愛の劇場

愛のうた!

第12話
那須を逃げた罰



Staff & OA
脚本 ◆ 武田有起  演出 ◆ 山崎統司
その他のスタッフ ◆ 【愛の劇場『愛のうた!』 スタッフ&キャスト詳細データ】
放送日時 ◆ 2007年11月13日 13:00〜13:30

◆公式サイト◆
【TBS公式:愛の劇場『愛のうた!』】
【TBS公式:番組情報−愛の劇場『愛のうた!』】
◆参考サイト◆
【TBS公式:テレビ番組表−2007年11月13日】
【MBS公式:愛の劇場『愛のうた!』】
Cast
黒川亜紀:雛形あきこ
黒川紅司:泉澤祐希  黒川 楓:荒井 萌  黒川花梨:三好杏依
木村晃:渋江譲二  蒔田亮介:天野浩成
野本美津代:栗田よう子  桜井慶太:兼子 舜
石田晃一  桜井 聖  加藤瑠惟  佐藤敦士  薮内亮太
芸プロ  テアトルアカデミー
黒川源三:左右田一平  黒川千歳:大森暁美  ほか
Story
スーパーで万引きの疑いをかけられた紅司(泉澤祐希)。
紅司が店員に連れて行かれるところを、偶然やってきた亮介(天野浩成)は、店の入り口付近で、ハイタッチをしている3人の子供達を見て不審に思う。

事務所に連れて行かれた紅司は万引きなどしていないと主張、両親の連絡先を聞かれ、母も父もいない事実を話すが、店員は信じない。
そこに、強引に事務所までやってきた亮介が入ってきて、何があったのか店員に問い質す。

事情を聞いた亮介は、亜紀(雛形あきこ)に連絡。
紅司が万引きでつかまったこと、紅司はやってないと言っていることを話し、紅司の伯母を呼んだのであとは彼女がなんとかすると思う、知らせるまでもなかったが一応状況報告を、と伝える。
が、電話の向こうで亜紀が黙り込んだことに気づき。
「大丈夫だから! あとは伯母さんにまかせておけばいいから!
走るなよ! くれぐれも走る…」
亮介がそこまで言ったとき、電話は切られてしまった。

亮介に伴われてにスーパーの事務所に入ってきた伯母の美津代(栗田よう子)は、万引きはしていないという紅司の主張を聞かず、店員に謝る。そして、小さい頃に母親がいなくなり、最近父親を亡くし、しばらく継母と暮らしたりしていた可哀想な子で、淋しくて不安定になっていたところだった、今回だけは見逃してほしい、と頼み込む。
“可哀想な子なんです”と言われたときの紅司の表情を、亮介は見逃さなかった。
美津代が店員に頭を下げている間も、亮介はじっと紅司の横顔をみつめていた。

その夜、本当のことを言うよう伯父に質されても、紅司は万引きなどやっていないと繰り返す。
この話はあとで、と伯母が言っても、自分は万引きなんてやっていないし、可哀想な子でも淋しくも不安定でもない、僕は絶対やってない、と宣言して、紅司は自分の部屋にこもる。
そして紅司は、これが、信じてくれた人を裏切った自分への罰なのだろうかと感じていた。

翌朝、那須の黒川家では、亜紀の不在に気づく。
花梨(三好杏依)が示した置手紙には、ちょっと東京に行ってきます、という伝言が書かれていた。
亮介からの電話を受ける亜紀を見かけていた千歳(大森暁美)は、そういうことか、とうなずく。

紅司のいる野本家では、いつもは仕事で紅司に一人で朝食をとらせていた美津代が、エプロンをつけて台所に立っていたりした。
紅司は、自分のことなら心配しなくても大丈夫、といって家を出る。
自分は信じられていない、と紅司は感じる。

学校に向かう途中、紅司は亜紀に出会う。
亮介から紅司が万引きしたと聞いてあわてて来たのだろうと紅司はすぐに指摘するが、亜紀は、やっていないという紅司の言葉を信じるという。
しかし紅司は、もういい、第一亜紀にはもう関係ないことだから放っておいてほしいと言う。

亜紀は亮介に電話する。
仕事中だとわかってんならかけてくんなよ、と渋い顔で電話を取った亮介だったが、亜紀が東京に来ていると気づくと、だから走るなって、と、亜紀を諭しにかかる。
しかし亜紀は亮介に向かって、みんなにやっていないという紅司を信じてもらいたい、と訴える。
結局、亜紀のその言葉に動かされてしまう亮介。

楓はアルバイト仲間の慶太に、亜紀が弟のいる東京に行っている、と話す。
そんな楓に慶太は、弟のことなのになんだか他人事だな、と指摘。
あんな奴裏切り者だからいいんだ、という楓に、作業している分量間違いない? といってみる慶太。
楓がむっとして睨むと、おどけてその場を離れる慶太。

亜紀は紅司が疑われたスーパーに乗り込み、店員に、盗った瞬間を見たのかと詰め寄る。
そこで亜紀は、店員が、紅司と同い年ぐらいの男の子に言われて紅司が万引きしたと思ったことを聞き出す。
その店員の言葉を聞いた亮介は、その日スーパーの入り口でハイタッチをしていた子供達を思い出し、その子達がわかると思う、と亜紀に告げる。

公園で一人座り込んでいた紅司を、いつも紅司にいやがらせをしてくる三人組が囲み、昨日は意外と早く帰れたんだな、自分は可哀想な子だから許してくださいと泣いて謝ったからじゃないのか、などと言い立てる。
挑発を無視して立ち去ろうとする紅司に、また逃げるのか、お前は逃げてばっかだな、どうせ東京にも逃げてきたんだろ、とそのうちの一人が言ったとき。
「紅司くんは可哀想な子なんかじゃない」
それは、亮介を伴ってやってきた、亜紀の声だった。
「この子達だ。間違いない」と亮介。
亜紀は、確かにお母さんもいないしお父さんも亡くなり、残されたのは継母だけだが、ずっと心のままに生きてきた紅司は可哀想なことなんてひとつもない、東京にも勉強したいからと自分の意思で来たのであって逃げたわけじゃない、という。
あんた達ね、紅司くんをハメた奴は、と言われてびくりとする子供達に、亜紀は宣言する。
「今回は許してあげる。けど、今度こんなことしたら、ぶっ飛ばすわよ!」
そして、紅司の肩を抱いて、笑いかける亜紀。
そんな亜紀を亮介は、ちょっと複雑な、眩しそうな表情で見て、やがてにっこりと笑みを浮かべる。

その夜、亜紀は野本家にやってきて、紅司は万引きなんてやっていないと主張する。
美津代は、自分達も紅司が悪い子だなんて思っていない、ただ時期的に不安定なのかなと思っただけで、許してないというわけではないという。
亜紀は、紅司は許してもらわなければならないことなんてしていない、父親の深い愛情に包まれて真っ直ぐに育った紅司を信じてほしい、と訴える。
そんな亜紀に美津代は、1ヶ月か2ヶ月子育てをしただけで偉そうに、と反発し、紅司が東京に帰ってきたのも亜紀が子供のことをわかっていなかったからだと断定、もうこれ以上紅司のことに口出しするなと亜紀を一喝する。
悄然と野本家を辞する亜紀。

紅司は、花梨が描いた那須の一家の絵と、亜紀がつくろってくれたシャツをみつめ、自分のために亜紀がしてくれたいろいろなことを思い返す。
そこにやってきた美津代は、紅司が手にしたシャツを見て、こんな汚いシャツ、明日にでも新しいの買ってきてあげるから、と、捨てようとする。
しかし紅司は美津代に、これがいいんです、と告げる。
「理由はうまく説明できないけど、これじゃないとだめな感じがします。これじゃないと…」

帰り道の亜紀に追いついた紅司は、自分は亜紀に信じてもらう資格はない、東京に来たのは本当は、那須での生活がいやでいやで姉も妹も捨てて逃げ出したのだ、最低だ、と告白する。
今度は逃げ出さない、もう一度やってみたいんです、と紅司は、もう一度那須に帰らせて下さい、お願いします、と、亜紀に頭を下げる。

Check! −天野さん亮介くんみどころ−

愛の劇場『愛のうた!』前回の繰り返しになる、紅司が万引きの疑いをかけられているところを目撃した、目を見開いた表情。
瞳に光が入った、きれいな表情!
それに続く、こちらは今回初出の、同行者に、ちょっとすみません、と断って店内に入るしぐさも、生真面目な感じで好感度大。

愛の劇場『愛のうた!』紅司を陥れることに成功して“よし!”とハイタッチなどしている子供達を目撃した亮介くん。
ちょっと小首を傾げたりしつつも、紅司くんが連れて行かれる方が気になって、そちらに鋭い視線を向ける横顔。
一連の表情のビジュアルもみられてうれしく、そしてこの目撃が、今回の鍵になっていることもさらにうれしく。

愛の劇場『愛のうた!』「ここなんでしょうあの子がいるのは!」と、別の店員さんともめながら、紅司が尋問されている事務所に乱入してくる亮介くん。
紅司くんがつぶやく「おじさん…」、初対面の機会以来の亮介のことを、ちゃんと覚えていてくれたんだ…とうれしく(ものすごく演技達者な泉澤さんの“おじさん”も、快感!)。
紅司くんにうなずいてみせ「いったい何があったんですか。これはどういうことですか」と店側に問い質す亮介くんと、そんな亮介くんに紅司くんが向ける信頼のまなざしが、ものすごくうれしいシーン。

愛の劇場『愛のうた!』亜紀への連絡で「それがさあ、紅司くんはやってないって」という亮介くん。
「店員は頭からやったと決めてかかってるし」という言葉から、亮介くんは亜紀同様、紅司くんを信じてるんだな、とわかるシーン。
それでも「とりあえず今、紅司くんの伯母さん呼んだ。あとは伯母さんがなんとかするだろうから、お前に連絡するまでもないと思ったんだけど、一応状況報告」と、淡々と報告するところが、すぐに熱くなる亜紀とはちょっと違う、亮介くんの性格が伝わり。
よく似合うジャケット姿で、携帯をかける姿も、魅力的。

愛の劇場『愛のうた!』亜紀の沈黙に気づいての「亜紀?」の表情。
ちょっと顔しかめかけの、一見渋いけれど、実はあわてる前兆。
「大丈夫だから! あとは伯母さんにまかせておけばいいから! 走るなよ! くれぐれも走る…」の“走るなよ! くれぐれも走るなよ!”とともに、亮介くんのトレードマーク(笑)。

愛の劇場『愛のうた!』おそらくは走り出すために速攻電話を切った亜紀に「まったく!」と言いつつ、折りたたみ式の携帯を閉じる天野さん亮介くん。
携帯のふた(?)の蝶番と離れたところに手をやって、ぱたん、と閉じるしぐさが特徴的。
最終的には亜紀に命じられるままに走り回ることになるのに、こういう段階では妙に視線が鋭いのも、ちょっと可笑しく微笑ましく(笑)。

愛の劇場『愛のうた!』伯母さんがきてからも、部屋の隅に控えめに立って、その場に立ち会う亮介くん。
“可哀想な子なんです”という、紅司も、亜紀もひっかかりを感じた伯母さんの言葉に、同様に反応するあたり、亜紀と似てるな、と。
謝る伯母さんをみて、信じてもらえていないと傷つく紅司の横顔を、口元をきっと引き結んだりして、じっとみつめる表情。

愛の劇場『愛のうた!』突然現れた亜紀に「亮介おじさんだ」という紅司の言葉。
紅司の口から“亮介”という音が聞けるとは思ってもいなかったので、感動!
“亮介おじさん”という声、亮介くんに対する親しみも感じられ、それがまたうれしく。

愛の劇場『愛のうた!』仕事中に亜紀から電話をかけられ「なんだよー」「わかってんならかけてくんなよー!」な亮介くん。
“くんなよー!”に力がこもった口調が、ほんとうに親しさいっぱい。
仕事の相手に、“すみません”と顔の前に手をかざしてあやまるしぐさも、いい感じ。

愛の劇場『愛のうた!』“くんなよー”から一転、「お前もしかして!」と、亜紀の東京乗り込みを察した亮介くんの表情!
クールな感じの横顔から、振り向きざま目を大きく見開いた、驚愕と“やっべぇ!”の表情に変化する、その鮮やかさが魅力的。


愛の劇場『愛のうた!』“今、東京にいるの”と言われての「お前!」。
あわてた亮介の、その場で軽く跳躍するように数歩ステップを踏んで、ちょっと身体を沈めて走り出すあたりが、ものすごく天野さんぽい特徴のある動き。
亮介の個性と天野さんの個性が一体化してるなー、と感じる一瞬。

愛の劇場『愛のうた!』「だーかーら走るなって!」という、亮介くんの決めゼリフ(!?)。
何かと手振りがつくのが、亮介くん的。
大きな手帳を手に、という、いかにも“仕事中”なスタイルでの手振りがツボ。

愛の劇場『愛のうた!』“やってないって”への「はァ!?」
“紅司くん、やってないって言ってるの!”を聞いての、思い切りウンザリした顔とため息。
どうせこの後、亜紀に言われるがままに走り回るんだよ…と思うと、おかしくてたまらず。

愛の劇場『愛のうた!』“私、紅司君を信じてもらいたい”という亜紀の言葉を聞いた亮介くん。
すでに真面目な表情になり、心が動いているのを表すように、瞳が揺れ動き。
もう亜紀に同調する兆候が…(早っ!)…と伝わる、鮮やかで生き生きとした表情。
ダメ押しの“信じてもらいたいの!”では、もう思いっきり亜紀に動かされ、決意固めたカオに…
(その表情がまた、ムダに凛々しく!)

愛の劇場『愛のうた!』“だったら、あなたが盗ったのをその目で見たわけじゃないんですね!”と、仕事中の店員を追い回す亜紀の後を、ついて回る亮介くん。
その前の登場シーンのラストは、あんなにきりりと凛々しくシブい表情だったのに、亜紀について回る姿は、かばんを両手で身体の前に持って、腰は引け気味で、ややナサケナイのがGOOD!(笑)
世間体を全く気にしない亜紀のかわりに、人目を気にしてきょろきょろしつつちぢこまっているところが、亜紀と好一対。

愛の劇場『愛のうた!』紅司と同い年ぐらいの子が万引きを教えてくれた、という店員の言葉に、目を伏せぎみにして視線をさまよわせる亮介くん。
渋いといえば渋い表情、でも全体的には挙動不審(笑)。
「亜紀!」と声をかけてコワイ顔でフキゲンに「何!」と問われての「俺、たぶんわかる…」という申し出、なぜそんなに弱弱しく(笑)。
「その子達、多分見た」って、事件の解決に結びつくお手柄なのに!

愛の劇場『愛のうた!』「紅司くんは可哀想な子なんかじゃない」と、ヒーローのように紅司達の前に登場する亜紀の隣に、鞄を両手で前に提げて、おつきっぽく立っている亮介くん。
子供の遊び場、という感じの土のグラウンド、ランドセルをしょった子供達の前に登場する、凸凹コンビな二人と、その二人の長い影…
児童文学のワンシーンのような、なつかしい情緒がそこに。

愛の劇場『愛のうた!』「この子達だ。間違いない」という亮介くん。
低く落ち着いた、大人の声。
…でもそのステータスは、子供相手に大人気ないぐらいのタンカをきってみせる亜紀の“おつき”or“子分”(笑)。
いつもは「走るなよ!」な亮介が、子供達相手にタンカを切り始める亜紀を止める気配がなく、むしろ後押しするように見守っているのは、亮介自身が紅司を陥れた3人組の卑怯さに、相当(亜紀に負けないぐらい)怒っている証?

愛の劇場『愛のうた!』亜紀の“今回は許してあげる”に続く「けど」で、亜紀に視線をやる亮介くん。
ここにも、さらに続く亜紀の言葉が十分予想されても、止め立てする気配はなく。
むしろ、亜紀の言葉に、心地よくはっとする動きが透けて見える、きれいな表情。

愛の劇場『愛のうた!』「今度こんなことしたら、ぶっ飛ばすわよ!」と3人組を撃退、紅司の肩を抱いて笑いかける亜紀を見やる、亮介くんの表情…!
笑みではない表情でちょっと目を伏せぎみにして、そこからつぼみがほころぶように口許、目許に笑みが宿ってきて、そうして笑みを宿しつつ視線は亜紀を、ちょっと眩しそうにみつめて、そして一気に目を閉じてのにっこりの笑顔になって、その笑顔でまた、亜紀をみつめて。
ああ、このひとは、ほんっとぉぉぉぉぉうに亜紀のことが、こういうところが、好きなんだな、大好きなんだな…と、ストレートに伝わってくる表情。
そして、夕暮れの金色の光の中の表情は、とびきりうつくしく。


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Last update :
18th November 2007

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