愛の劇場
愛のうた!
第42話
散り散りの家族
Staff & OA
脚本 ◆ 武田有起 演出 ◆ 田沢幸治その他のスタッフ ◆ 【愛の劇場『愛のうた!』 スタッフ&キャスト詳細データ】へ
放送日時 ◆ 2007年12月25日 13:00〜13:30
◆公式サイト◆
【TBS公式:愛の劇場『愛のうた!』】【TBS公式:番組情報−愛の劇場『愛のうた!』】
◆参考サイト◆
【TBS公式:テレビ番組表−2007年12月25日】【ドリマックス公式:ドラマ−愛の劇場『愛のうた!』】
Cast
黒川亜紀:雛形あきこ黒川 楓:荒井 萌 黒川紅司:泉澤祐希 黒川花梨:三好杏依
木村晃:渋江譲二 蒔田亮介:天野浩成 小峰直也:嶋 大輔
内田 守:新妻大蔵 芸プロ
黒川源三:左右田一平 黒川千歳:大森暁美 ほか
Story
那須での朝食の後、源三(左右田一平)は、席を立とうとしていた亜紀(雛形あきこ)、晃(渋江譲二)、千歳(大森暁美)を呼び止め、座らせる。
窯焚きが成功したところで、これを最後に窯を閉めようと思う、と言い出す源三。急に思い立ったことではなく、亜紀達が那須に来る前から考えていたことだという。
子供達もいなくなった今、亜紀もここにいる必要がない、という源三に、源三と千歳、晃はどうなるのか、と亜紀は問い返す。
自分も高齢になり薬が手放せなくなったので、ここを売って病院通いの楽な黒磯にでも引っ越そうと思う、という源三は、晃には、備前にいる古くからの知り合いの窯場に行ってもらう、お前はスジがいいから、こんな古びた小さな窯場よりそこで修行したほうがいい、と告げる。
そして源三は、亜紀には、実家にでも帰るように、と言い渡す。
本当にここを出て遠い岡山に行くのか、と、作業場で晃に尋ねる亜紀。
しかし晃は、ここに来たときからいつ追い出されてもしかたないと覚悟していた、自分がこうしていられるのは源三のお陰、どういう形であれ出て行けと言われたら従うしかない、という。
亜紀はどうするのか問い返され、自分もこうしていられるのは義父達のおかげなので、出て行けと言われればそうするしかないが…ということに。
晃は、源三がそういうことを言い出したのは、亜紀と晃のためかもしれないと言う。
千歳は、そんな大事な話を一言も相談もないなんて、自分はここを出て行くのは嫌だ、と自分勝手に決めてしまう源三を責める。
ここは何十年も丹精してきた千歳の家でもあり、稲穂の思い出もある、と、源三に逆らおうとする千歳。
しかし源三は、子供達は帰ってこない、子供達は子供達なりに一生懸命考えて決心した、しかし源三達がここに残れば子供達に迷いが生まれる、と言う。子供達だけでなく、晃にも亜紀にも、いい年した大人がわがままを行ってどうする、と、源三は千歳をたしなめる。
喫茶店《三匹の猫》で、黒川家が皆出て行く話を聞いた守(新妻大蔵)と直也(嶋大輔)は驚く。
今からでも考え直して子供達を連れ戻せ、と直也。
亜紀は、子供達に電話をかけることにし、電話の前で、さりげなく様子伺いをする言葉を練習してから、受話器に手を伸ばす。
紅司は公園で、亜紀のことを考えてここにいよう、という楓の言葉を思い返していた。
亜紀が受話器を取ろうとしていると、電話のベルが鳴る。
しかし、亜紀が取る前に、ベルの音は途切れてしまった。
それは、花梨が、那須の家にかけようとしていたのを、楓が止めたのだった。
楓は、もう絶対こんなことしちゃだめ、と、花梨に言い含める。
亜紀が電話をかけようと受話器を取ると、亜紀の携帯に、亮介から電話がかかってくる。
いまどこにいる? と亮介に聞かれ、那須、と亜紀。
レイコが亡くなったと聞いたので、という亮介が、亜紀が那須にいるということは子供達戻ってくるのか? と聞いてくるのに、一瞬答えに詰まる亜紀。
戻ってこないって、という亜紀の答えに驚く亮介に、亜紀はレイコの遺言だったらしい子供達と稔の養子縁組が決まったことを教える。
亮介は、福岡に転勤が決まったことを亜紀に告げる。
向こうに行く前に一度そちらに行く、当分会えないから顔を見ておきたいからさ、という亮介。
亮介まで遠くに行っちゃうのか…と、亜紀は寂しげにつぶやく。
アイロン作業の合間にぼんやりしている千歳は、どうしたのか、と亜紀に声をかけられ、今日初めてお父さんに逆らっちゃった、という。
ここを離れたくない、勝手にそんなこと決めないでと言ってみたが、よく考えてみたら源三の言っていることが正しかった、自分達がいつまでもここにいたら亜紀も晃も安心してここを出て行けない、今までだって二人にお世話になっているのに気がつかなくて、自分達だけで生きているような気になっていて、本当にばかだ、と自分を責める千歳。
今回のことも、もっと早くに覚悟しなければならないことだったのに、ごめんなさいね、と、千歳は亜紀に謝る。
亜紀は稲穂が描いた丘にやってきて、稲穂に語りかける。
義父達はいろいろ考えてくれている、わがままを言ってはダメだよね…と。
作業場で片づけをしている晃に亜紀が声をかけると、晃は、もうすることもないので明日の朝出るという。
晃は、自分のような人間でも、子供達はお兄ちゃんお兄ちゃんと慕ってくれてうれしかった、もう二度と家族などできないと思っていたから、あなたのお陰で子供達だけではなく、源三や千歳とも本当の家族になれたような気がした、ありがとうございました、と亜紀に丁寧に頭を下げる。
亜紀は、私の方こそありがとう、自分はいつも大事なことに気づかなくて、晃に教えてもらってばかりだった、と、晃に感謝する。 紅司の作品をどうしようか、という晃に、亜紀は、晃から渡してほしい、自分も出て行く覚悟は決めたけれど、会うと気持ちが揺らぎそうだから、と、晃に作品を託す。
翌朝、晃は亜紀の知らない間に発っていた。
別れを言うのがつらかったのだろう、と源三。
亜紀は源三に、実家に帰ることに決めた、源三が言うように新しい幸せをみつけるように頑張る、と告げる。
三人だけの朝食がはじまる。
東京に子供達を訪ねた晃は、公園で紅司の作品を渡す。
わざわざこれを届けに? という楓に、源三が窯を閉めたこと、あの家は売り払われ、亜紀ももうすぐ出て行くことを子供達に教える。
晃さんは、と紅司に聞かれ、自分はこれから源三の岡山の知り合いのところに行く、と告げる。
稲穂の墓参りをする亜紀と千歳。
亜紀は、自分がしっかりしていたらこんなことにならなかったかもしれないのに、と、千歳に詫びる。
千歳は、それは違う、源三が言う通り、亜紀達が来なくてもいずれはこういう時期が来るはずだった、ただ亜紀や子供達と過ごした時間があまりにも楽しかったから…という。
こんなことになって稲穂さんに叱られますね、という亜紀の言葉にも、稲穂は許してくれると思う、と千歳。
みんなバラバラになるのが寂しくないと言えば嘘になるが、バラバラになるのが寂しいと思える家族になれた、みんなと過ごした時間は、私達の大切な宝物、といい、千歳は亜紀の手を握り、亜紀さんありがとう、私達のところに来てくれてありがとう、楽しかった、本当にありがとう、と、涙ながらに繰り返し頭を下げて感謝する。
公園で、晃は子供達に別れを告げる。
あそこにいてよかった、お前達にあえてよかった、ありがとな、という晃に、紅司、楓も、晃に礼を言う。
花梨は、行っちゃやだ、なんでいなくなっちゃうの、なんで花梨の好きな人はなんでいなくなっちゃうの、行かないで…と泣き顔に。
ごめんな、と花梨の頭をなで、晃は去っていった。
子供達は、自分達には帰るところがなくなったこと、また三人になってしまったことを感じる。
亜紀が庭の掃除をしていると、車で亮介がやってくる。
見晴らしのいい場所に亜紀と一緒に出て、亮介は、これからどうするのか、と尋ねる。
近いうちに実家に帰ろうと思う、みんなが言うように自分の幸せを考える、ちゃんと考えるんだ、という亜紀の言葉を聞いた亮介は、本当に自分の幸せ考えるんだな、子供達の幸せじゃなくて、自分の幸せ考えるんだな、と確認する。
よし、じゃあ、子供達についた嘘、本当にしよう、と亮介。
俺と一緒に福岡に来い、子供達のことは忘れて、俺のカミさんになれ。
そう言った亮介は、亜紀のほうをを真っ直ぐ見て、改めて申し込む。
結婚しよう。
俺と結婚してくれ。
亮介のプロポーズに、驚く亜紀。
Check! −天野さん亮介くん的みどころ−

その“なんだ”に、亮介の存在の身近さ、特に構えなくていい相手という位置づけが感じられ。
亮介「もしもし俺」亜紀「うん」も、そんな感じ!

サラリーマンぽい姿と動作がツボ!
スーツとかワイシャツとか、働くスタイルが似合う天野さん。

でも、亜紀の沈んだ“戻ってこない”を聞いた「え?」は、“あり得ない!”的響き。
亜紀次第なんだなあ…という感じの亮介。

「当分会えないから、顔見ておきたいからさ」の、しみじみとして感じ。
「じゃ」と電話を切って、思い切るように携帯を閉じて立ち上がる動き。
亜紀のこと、好きなんだなあ、と。

亮介が遠くに行ったら寂しい、という気持ちと、亮介も子供達や晃と同列、という感じが伝わり。
ラストシーンでの亜紀の表情の伏線的?

これまで亜紀と一緒のときは、なんとなく高校生のようなしぐさが多かったので、車というオトナのアイテムは新鮮!
身体が大きく見える白のセーター姿も、ちょっとこれまでと雰囲気が違い。

ちょっと離れて、横並びに立つ、その微妙な距離感。
コートを着ると、なんだか学生っぽく可愛く見える、天野さん亮介くん。

他のみんなは亜紀に「自分の幸せを考えろ」だけれど、亮介は、自分の幸せを考えるか、子供達の幸せを考えるかは、亜紀が決めること、というスタンス。
亜紀が“子供達の幸せを考える”と言っていたら、自分の気持ちはずっと黙っていたのかな…と思うと、ちょっとせつなくも。

亜紀の「えっ?」も、直前の「うん」の沈んだ感じから一転。
ちょっと亭主関白っぽく言ってみた「オレと一緒に福岡に来い」に対する亜紀のリアクションが「は?」なのも、亮介らしく(笑)。

…また来ました、“カミさん”!
『デザイナー』のときも天野さん明くんのセリフで登場したこの古風な言葉、なぜ天野さんに頻出。
天野さん“カミさん”顔?
亜紀の方を見ないでちょっとうつむいて言う、その表情も、照れ屋が多い“カミさん”世代っぽく。

「結婚しよう。俺と、結婚してくれ」
真っ直ぐ!

ここまで驚愕のリアクションがくるプロポーズシーンもなかなかないんじゃあ…
そんな亜紀の顔を見て、口許をまたきゅっと引き結んで、のど仏をごくりと動かす亮介くん、どきどきが表れ!

「オレ、ほんとにあいつにプロポーズした」という、たぶん子供達への言葉は、亜紀の嘘を誠実に子供達に明かしたということ。
公園で子供達に「亜紀、お前達のこと忘れるって」と、ちょっと怒ったような(?)口調で言う亮介くん、“子供だから”という接し方じゃなく、対等で真剣!