愛の劇場
愛のうた!
第4話
5円玉の奇跡…
Staff & OA
脚本 ◆ 武田有起 演出 ◆ 加藤章一その他のスタッフ ◆ 【愛の劇場『愛のうた!』 スタッフ&キャスト詳細データ】へ
放送日時 ◆ 2007年11月1日 13:00〜13:30
◆公式サイト◆
【TBS公式:愛の劇場『愛のうた!』】【TBS公式:番組情報−愛の劇場『愛のうた!』】
◆参考サイト◆
【TBS公式:テレビ番組表−2007年11月1日】【MBS公式:愛の劇場『愛のうた!』】
Cast
黒川亜紀:雛形あきこ黒川 楓:荒井 萌 黒川紅司:泉澤祐希 黒川花梨:三好杏依
蒔田亮介:天野浩成 黒川稲穂:岡田浩暉
女子社員1:太田彩乃 女子社員2:南まりか
八百屋の男:森山米次 キャバクラ店員:赤城裕斗 芸プロ
黒川源三:左右田一平 黒川千歳:大森暁美 ほか
Story
4人で一緒に暮らそう、と言い切った亜紀(雛形あきこ)を無視して、楓(荒井萌)は花梨(三好杏依)や紅司(泉澤祐希)をそれぞれの引き取り先に送り届けようとする。楓は「妹達にへんな期待させないで下さい」といい、紅司にも「こんな口だけの人、信じちゃだめだよ」と言い渡す。
子供を、しかも3人いっぺんに引き取るなんてできっこない、こればかりは怒る楓が正しい、後先考えずに子供に期待させるお前が悪い、と、子供達が帰った後、亮介(天野浩成)は亜紀を諭そうとする。
しかし亜紀は、ソファの上に膝を抱えて座り込み、本気なの、心配で心配でしょうがないの、もうあの子達のこと放っておけないという。
そんな亜紀の様子を見ると、亮介も、それ以上何も言えなくなってしまう。
職場の旅行会社でも、亜紀は、いつか亜紀と子供達が一緒にいて楽しいと思える日が来る、等々の、稲穂の言葉を思い浮かべていた。
そして亜紀は、急に早退すると宣言、下校途中の楓を待ち受ける。
本気なんだ、わかってよ、そんなに私のことが信じられない? と問いかける亜紀に、楓は、自分が9歳の頃、3人は母親に捨てられたことを語る。血を分けた母親も子供を捨てて行くのに、赤の他人のあなたを信じられるわけがない、という。
さらに楓は、この前も五円玉を探すという約束を破られた、もう期待して裏切られるのはいやだ、と。
「あなたが何を言おうと、こんな気持ち、捨てられた人間にしかわからないと思います」
そういうと楓は、きびすを返して去っていった。
亜紀は事故現場の橋の上から、その下を流れる小さな川を見下ろす。
夕方、事故現場に花を供えようとやってきた亮介は、川辺で探し物をしている亜紀を見つけて下りていく。
何を探しているのか問われて、亜紀は、稲穂の形見を探していると答える。
稲穂が子供達の生まれた年の五円玉を首から下げていて、その五円玉を絶対みつけると約束を子供達としてしまった、みつけないと信じてもらえないから、と話す。
そんな亜紀を、複雑な表情でみつめる亮介。
その夜、楓は、働いていたキャバクラの前で、もう一度雇ってほしいと懇願していたが、中学生なんてとんでもない、と、相手にされない。
そこに亮介がやってくる。
一緒に帰る道すがら、亮介は、俺も亜紀も両親の揃っている家庭でぬくぬくと育ってきたから君達の気持ちはわからない、わからないけど、俺は君達のお父さんのことが好きだった、亜紀はもっと好きだったと思う、まあ、結婚するぐらいだから、当たり前だからな…と話す。
亜紀の話をさえて、足を速める楓の後ろ姿に、亮介は、あいつ、お父さんの形見探してるよ、と教える。みつかるまでずーっと探すつもりだ、そうしないと、君達に信じてもらえないから、と。
足を止めた楓の後ろで亮介は、馬鹿だからな、まっすぐ突き進んで、ときどき見当違いの方向行っちゃうけど、嘘ついたり、人を裏切ったりするような奴じゃない、と、亜紀について語る。そして「あいつのこと、信じてもらえないかな」と。
にらみつけるように亮介を振り返った楓を見て、亮介は「あなたには関係ありません、か」と、楓の言葉を先取りする。楓は目を伏せ、もう一度亮介をじっとみつめてから、歩み去る。
遠ざかる楓を見送りながら、亮介は「あーあ、何やってんだオレ」とつぶやく。
その間も、亜紀は、川で稲穂の五円玉を探していた。
翌日も、亜紀は川辺の草を刈ったりしながら、五円玉を探す。
そこに、楓、紅司、花梨がやってくる。
来てくれたんだ、と喜ぶ亜紀に、偉そうなことを言っても亜紀が何もできないことを確認しにきただけだと楓。
亜紀は、絶対みつける、と、改めて約束するが、楓にうながされ、3人は亜紀を置いて帰ろうとする。
そのとき、亜紀は、川の上に突き出した枝にひっかかっていた皮ひもをみつける。
切れた皮ひもには、五円玉がひとつだけつながれていた。
平成4年、楓の五円玉だった。
「あった!」という楓の声に、帰りかけていた子供達は戻ってくる。
お父さんのだ…と、ずっと頑なだった楓の表情がゆるむ。
4人は川に入り、その近くの川の中を探し始める。
じきに、紅司が、平成8年、紅司の分の五円玉をみつける。
それから4人は、花梨の五円玉を探すが、なかなかみつからない。
すっかり日も暮れて、子供達は、疲れて川辺に座り込むが、亜紀は諦めずに川の中。
そして亜紀は、土の中に、金色のきらめきをみつける。
土の塊をほぐしてみると、それは、花梨の五円玉だった。
涙を流す子供達を、亜紀自身も涙を流しながら、しっかりと抱きしめる。
部屋に戻った亜紀は、稲穂の五円玉を、楓、紅司、花梨の首からかけてやる。
そして亜紀は、家賃が払えるようもう少し狭いアパートに引っ越すこと、稲穂と違って家で仕事をするわけでなく家事も苦手なので協力が必要なことを子供達に告げる。
みんなの母親にはなれないかもしれない、まずは共同生活者から始めたいと思う、という亜紀に、そんなかっこつけなくても、普通にママハハでいいじゃないか、と子供達。
ま、いいか、と、亜紀は稲穂が決めた家族のルールを確認する。
子供達も、声を合わせて、ルールを復唱する。
そこに、近所の八百屋が訪ねてきた。
何日か前に稲穂に頼まれたといって、昭和52年の五円玉を亜紀に渡す。
よかったねママハハ、と花梨にも言われ、亜紀は感激してその五円玉を握りIめる。
子供達の寝顔を見届けてから稲穂の遺影の前に座った亜紀は、子供達といつか一緒に那須に帰り、そこで子供を育てたいという稲穂の夢を思い出す。
稲穂が残してくれた五円玉を握りしめ、よぉーし! と、亜紀は決意を固める。
そして4人は、那須にやってきた。
稲穂の実家で、応対してくれた稲穂の母・千歳(大森暁美)に亜紀が「私、稲穂さんの…」と挨拶しかけたところ。
「そんな奴知らんな」
そう言い放ったのは、稲穂の葬儀のとき、遠くから稲穂の遺影をみつめて、黙って立ち去った男性…稲穂の父・源三(左右田一平)だった。
「そんな奴知らん。わかったら帰れ!」という源三に、亜紀達は呆然とする。
Check! −天野さん亮介くんみどころ−

決してコドモっぽいというわけではない口調、でも、落ち着きなく歩き回りながらのその口調は、【第3話】での大人の余裕が感じられるセリフ回しとは、どこか違ってきているような…
…と思っていると「こればっかりはー、怒る楓ちゃんのほうが正しいよ!」と、“…は(wa)ー”と、文節末を伸ばす、かなりコドモっぽい口調出現!(笑)
“楓ちゃん”と、すでに黒川家の子供達に対する親しげなケハイを漂わせた呼び方もポイント。

亜紀をたしなめるような雰囲気半分、亜紀に半ば説得され済なケハイ半分な声。
その後の楓とのシーン(特にラストの亮介くんのセリフ!)から振り返ると、その半々感が大事かも!

花束をちょっと角度を変えて眺めてみたり、無造作に歩みにつれて振るてのままに振り回してみたり、というあたりが、男の子の花束の持ち方、という感じ。
歩き方にも、天野さんぽい特徴。

すごく“天野さん的”な動き!
新しい役の中にも、こういう動きがあると、ほっとするような、大好きな動き。

なんだ、亮介か、と言われての「なんだってなんだよ。お前こそ何やってんの」で、ちょっとむっとするとその大人っぽさの一角が崩れ。
探し物、と言われての「そりゃ見りゃわかるよ、何探してんだよ!」は、声こそ深みのある響きの声ながら、一気に小学生っぽい口調に(笑)。
だんだん二人がともに時間を過ごしていた、高校生時代に戻っているような感じが、夕暮れの風景の中で、ノスタルジック。

亮介の表情がいいだけでなく、「見つけないと、信じてもらえないからね」という雛形さん亜紀の表情が、『愛のうた!』のここまでのシーン全部を通しても一番可愛い亜紀の表情かも! というぐらい可愛いのが、すごくうれしく。

その後のシーンでもずっと続く、楓の言いそうなセリフ、亜紀が楓に言われたようなセリウを先回り先回りしていく亮介くん…
…オトナの知恵というより、楓ちゃんと同レベルで意地を張っているような雰囲気が…(笑)

“気持ちはわかるよ”などと安易に言わず、わからないものはわからないと言う亮介くんの誠実さがわかるシーン。
…である一方、“からー”の語尾が微妙にのびたりするコドモっぽさで、そういう“誠実”の押し売り感が雲散霧消、かわりに楓が亜紀に言い放った「あなたが何を言おうと、こんな気持ち、捨てられた人間にしかわからないと思います」に意地をはって対抗するコドモのような微笑ましさが混ざり込み、独特の味わいに。

“わからないけどー”のところは、語尾がのびてコドモっぽく、「君達のお父さんのことが好きだった」の最後のあたりは、声がぐっと低く深い響きになり、大人っぽく。
この声の“揺らぎ”が、天野さんのたまらない魅力!
…と同時に、あんなに警戒心を露にしていた楓ちゃんと、ちょっといいムードで並んで歩いている亮介に驚愕!
紅司とのバディ感といい、いい雰囲気作る早さ&巧みさ、亮介くんの才能すごすぎ!!

ここは、楓が認めたくない亜紀が稲穂のことを好きだった、という話題がいやで、そんな話は聞きたくない、と離れるシーンではあるものの、ストーリーを無視して、“いい雰囲気で歩いていた亮介から楓がすっと離れていった”という事象だけ見れば“亮介が亜紀のことをよく理解した上で、亜紀を擁護するような発言をした”ことがイヤだったシーン、と夢見ることも可能な映像で、むちゃむちゃおいしく!
PVだったら“これはこの2人の恋愛のワンシーン”と言い切ることも十分可能な(というか、合う歌を探してきて、かぶせてそういうことにしちゃいたい!!)、ありがたすぎる映像!!

こんな月9的ムードと華やかさのある映像を、ヒロインとその相手役ではない、ぶっちゃけ恋愛関係は全くない二人に用意してくれる『愛のうた!』、ありがたすぎ…

ちょっとイヤミっぽく“キミたちに信じてもらえないから”は、子供達と同レベルで意地を張り合っているようで、大人のムードにはほど遠いけれど、中学生の楓が相手となると、それがかえって楓との恋愛モード成立に条件的に近づいているようで、ドキドキ!(笑)

そして「うそついたり、人を裏切ったりするような奴じゃない」で、大人の響きがよみがえってきて。
亮介くんピンの、揺れる表情をしっかり見せる映像にのせての「あいつのこと、信じてもらえいないかな」は、大人の真剣さ。
その言葉に振り返った楓の表情が、はっとするほど一気にあどけなく見えるのと、絶妙なシークエンス!

そんな亮介を、振り返ってじっとみつめる楓の表情、亮介のことをどう思ってるんだろう…と、どきどき!
楓のこの表情で、一連のシーン全体が、みずみずしく繊細な感じに!

ユーモラスな響き、きっと“亮介的”。
亜紀になんだかんだ言いながら、亜紀と同じく…ある意味亜紀以上に“見当違いの方向”に進んでいく亮介、いいキャラ!