ちゃんにこんな仏心があったなんて、初耳です!
 …瑠璃ちゃんに微笑みかけられてにっこりしてるあたり、一馬くんへの同情というより、瑠璃ちゃんの可愛さに押し切られてるケハイも!


 高倉姉妹の部屋に、「ただいまーっ!」と思い切り元気な声をあげて飛び込んでくる藍ちゃん。
 高倉姉妹に続いて、当然のようにあがりこんでくる一馬くん。高倉姉妹の一員のように、なじみきってます(笑)。
 ここで高倉姉妹の良識・桃ちゃんが「ちょっと、藍ちゃんにあんなに飲ませたの、誰よ!?」、朱々ちゃん「これ以上藍ちゃんに飲ませたら、ヤバイよ?」、そう言われて初めて「そっか」と顔をしかめる紫乃ちゃん、ほんとに長女ですか(笑)。
 そんな相談には気づかないのがよっぱらいの王道。
 藍ちゃん、「ほらほらほら、飲むよ? 飲むよ?」と、ひきつった顔の高倉3姉妹と瑠璃ちゃんを座り机のところに座らせようとひっぱる。
 ひっぱられながら瑠璃ちゃん、「あの、これ、玄関に落ちてたんですけど」と、ゼロカードつきの黒い封筒を差し出します。

 「またカズちゃんでしょー」と朱々ちゃんに言われて「俺じゃないよ」と答える一馬くん、蝶ネクタイを頭のうえにつけてる(かわいいですー!)のはいいとして、高倉姉妹の家に来てまでいそいそと人数分のコップをお盆の上にのせて出してきてるところがポイント!
 その封筒には、白地にワープロ文字で「今度の勝負はダーツ。 茜」。
 朱々ちゃんがクールに「やったことある?」と藍ちゃんにきいた瞬間、紫乃ちゃん「もうやめようよ!」
 「ギャンブルなんてやめて、普通の生活に戻ろう?」という紫乃ちゃんに、桃ちゃん「どういうこと」。
 紫乃ちゃん「仮にママに勝ったところで、何がどうなるっていうの?」
 桃ちゃん「15年前の真実がわかるかもしれない」
 紫乃ちゃん「あたしは、もう…おりる」。
 「逃げるの?」と語気を強める桃ちゃんに「そんなにやりたいなら、死ぬまでギャンブルやってればいいのよ!」と、出ていってしまう紫乃ちゃん。
 さっと立ち上がって追いかける一馬くん!
 「紫乃ちゃん!」と朱々ちゃんが声をあげ、気まずそうな顔の瑠璃ちゃん。
 そして藍ちゃんの、困ったように笑っての「今夜は、とことん飲もう」(よっぱらいですー!)。


 街路樹がライトアップされ、テーブルと椅子が並んだ、オープンテラス。
 走ってくる紫乃ちゃんを、「待てよ、紫乃!」と、追いかけてきった一馬くんですが、せき込みながら立ち止まった紫乃ちゃんからは、少し離れたところで立ち止まって見守ります。
 「紫乃」。
 紫乃ちゃん、えへっ、と笑ってみせてから、「みんなに誕生日を祝ってもらって、とってもうれしかったのに。とってもしあわせだったのに」。
 笑顔から、とりつくろったところなんて全然ない泣き顔になって、「ギャンブルなんか大嫌い!」と、子供みたいにわあわあ泣き出す紫乃ちゃん、ほんとに可愛いです。
 それをみている一馬くんも、いつもの一馬くんより男の子っぽい表情だけれど、やっぱりちょっと泣きそうになっているところ、小さな女の子と男の子の情景みたいで、ほんとうに無垢。
 街路樹のライトアップが美しい、トレンディドラマの舞台になりそうなオシャレな場所でこんな無邪気なドラマが展開しているあたり、なんだかうれしくなるようなシーンです。


 しあわせそーうな顔でコップ酒を飲んでいて、朱々ちゃんと桃ちゃんに「もうのんじゃだめ!」と取り上げられる藍ちゃん。
 「誰に向かって説教してんのよー」とまでからみはじめる藍ちゃんを取り押さえようともみあっている高倉姉妹に、「うらやましいなー」と、瑠璃ちゃんの声。
 「私、女のきょうだいいないし、兄とも年が離れてるから、そういうふうにケンカしたことないんです」。
 そんな瑠璃ちゃんに、向かいあうようにしてしゃがみこんだ朱々ちゃん、お姉さんぽく「瑠璃ちゃん」。
 日頃末っ子満開!な朱々ちゃんがお姉さんぽくなったのとは反対なのが、よっぱらい藍ちゃん。
 瑠璃ちゃんのほっぺをむぎゅーとひっぱって、「何しみったれた顔してんのー」。
 これには桃ちゃん、あわてて藍ちゃんを取り押さえ、朱々ちゃんは瑠璃ちゃんに「ごめんね!」。桃姐がまともなのはいつものことですが、朱々ちゃんの真っ当ぶりが、今回非常に目をひきます!
 藍ちゃん「反省ー。おわびのしるしに、藍、脱ぎまーす!」。
 超かわいいよっぱらい笑顔から、投げキッス!


 楽しそうな高倉姉妹ルームから一転、紫乃ちゃんと一馬くんは少しうつむきがちに、街路樹のライトアップが美しい広場で、テーブルに向い合ってついてます。
 一馬くんが着ていた赤いコートが、紫乃ちゃんの肩に着せかけられていて、藍ちゃんがよっぱらってる間に一馬くんが紫乃ちゃんにしてあげた、優しいしぐさを思わせるところ。
 一馬くんが低く一言「好きだ」。
 ここまではものすごく恋愛ドラマっぽいのですが、その雰囲気を一瞬に粉砕するのが紫乃ちゃんの「へ?」。この一声、秀逸です!
 それでもめげずに一馬くん、紫乃ちゃんに向かって「俺、紫乃が好きだ!」。
 一馬くん、実は見た目は非常にカッコイイですから、このストレートな告白はそれなりに恋愛ドラマのパーツとしておっけーなはずなのですが、紫乃ちゃんの、おっかしくてたまらんという顔での「はぁ!?」で、これまでの『賭事女王』での一馬くんの地位は、この時点でも全然変わってないことは歴然(笑)。
 でも、そんなことでめげていては、一馬くんはつとまりません!
 立ち上がって「俺、紫乃が好きだぁーっ!」と絶叫!
 これには紫乃ちゃん、あわてて立ち上がって「ちょっと、やめてよ、恥ずかしいでしょ!」。
 …この紫乃ちゃんの反応は責められません、近づいてきた通行人二人組が回れ右をしてるのが見えます…。
 でも一馬くん「一緒に暮らそう!」。
 紫乃ちゃん「へ?」。
 一馬くん「駆け落ちするんだよ、俺達!」。
 紫乃ちゃん「駆け落ち!?」。
 一馬くん、ものすごいテンションで「恋の逃避行だーっ!」
 紫乃ちゃん「駆け落ちーぃ!?」。
 くーっ、とガッツポーズしたりしている、もはや恋愛ドラマしてない(超おっけー!)一馬くんを背景に、紫乃ちゃん、にんまりして(さっきの泣き顔はどうした!)、「駆け落ちかあー」。…紫乃ちゃん、わけわかんないです!



 後半へ続く。