妄想姉妹

第10話 「藪の中」

Characters

登場人物

 
市川晶子 (いちかわ あきこ)  Cast:吉瀬美智子
まるで母親のように妹たちの面倒を見ている長女。30歳。
家事から家や庭の手入れまで完璧にこなし、主婦として生きることは彼女の天職のように見える。
しかし、結婚せず、あくまでもこの家の中で主婦であり続けようとする。

 
市川藤尾 (いちかわ ふじお)  Cast:紺野まひる
奔放な次女。27歳。
高校もまともに卒業しておらず、次から次へと職を転々としている。
彼女が外で何をしているのかは、姉妹たちも知らず、ありとあらゆる仕事を経験している模様。
転々としているのは仕事ばかりではなく、妖艶で色っぽい彼女は男が途切れることがないが、彼女自身は誰一人として真剣に愛していないように見える。
男たちの中には次女の生活の面倒を見たいというものもいる。
しかし、彼女は家を出て行かず、あくまでもこの家の中で妖艶で奔放な女でいようとし続ける。

 
市川節子 (いちかわ せつこ)  Cast:吉瀬美智子
病弱な三女。23歳。
色白で細身、年齢よりはるかに幼く見える。
大学の図書館でアルバイトをしているが、病弱なので休みがち。
幼い頃に父親を亡くしたせいもあり、かなり年上の男性に惹かれやすいが、相手が本気になると引いてしまう。
家にいるのが大好きで、特に亡くなった父親の書斎で本を読むのが幸せ。
病弱な彼女の健康のためには、もっと外に出て日に当たった方がいい。
しかし、彼女は家を出ず、体を病みながら、この家の中で過ごすことを選ぶ。

 
市川草太郎 (いちかわ そうたろう)  Cast:田中哲司
昭和の文豪と呼ばれ、20年前に他界した作家。
生前、「20年後の娘たちへ、これが私の愛。私の秘密。どうか私を許して欲しい」という内容の、鍵同封の手紙を送っていた。
鍵は草太郎の書斎にあった秘密の書庫のもので、扉を開けると、そこには、十数冊の本と“順に読め!”という草太郎のメモが…。

 
多襄丸 (たじょうまる)  Cast:天野浩成
芥川龍之介の小説『藪の中』に登場する、平安時代の名高い山賊。
旅の途中の武弘・真砂夫婦を襲い、武弘を縛り上げた上で、武弘の目の前で真砂を暴行する。
晶子の真砂によると、真砂を辱め、嘲るように笑った男。
節子の真砂によると、真砂があなたが死ぬか夫が死ぬか、どちらか一人死んでくれ、と訴えると、卑怯な殺し方はしたくないといって、武弘の縄を解いた上、太刀打ちで勝負をつけようとする愚かな男。
藤尾の真砂によると、ふがいない夫とは違ってたくましく魅力的な体をもち、自分を征服した力強さで自分を守ってくれるに違いないと思える、選ぶに値する男。

 
金沢の武弘 (かなざわのたけひろ)  Cast:東根作寿英
芥川龍之介の小説『藪の中』に登場する、若狭の国府の侍。
共に若狭へと旅だった妻の真砂を守ることができず、目の前で妻を奪われる。
現場となった藪の中には、縄が解かれた状態の武弘の死体が発見されるが、その死因をめぐって、謎が展開する。
晶子の真砂によると、山賊に辱められた真砂を、怒りでもなければ悲しみでもなく、ただ真砂を蔑んだ冷たい光をたたえた目で見た男。
節子の真砂によると、真砂が山賊に襲われる原因となった、ふがいない男。
藤尾の真砂によると、多襄丸のような肉体の魅力もなく、多襄丸に真砂を殺すかと問われると“殺せ”とうなずくひどい男。