ドラマ30
 
デザイナー
 
EPISODE 2



Staff & OA
脚本 ◆ 松田裕子  監督 ◆ 皆元洋之助(東通企画)
その他のスタッフ ◆ Data Page
放送日時 ◆ 2005年10月4日 13:30〜14:00

公式サイト:【MBS:ドラマ30『デザイナー』公式サイト】


Cast
亜美:松本莉緒  結城朱鷺:塩谷 瞬  土屋 明:天野浩成
葉山ありさ:国本 綾  柾:丸山智己
濱田佳菜(榊原貴子)  川原田 樹(水島健)
田中佐輝子(横山光恵)  藤田 瞳(杏子)  山田真由子(モデル) 茂中瑛子(リポーター)
都築 俊(リポーター) 小林記規子(モデル・和香子) 芝地麻衣子(リナ) 長谷川義規
西本利久  平野道彦  ノイエ  キャストプラン
鳳 麗香:国生さゆり

※(  )内はクレジットに表示されない役名・役どころ


Story
 麗香(国生さゆり)のオーディションで、麗香の評価を得られない他の候補モデル達は、結局は亜美(松本莉緒)の勝ちか、とやっかみ半分で噂する。
 亜美に悪意をもつ杏子(藤田瞳)は、母親を使って亜美を中傷するファックスを麗香のオフィスに送らせるが、こんなことをしても無駄だと、麗香を怒らせるだけだった。

 オーディションで亜美が再会した麗香は、1年前のことなど覚えていなかった。
 亜美のウォーキングを見て麗香は、よくってよ、と好意的な声をかけて亜美を止め、自分のブランドのテーマを知っているか問いかける。しかし亜美は、知らない、でも服を見ればわかる、それを表現するのが自分の仕事だから、と答える。
 モデルは表現者であり、与えられた服をただの布切れで終わらせるか、みんなが着たがるような素敵な服にするかは、モデルの力次第だと思っている、という亜美の言葉に“私の作品が、ただの布切れですって”と、麗香は声を荒らげる。
 そんな麗香に、うまく着こなせる人がいなければ、と答え、麗香が亜美のプロフィールシートを握り締めるのを見て、自らもバッグから取り出した麗香のパンフレットをゴミ箱に捨てて立ち去る。
 亜美が去った後、麗香は机の上の物をなぎはらい、「なんなのよ!」と感情を爆発させる。

 忘れているなんて、と、足早に会場を去る亜美は表情をゆがめていた。
 麗香は亜美のプロフィールシートを燃やし、私の気分を害する者は、許しておけなくってよ、とつぶやいていた。

 今日はオレのおごり、初仕事のお祝いだな、と言いながら明(天野浩成)が、ありさ(国本綾)を伴っていきつけの店“Savanna”にやってくると、亜美がカウンターで飲んでいた。
 隣に座った明が、鳳麗香のオーディションはどうだったか尋ねると、あの人のプライドが、私を選ぶことを許さないわ、などと答える亜美。
 亜美またなんか余計なこと言ったんだろ、ったく、本命のオーディションぐらいニコニコと笑っとけばいいのに、と、亜美の性格を理解している明。
 トップモデルになるチャンスだったんだぞ、という明に、媚を売ってまで仕事したくないわ、と、亜美は平然としている。
 そこが姫らしいとはいえ、相手があの鳳麗香だからな…という明に、鳳麗香さんって、噂通りの方なんですか、と尋ねるありさ。
 噂って? 毎晩違う男はべらせてるとか、30代前半って言ってるけどほんとは40過ぎてるとか、大物政治家の愛人だとか…と、ふざけた口調で言う明に、そんなことどうでもいいわ、鳳麗香はトップデザイナー、その実力だけは確かよ、と、亜美は麗香を認める言葉で、明を沈黙させる。

 帰り道、明は亜美に、なあ亜美、お前の言うことはいつも正論だ、その正論が言える強さは、いったいどこから来てるんだ、と尋ねかける。
 オレたち、知り合ってからもう2年だろ、隠してる過去のこととかさ、オレにはそろそろ話してくれても…という明。
 そんな明に、亜美は感情を露にして「明、私のそばにいたければ、もう二度と、その話はしないで」と言い捨て、明を置いて歩み去ってしまう。
 明と離れた亜美は、自分に言い聞かせるように「ないわ、過去なんて…何も…」とつぶやいていた。

 麗香は男を伴い、酔って自室に戻ってきていた。
 男に靴を脱がせ、男が口にした“女王様”という言葉に「いい響き。…そうよ。私は、女王になるために、頑張ってきたのよ。何もかも捨てて。トップに立つために」と相手に聞かせるともなく、独り言ともなく口にする。
 そして男に抱きつきながら「私を馬鹿にする者は、許さなくってよ」とつぶやく。

 亜美は自室のベッドで、過去の悪夢にうなされていた。
 3年前、亜美はスーパーから食料品を盗み、逃げ損なって店員につかまりかけていた。
 4年前は、風が吹きすさぶ屋外のベンチで、凍えそうになって夜を過ごしていた。
 5年前は、交番で、家はありません、家族はいません、と言って、警官に詰問されていた。亜美は施設を脱走してきていたのだった。
 17年前、施設で、亜美は周囲の男の子達にいじめられ、泣いて過ごしていた。

 “…助けて…私を…もういや…誰か…”

 施設にいる幼い亜美に、門の外からタンポポの花を渡してきた、同じ年頃の男の子がいた。  男の子は、いつか、また会えるよ亜美、という。
 そして、不思議そうにしている亜美に“バーイ、亜美”と片手をあげて去っていった。

 亜美が悪夢から目覚めたのは、電話のコール音によってだった。
 電話は明からだった。
 どうしたの、という亜美に、新聞見たんだけど、という明。
 え? といぶかしげな表情になる亜美。

 ヨットハーバーの傍らに車を停め、亜美はその中で問題の新聞を読んでいた。
 “亜美、ハリウッド女優に!”という見出しの記事は、巨匠といわれる映画監督が、亜美にハリウッド映画出演のオファーをしようとしているという内容のものだった。
 当惑する亜美。

 麗香は苛立ったしぐさで、めがねにかなわないモデル達のプロフィールをゴミ箱に投げいれていた。
 麗香の苛立ちは、スタッフ達の、亜美を起用すれば話題になるのでは、いや、ハリウッドオファーのあった亜美を落とせば麗香のハクがつくのでは、といった言葉で頂点に達する。
 どうして私があの小娘の力を借りなければならないの! と叫び、麗香は憤然と部屋を出て行く。

 亜美が撮影に来ていたフォトスタジオ“Be”の前は、亜美にコメントを求めようとするマスコミでいっぱいだった。
 亜美、外すごい騒ぎだぞ、という明に、そう、と静かに答える亜美。
 どうするんだよ、ハリウッドなんて、と尋ねる明。
 亜美の表情は、心を決めた者の表情だった。

 押し寄せた記者達に、亜美は、きっぱりと答える。
 「たとえ、オファーが来ても、ハリウッドには行きません。
 私はモデルです。目標は女優になることではありません。
 トップデザイナーのショーで、メインモデルとして、ラストを飾ることですから」

 悩みに悩んだ麗香は、結局、メインモデルとして亜美を選ぶ。
 できることなら、あなたを選びたくなかったわ、と麗香。
 私にたてつく性格、マスコミが騒ぎ立てる話題性、何をとっても、あなたほど不愉快な女はいないもの、という麗香も、モデルとしての実力は認めざるを得なかったという。私があなたを選んだ理由はそれだけ、と。
 麗香は亜美に、一枚のデザイン画を示す。
 今度のショーのラストを飾るドレスだった。
 着こなす自信はあって、という麗香に、もちろんです、と答える亜美。
 そんな亜美に麗香は手を差し出し、亜美もその手を握り返すのだった。

 その頃、朱鷺(塩谷瞬)は柾(丸山智己)から、亜美が鳳麗香のメインモデルに選ばれたという報告を受けていた。
 「楽しみだね」という朱鷺をも巻き込み、亜美と麗香の戦いは、悲劇へと向かう運命にあった…


Check! −天野さん明くんみどころ−
 「今日はオレのおごり! 初仕事のお祝いだな」という明くん、「いいんですか」というありさちゃん。
 大学の先輩と後輩のような、さわやかな親しさが。

 数秒前には、ありさちゃんの初仕事のお祝い、と言っていたのに、亜美ちゃんがいるとほとんど小走りに見えるほどいそいそと亜美ちゃんのそばに寄って、当然のように隣に座る明くん(笑)。
 それでも、ありさちゃんに「同じものでいい?」といって「ふたつ」と、手馴れた感じでオーダーするところは、ほんのちょっとだけ原作の“モデルキラー”設定の名残が(笑)。

 椅子の背に肘をもたせかけて「どうだった? 鳳麗香のオーディション」という、しぐさセリフは、それなりに“モデルキラー”な明っぽい感じがなきにしもあらず(笑)。
 でも「亜美またなんか余計なこと言ったんだろ。…ったく、本命のオーディションぐらいニコニコと笑っとけばいいのに。トップモデルになるチャンスだったんだぞ」と、真剣な顔で意見するあたり、すぐに生真面目さがにじみ出てくる明くん。

 そこが姫らしいとはいえ、相手があの鳳麗香だからな…と言っているときには、鳳麗香の性格を知って、亜美の立場を真面目に案じている様子だった明くん。
ありさちゃんに、鳳麗香さんって、噂通りの方なんですか、と尋ねられるや、渡りに船とばかりに「噂って? 毎晩違う男はべらせてるとか、30代前半って言ってるけどほんとは40過ぎてるとか、大物政治家の愛人だとか」と、仲のいい友達同士で怪談でもするようにノリノリで話し出すところがまた、明くんらしく。

 そんなことどうでもいいわ、鳳麗香はトップデザイナー、その実力だけは確かよ、という、亜美の言葉で、亜美をじっとみつめて沈黙する明くん。
 ふざけていた言葉をとがめられたようでバツが悪いのかと思いきや、次の亜美のシーンで、その思いはもっと深かったとわかる、奥の深さ。

 観覧車の見える夜景の中を、亜美ちゃんと並んで歩く明くん。
 だぼん、としたパンツに、濃い茶色の襟つきシャツというスタイルで、ちょっと悄然と歩く姿は、『仮面ライダー剣』の橘さんをちょっと思い出させ。

 「なあ亜美、お前の言うことはいつも正論だ。その正論が言える強さは、いったい…どこから来てるんだ」と、亜美ちゃんに問いかける明くん。
 そこから、そんな正論ばかり振りかざしていたら、世の中渡っていきにくくなるだけだ、と忠告モードに入るのかと思いきや「オレたち、知り合ってからもう2年だろ。隠してる過去のこととかさ、オレにはそろそろ話してくれても…」と、ちょっと情けなめモードに入っていく明くん。
 亜美ちゃんに「明」と厳しい口調で言われ、亜美ちゃんを見る表情。
 「私のそばにいたければ、もう二度と、その話はしないで」と言い捨てた亜美ちゃんに、置いていかれた明くんの、なんともいえない顔。


 「私のそばにいたければ、もう二度と、その話はしないで」という、亜美ちゃんの言葉。
 この時点ではむしろ、誰も寄せつけないような亜美が、明のことは“そばにいる”という感覚だったのか、ということが、むしろ驚き。
 亜美ちゃんにとって、一番近くにいることを許していたのは、この時点では明だったことは、間違いないかと。

 亜美ちゃんの悪夢によると、3年前には、亜美ちゃんはスーパーで食料を盗むような生活をしていたとのこと。
 明くんと知り合ったのは2年前、ということは、亜美ちゃんはモデル人生のほとんどを、明くんと一緒に歩んでいたのでは。

 亜美ちゃんの悪夢を覚ました、明くんの電話。
 「もしもし、オレだけど」でちゃんと「明」とわかってもらえ、まだ夜が明けていなさそうな時間の電話でも「どうしたの」と穏やかに応じてもらえるところが、意外と仲がいいのかも、という印象。

 亜美ちゃんにぽてぽてと駆け寄って、体をかしげて「なあ、外すごい騒ぎだぞ」という明くん。
 シャツの袖が長かったりというスタイルもあって、「どうするんだよ、ハリウッドなんて」という声は比較的大人っぽくても、かっこうが可愛すぎ(笑)。

 「何も、おぼえてないのか?」という、そうっとした声。
 「事故に遭ったんだよ」になると、ちょっとだけ声がしっかりしただけに、最初の声のよるべなさが、なんともはかなげ。












Last update :
29th October 2005













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本物のプライド、“失う”ことに無防備な人。
 「媚を売ってまで仕事をしたくない」ということ、自分の築き上げてきた業績に正当な敬意を払うよう求めること。
 それもプライドのひとつのかたちだと思いますが、第2話の亜美と麗香は、そういうレベルを超えて、感情的な“プライド”が傷つけられることがあっても、相手の実力を正しく見極め、いい仕事を成し遂げるためにベストと自分が信じる相手と組むことが本物の“プライド”なのだと、見せてくれました。
 そんな本物のプライドを掲げ、気を張って生きている二人が、亜美が過去に触れてきた明に対して感情的になったり、麗香が酔いに身をまかせ戯れの“女王様”という言葉に快感を見出していたりと、人間的な一面をみせていたのも印象的でした。本当は弱さを抱える人間が、強くあろうとするからこそ、その姿が美しく感じられるのでは、と思います。

 亜美が明に言った「私のそばにいたければ、二度とその話は」という言葉が心に残りました。
 明のことはなんとも思っていないように見えた亜美の中にも、無意識にせよ、明が“そばにいる”という感覚があったんだ、ということが、少し意外でしたが、周囲に人を寄せつけないところのある亜美にしてみれば、明が今いる位置は、今のところ最大限“自分のそばにいることを許している”特別な領域の中なのでしょう。
 明のような存在は、失って初めてその価値がわかるんだろうな…と考えたとき、これまでつらい目にあうばかりで、何ひとつもっていなかった亜美は、ひどい仕打ちに耐えること、何もない状態を我慢することには慣れていても、自分がもっていた大切なものを失うことの痛みは、まだ知らないのかもしれない、と思い至りました。
 そんな亜美の、失うことへの無防備さが、これからの運命をより過酷なものにしていくような気がして、悲しくなりました。
(2005年 10/5(水)12時02分)


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