ミュージカル
エア・ギア


天野さん共演者様: 上山竜司さん
(Wanna be FREE! 東京ガール)
松本寛也さん
(Club7 presents New Year Party『The Wonderful 4men da show!!』)

 2007年1月8日、成人の日は、エイベックスタレントの松本寛也さん、『Wanna be FREE! 東京ガール』マナブ役の上山竜司さん(天野さんの上山さんへのお世話になりっぷりは【2006年8月13日9:45_Wanna be FREE! 東京ガール トークショー】【2006年8月13日11:50_Wanna be FREE! 東京ガール トークショー】御参照)御出演の【ミュージカル『エア・ギア』】を観てきました!
 上山さん、松本さんはともに1月8日が成人式にあたる新成人で、『HERO Vision Vol.23』の天野さんの暑中見舞い“仕事の友達、みんなへ”につけられたコメント“夏なんでね、やはりビヤガーデンのビールですよね。その頃、年齢的に酒が飲めるようになるヤツも何人かいるんですよ。夏のうまいビールをね…飲ませます。酒は最初が肝心なんで、仕込みたいですね、飲ませますよ〜(笑)。”のように天野さんが手ぐすね引いて成人を待っていたお友達と思われるおふたり。
 そのお二人が共演されて、しかも“ロミオとジュリエット”ながっつりの御共演で、しかもお二人の“成人の日”にその舞台を観られるとは!
 (さらに、自分にとっての初天野さんが、天野さん御自身の成人の日の1999年1月15日のセラミュファン感謝イベントに天野さんがセラミュ初登場されたときだったもので、そのときのことなど思い出し、感慨しきり…)

 で、『エア・ギア』での上山さん&松本さん(特に松本さん!)には、小ネタバレ、中ネタバレ、大ネタバレぐらいのネタバレランクがあって(笑)、大ネタバレについては全公演終了するまで“松本さんはいい役をもらっていました”ぐらいにしておいて、あとは黙っとけという感じかなあと(笑)。(※今回、このページにまとめるにあたって、その部分に触れる箇所は文字を隠して記載。テキストを“選択”[Windowsなら《Ctrl+A》等]して、反転させて読んで下さい)
 中ネタバレについては、詳しくは別ページにまとめるときにでも…という感じで(※今回、このページにまとめるにあたって補足)。
 小ネタバレについてはネタバレ防止の雪タグを使って書いていこうと思います(※ゲストブック掲載時。今は外してあります)。

 ストーリーの流れは、いたってシンプルでネタバレも何も…。
 エアラインスケートをはいてバトル(見る限り、スケートをはいている以外は普通の殴り合いのケンカ?)する中学生の主人公達5人チームが、同じ中学校の5人組に最初はボコボコにやっつけられ、その後エアラインスケートが好きな自分達の初心を取り戻して、友情パワーで勝つ、それだけ。
 少年漫画の王道中の王道という感じの簡潔なストーリーですが、この舞台を観ると、シンプル・イズ・ベスト! と実感。

 で、上山竜司さんを含めた上山さん御所属のユニットRUN & GUN(吉本興業所属で、アーティスト活動のほか、ユニットとして&個人で俳優の活動もされているユニット。【RUN & GUN公式:Biography】御参照)の4人+松本寛也さんは、主人公達のチームを倒そうとする“チーム バッカス”のメンバー。
 この“チーム バッカス”は闇の演劇部として、“ロミオ”“ハムレット”“マクベス”“パック”“ジュリエット”それぞれシェイクスピアの登場人物の名前を名乗り、世界は劇場といって、上山さん演じるロミオの書いたシナリオ通りに策を弄して主人公達のチームを陥れ、倒そうとする(といっても、倒す瞬間は策は全く関係なく、シンプルに実力で殴り合い【笑】)のですが。
 このRUN & GUNの皆さんがまた、戯画化されたシェイクスピア芝居を実に達者に、思い切り演じ切っていらして、ジュニアミュージカルで脇を固めるために投入された大人の劇団の人のような貫録!
 『仮面ライダー剣』のキャラクターブックで諸田監督が、最近の若い俳優さんは非日常的な芝居ができる人が少ない、というようなことをおっしゃっていたと思いますが、まさにそういう“非日常的な芝居”を、全く照れや迷いなく、はじけきりつつスタイリッシュに演じていらして、観ていて気持ちよかったです。
 途中、日替わりコーナーらしきお遊びコーナーも担当されるのですが(セラミュ『かぐや島伝説』の女海賊ルーフ・メロウと海賊トリオのお笑いシーン[夏の改訂版の海賊さん新キャストオーディションのときには、お笑いも審査したそうです【笑】。あの海賊さん達、それぞれ公演をプロデュースされていたり、劇団の主宰者だったりと、結構すごいひとだったりします!]や、『仮面ライダー剣』金居役の窪寺昭さんが出演されていた劇団AND ENDLESS『桜の森の満開の下』のウマヤドを囲んでのコーナーを思い出しました【笑】)、それもかなりこなれた感じで取り進めていて、お見事でした。
 新宿・ルミネtheよしもと新喜劇への継続的な出演などよその会社の若手俳優さんにはなかなかできない経験も含めたいろいろな舞台経験によるものか、1年間続けたという定期的なトークライブで鍛えられたのか…吉本興業って、すごい! と、あらためて。


 RUN & GUNの最年少リーダー・上山竜司さんは、そのチームの中でもリーダーで、メインの役どころ。
 『Wanna be FREE! 東京ガール』では、どこからどうみても“いいひと”なその顔で、アニメの中からマッドな登場人物が飛び出してきたような人物を、かなりイッてる感じに、それでいてどこか優雅で上品に演じられてました。
 劇中では悪役を禍々しく演じきっていらっしゃる上山さんの“好青年”な顔をちょっと覗けるのが、日替わりらしきお遊びコーナー。そこも“素が覗いてしまう”ではなくて、“サービス & お笑いネタとして、役とのギャップのある顔を見せる”という感じで、そのコーナーの顔から劇中の顔に“戻すぞ”と宣言して(アドリブかどうかわかりませんが、そういうセリフがありました【笑】)すっと戻る瞬間も楽しめて、ナイス企画!
 そして、上山さんについて特筆すべきは、そのスケーティング!
 『エア・ギア』は、インラインスケートを使った舞台を作ろう! というものではなくて、インラインスケートが使われている原作があるのでそれを舞台化しよう、でも、一体これをどうやって舞台化するの!? と、演出家さん以下皆さん悩まれたという舞台。皆さん特訓の成果あって舞台として十分成立していましたが、正直、スケートをはいてるために立ちポーズの腰つきが微妙におかしなことになってるなー、とか、このダンスはスケートをはいていなければもっとダイナミックでかっこよかったんだろうなー、ということも、どうしても…
 が、上山さんは、そのスケーティングが魅力的!
 軽くポーズをつけて曲線を描きながら後ろ向きに滑っていく動きや、くるくる回転しながらのステップ等、フィギュアスケートのような動きが、ロミオという役どころや、クラシックな衣装、スケートシーン以外でも上山さんの役につけられている芝居がかった所作とぴったりで、『エア・ギア』の設定関係なく、小道具として効果的。
 【ミュージカル『エア・ギア』オフィシャルブログ:2006年12月29日_パワースライド】で説明されている、通常は進行方向に向かっているタイヤを、一瞬で重心移動を行い、足をひねり、進行方向から90度角度を変え、重心を低くして足を斜めに倒して停止する技・“パワースライド”が、むちゃむちゃかっこよく!
 真っ直ぐ立って、片足を軽く前に出して前方にただすーっと滑っていく動きも、フィギュアスケートの選手のようで、“ただ滑っている”上山さんを観たくて、つい目で追ってしまうほど。
 RUN & GUNは、皆さんスケーティングが自由な感じでしたが(パック役の宮下雄也さんなどは、かなり思い切り飛んだり跳ねたり!)、特に上山さんの王子様スケーティングには、やられました!
 2月発売の『Wanna be FREE! 東京ガール』DVDの価値が、ここへきてはねあがった感じです!
 (『エア・ギア』パンフレットの上山さんのプロフィールにも『Wanna be FREE! 東京ガール』ばっちり書いてあったので、それで御覧になられる方が増えることも期待【笑】)


 松本寛也さんの役“ジュリエット”は、とにかく難しい役だったと思います。
 いろいろ役を難しいものにする要素があったと思いますが、なかでも“女性キャラクターの名前を名乗る男子中学生”“女性的(…オカマ的?)所作や言葉遣い”というポイントは、そもそもの出発点で、加減をどう定めるか、演出家さんからして悩みそう。
 セラミュでも、『SuperS』のアマゾントリオのようなオカマ役や、『誕生!暗黒のプリンセス ブラック・レディ』のペッツのように本来は普通の女性キャラクターのところにあえて男性キャストをもってくる例等、そういう役どころの人物が登場したことは多々あって、ばりばりの舞台人な大人の役者さんが思い切りはじけて演じてたちまち人気者になっていくのを何度も観て来た感じからすると、もっと前に出て、思い切りはじけて、笑いや喝采をさらってもいいんじゃないかなあ…という気がする瞬間も(天野さんまもちゃんの十八番・『かぐや島伝説』の洞窟のシーン、観に行くたびに天野さんまもちゃんの「大丈夫だ」で劇場が笑いで満ちる快感が、身に染み付いているからかも…)。
 その一方で、やはり男子学生(あっちは確か高校生)によって“遊戯(プレイ)”として同名の役が演じられた『SHAKESPEARE'S R&J』での“ジュリエット”を演じられた佐藤隆太さんのように、真っ直ぐに演じて、不自然さを感じさせない(どころか、普通に正統派のその役ぴったりに思えてきたり!)という方向性もあるわけで…まあ、今回の舞台は、「キモイ」等々のツッコミが入るので、こちらの極はナシだと思いますが(笑)、松本さんのファンや松本さんのファンの観劇を見込んで松本さんを起用された舞台制作SIDE、ほぼ100%女性の客席の求める像は、ある程度節度ある上品できれいな姿のような気もしますし、松本さん御出演ということで観に行った自分も、美しい松本さんの姿にも大いに満足したので、う〜ん、難しい…! と。
 役どころからいうと、実は松本さん演じるジュリエットがラスボスだった、ということとの関連では、はじける方向に針を振りきってもいいかなあと思いますが(ギャップがあると、その意外性がまた面白く、また舞台全体がお笑いも含んだ序盤・中盤モードからクライマックスに向けた終盤モードに鮮やかにスイッチ切り替わる効果も)、明らかにお笑い担当のパックとのかねあい・役割分担もあって、また難しいかなと。
 そういうそもそもの方向設定から、定めた方向に向けて実際に魅力的に演じること、演じた結果のお客さんの反応を探ることに至るまで難しい役を、いろいろ考えて演じられる経験自体、松本さんにとってすごい財産になるんじゃないかと思います。公演期間中も、1日終わるごとにいろいろ調整が入って、進化していくのでは。
 それにしてもキッチリと舞台メイクをされた松本さん、キレイで恐れ入りました!


 上山さんの役と松本さんの役の関係も、ほんとうに面白く。
 台本に描かれたストーリーの上での劇的な関係も面白いですが、どちらが最終的により“おいしい役”に見えるかは役者さん自身の存在感のガチンコ勝負という感じで、バトルだなあと!
 松本さん演じるジュリエットがその本性を現して、上山さんロミオに“お前のくだらないシナリオ”等々毒づく瞬間は、松本さんの存在感が強烈で(キレイにメイクされた顔が、瞬時に毒婦的な形相に! 松本さんの目力のある容貌も、フルに生かされているような!)、それまで完全に適役の主役だった上山さんが雑魚的キャラに転落したかのように見えたものの、松本さんが舞台中央で大剣を振るって主人公と対決するという華々しい活躍をしている間、舞台の下手端(舞台上、というよりも、インラインスケート用に客席の前半分を囲むように作られたサーキットの部分に張り出したような位置)で傷ついた身をチームバッカスの仲間達に支えられてぐったりした様子をみせている上山さんも、動きはないもののしっかり“ロミオ”で、かなり魅力的な姿を見せ続け。
 そして最後に、手ひどい裏切りを受けてもロミオ達がジュリエットを変わらず仲間として、主人公達とも和解するシーンでは、上山さんロミオは【2006年8月13日9:45 Wanna be FREE! 東京ガール トークショー】で監督に“薄っぺらになりがちな“いい人”の役を、あったかみと面白みのある誠実な人柄の出た役に…”と絶賛された上山さんならではの、懐の深さ、人としてのスケールの大きさをを感じさせ、松本さんジュリエットは毒々しいまでの強烈な“悪”から一転、悄然とうなだれた様子に情感を漂わせ、と、それぞれ“裏切り”シーンを経て新たににじみ出る魅力を見せてくださって。
 天野さんが成人を待ち受けていたお二人が、こんな共演・競演をされるとは! と、格別の感慨を持って観ました!


 敵役サイドばなしばっかりになってしまいましたが、『テニスの王子様』キャストさんを軸にした主人公サイドも歌等安定していて(特にカズ役のKENNさんは第一声から“あ、いい声”という感じで、オニギリ役の加治将樹さんもそれに迫るものが)、舞台全体として楽しめました。
 当日券も、初日などは抽選になったりしたようですが、少なくとも東京公演では出るようですので、関心のある皆様は、ぜひ生で!
 (DVDもアニメイト限定で出るようですが、客席前半分をまるごと囲むように作られたサーキットを使ったインラインスケートの疾走感等、DVDでは十分に楽しめない舞台だと思います!)



(ゲストブック書き込み:2007年1月9日)



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