神様、何するの…
STORY
あらすじ
|
 |
 |
|
Story
14歳でデビューして以来、グラビア、テレビ、CMなどで活躍し、多くのファンに愛されたアイドル・吉井怜。
そんな彼女を突然、白血病を襲ったのは、今から3年前。
あと一歩でトップアイドルの仲間入りというところの、18歳の夏だった。
このドラマは、天国から地獄に突き落とされながらも、命を賭けて過酷な運命に立ち向かった、一人のアイドルタレントと、彼女を支えた、家族や友人の、真実に基づくドラマである。
吉井怜(宮地真緒)は、オーディションのグランプリは逃したものの、芸能事務所専務・小野木(小野武彦)に見出され、芸能界入りした。
グラビアアイドル、テレビドラマ、CDデビュー…仕事も次々に決まり、順調なスタートを切る。
そんなある日、怜は芸能人仲間が毎夜集まるというクラブに連れて来られていた。
メグ(桜井千寿)は、これであたしたちは何でも言い合える、絶対裏切らない仲間、という。
あたしでいいの、という怜に、怜ちゃんその資格あるもん、と答えるメグ。
そのメグの答えに、怜は、小学生の時、北海道に転校してひどいいじめに遭ったときのことを思い出す。
友達はほしかったけれど、誰かと親しくなって、裏切られるのが怖かった日々。
そこで、乾杯した酒のグラスを手にためらっている怜に気づいて「酒飲んだことないの」と、仲間の一人が声をかけてきた。
その青年・宇名月孝史(天野浩成)は「珍しいね。真面目なんだ」と、怜に言葉をかける。
一杯ぐらいいいじゃん、というメグのすすめに怜が口をつけようとすると、グラスを取り上げられる。
「子供に酒はまずいでしょ」と、代わりに怜にオレンジジュースを渡したのは、黒部マイ(山口紗弥加)だった。
トイレで、メグ達はさっそくマイのことを、悪口を言い始める。
メグ達が去った後、個室から出た怜は、洗面所でマイと一緒になり、さっきのお礼を言う。
ここはやっとみつけた場所、離れたくない、という怜に、メグは、自分のことを大切にしたほうがいい、と忠告する。
その頃の怜は、芸能人でなければ生きている意味はない、自分は神様に選ばれた特別な子なんだ、と、無邪気に信じていた。
18歳になった怜は、仕事もプライベートも、全てが絶好調。
夜のたまり場で、怜はメグに「孝史くんってかっこいいよね」と話す。
少し離れたテーブルでにいる孝史を見やりながらメグは「そう? あたしタイプじゃないなあ」などと、気乗りのしない返事を返す。
かっこいいよぉ、という怜に「なら、早くつきあったほうがいいよ。応援するからさ」と、メグはけしかける。
でも、とためらう怜に「でないととられちゃうよ」とメグ。
ところが、怜がトイレに入りかけると、洗面所でメグがマイに話している声が聞こえてきた。
「最近の怜、調子に乗ってない? マジむかつくんだよね、孝史にまでちょっかい出してさ」
怜はそれだけ頑張ってる、孝史は別にメグの彼氏じゃないじゃん、と、メグの言葉にとりあわないマイだったが、メグがなおも「だけどさ」と言い募ってくると「あの子は、うちらとは違うんだって」と言い残して、その場を去る。
出口のところではちあわせするマイと怜。
気まずい表情ですれ違うマイに、怜は、やっぱりここも小学校のあのときと同じだ、と気持ちを沈ませる。
虚ろな人間関係に、怜は、身も心もすり減らしていくのだった。
そんなとき、怜は、マイが音楽の勉強をしにニューヨークに行くと打ち明けられる。
小さな世界で足のひっぱりあいをして、そのくせ表面だけは仲良さそうにする世界が疲れる、とマイは言い、怜は大丈夫かと気遣う。
怜は自分が与えただけみんなが返してくれると信じてるけど、そんなこと絶対ないからね、とマイ。
それでも、みんなのことを信じたい、と怜。
そんな怜にはかなわない、とマイは笑う。
がんばってお互いの夢を実現させよう、と、二人は笑い合う。
水着でのグラビア撮影で、カメラマンにダメ出しをされて撮影を中断され、自分は大丈夫だから続けてくれと懇願。
マネージャーの、どこか具合悪いの? という言葉にも、自分はプロだから大丈夫、と言い切る。
撮影は続けられたが、怜はついに倒れる。
なおも立ち上がろうとする怜だったが、完全に気を失ってしまう。
奄美大島から飛行機で戻り、救急車で病院に運ばれた怜は、40度も熱がある状態だった。
骨髄の検査をする、という医師にも、注射の痕が残ったら撮影できない、と懇願する怜。
しかし検査は行われ、怜は、急性骨髄性白血病だと診断される。
発病から2〜3ヶ月で死に至るという病気で、非常に危険な状態だった。
芸能界で仕事をすることを生きがいにしている怜の気持ちを考え、両親は、告知をしないという選択をする。
医師は、別の病名で治療をすることにした。
しかし怜は、3ヶ月入院が必要と聞いて、仕事があるからそんなに入院できない、退院して死んでもかまわない、病気ぐらいで仕事を休めない、と訴える。
タレントでなければ生きている意味はない、撮影に行かないとみんなに迷惑をかけてしまう、そんなに休んだら仕事に戻れない、もう終わりだよあたし、と泣く怜。
そんな怜に、医師(佐野史郎)は、この治療には、髪が抜けたり、ひどい吐き気があったり、眼底出血による失明の危険もあったりという副作用があると、さらに過酷な事実を告げる。
夜のベッドで自分の髪に触れ、泣く怜。
洗面所では、怜の母親(田中好子)が、怜が助かるまでもう絶対泣かないという決意を固めていた。
見舞いに来た小野木専務は、チャンスはいくらでもある、お前をクビにしたら全国3000万の吉井怜ファンに怒られる、お前がいやだといっても離さない、と怜に笑顔を向け、病室を出てからしきりに涙して帰っていった。
そして怜は、無菌室治療に移る。
外界と遮断されるその治療は、患者にとって非常に精神的につらいものだった。
一人ぼっちになった怜は、髪が抜ける副作用を目の当たりにして愕然とする。
毎日見舞いにくる母にも冷たくあたってしまう怜。
髪が抜けた裸の自分を、皆が取り囲んで見て笑っている悪夢にうなされる。
無菌室と抗ガン剤の作用で精神的に不安定になった怜。
兄がかつらを差し入れてくれたときには冗談を言い合ったりしていたが、陰ながらお百度を踏んだりしている母が見舞ってくれるときには、ちょっとしたことで苛立ち、当り散らしてしまう。
「私は、神様にいらないって言われちゃったんだよ」と叫んだ怜は、続けて「お願い、助けて…これ以上いやな子になりたくないよ…」と訴えて泣く。
怜の治療が一段落し、第二段階へのスタートに立てるようになる。
退院後の治療として、医師は、再発の可能性の少ない骨髄移植が適しているという。
親子で骨髄の型が合う確率は1万分の1というが、母親はその可能性に賭けようとする。
治療の見通しが立ったことを機に、入院から1ヶ月を経た時点で、告知を受ける。
もう少しすれば治る、芸能界に復帰できる、と喜ぶ怜だったが、ニュースで同じ病気を患った格闘技選手の訃報や、自分が出演するはずだったドラマに別のアイドルが出演している映像を見て、また不安や苛立ちを募らせる。
注射針を突き立てられ、点滴の痕がつき、髪も抜け落ちた身体で、芸能界に戻れるはずはないと涙する怜。
そんな怜に、芸能人仲間からのメッセージが届けられる。
その中の「俺も頑張ってやってるから怜も頑張れよな。怜は特別な子なんだからさ。」という孝史からのメッセージに、孝史と一緒にカラオケをした思い出をよみがえらせながら、怜はうれしそうに笑顔を浮かべる。
そのとき、マイが怜を見舞いにやって来た。
こんなことになっちゃってごめんね、という怜に、何あやまってんの、私は怜のお姉さんなんだよ、というマイ。
メグたちはどうしてるかな、という怜に、もうあの店には行ってないからわからないけど、適当に仕事して、適当に遊んで恋して? 適当にやってんじゃん? と答えるマイ。
そしてマイから、孝史とメグがつきあっているという噂だと聞かされる。
落胆の表情を浮かべる怜に、マイは「もしかして怜、孝史のこと…」と、怜の密かな孝史への思慕に気づく。
こんなあたしじゃ、しょうがないよね、という怜に、マイは、自分もスキンヘッドにしようと思っている、白血病のことを調べていたら、白血病の治療で髪が抜けてしまった人を応援する意味で友達みんなで髪の毛をそったという話を知ったから、というマイに、マイだけには変わらないでいてほしいからやめて、と懇願する怜。
ごめんね、と、マイも涙する。
その夜、怜は、メグともう一人の女友達にはさまれて夜の街を歩く孝史、メグとカラオケをする孝史の姿を思い浮かべる。
テレビの仕事決まったよ、でも深夜だから怜見れないよね、というメグの言葉が浮かぶ。
思わず、怜は病室に飾っていたメグとの写真を伏せてしまう。
奇跡的に、母親と怜の骨髄の型は一致。
無菌室治療から解放された怜に、骨髄移植ができることが告げられる。
しかし、そのためにはまた無菌室治療が必要と知ると、もう無菌室はいや、退院したらすぐに仕事に復帰したいから維持療法がいい、もうすぐ退院だからしばらく病気のことは忘れさせて、と怜は叫ぶ。
退院後も、白血病がガンの一種と知って、母親がなぜあんなに必死だったのか気づく怜。
白血病になる前は死ぬことが怖くなかった怜だったが、白血病がガンと知って初めて怖いと感じ、白血病と向き合おうと思い、生きることと死ぬことを真剣に考え始めたのだった。
たくさんの書き込みがされ、涙の跡がにじむ白血病の本を見て、怜は改めて母の思いを知る。
そろそろ怜の復帰を考えたいという小野木。
骨髄移植を終え、完治してからにしてほしい、と反対する母。
そんな母親に、まだ怜が芸能活動をしていることをアピールすることも必要、というが、怜が芸能界に復帰できなくてもいい、もし無理をして再発したらどうするのかという母。
そんな母に怜は、仕事に戻りたい、お母さんの気持ちはすごくうれしいけれど、自分の生き甲斐は白血病を完治させることではなく、芸能界に復帰すること、このままじゃ私、ホントに死んじゃうよ…ほんのちょっとでも可能性があるなら、芸能界に復帰したい、自分なりに一生懸命考えて決めた、と、怜は訴える。
私の命なんだから、私に好きにさせて、と。
芸能人仲間が集まるあの店では、芸能人仲間達が「吉井怜って死んだらしいよ」「マジで?」「白血病だって」と噂していた。
「まだ死んでないよ、やだなあ」と否定するメグ。
軽いノリで噂しあう仲間達に、孝史は「死んだも同然だろ。芸能人じゃなくなっちゃったんだからさ」と、苦い表情でつぶやく。
そんな彼らの話を、マイと一緒に店にやってきていた怜は聞いてしまった。
気まずい表情を浮かべる彼らに向かって、怜は明るさを装って「久しぶり! 私まだ生きてまーす!」と言ってのける。
一緒に踊りながら、こんなとこわざわざ戻ってくることなかったのに、バカだよねー怜は、というマイと、怜は笑い合う。
家に帰ると、家族が怜の19歳の誕生日を祝う支度をして待っていた。
命を助けるのが親、という母親と、芸能界は怜の夢、夢は死んでもいいぐらい大事なもの、という父親の言い争い。
二人がケンカしてどうするんだよ、決めるのは怜、移植を受けるのも受けないのも怜、助かるのも…死んじゃうのも…オレ達にできるのは、怜を信じて応援することだけだ、という兄。
物陰でそのやりとりを聞いて、怜は、家族それぞれの自分への思いを知る。
骨髄移植の決心がつかない怜に、納得できるまで考えればいいという主治医は、移植専門の医師を尋ねるといいと薦める。
そこで、骨髄移植の完治率は70%、それに対し維持療法での完治率は30%、再発後の移植の成功率は10%に激減すると聞かされる。
髪の毛が抜ける、肌が黒ずむ、不妊になるという、移植前に行う放射線治療の副作用を聞かされ、怜は思い悩む。
そんなとき、怜は病院を訪れた折、昨年無菌室で一緒だった白血病患者・青木順子と話をする。
悩んで決めた結論なら、どんな運命でも受け入れることができるのでは、という順子。
もし順子さんが私だったらどうしますか、という問いに順子は、答えを言わなかった。
怜はさらに、順子にすすめられた移植専門医を訪れ、怜の反応をうかがいながら話し合ってくれる医師の説明を受け、再発してからの移植でも成功率がさほど変わらない場合があると告げられる。
ここから先は、あなたの生き方、という医師の言葉に、怜は考え込む。
病院の帰りに結婚式を見かけて、移植を受けて、不妊になっても自分を選んでくれる人はいるだろうか、芸能界に復帰できず、いつまで生きていられるかわからないなら、自分が生きた証である子供がほしい、でも自分なんかが母親でその子供は幸せなのか…と、思い悩む怜。
怜は主治医を尋ねる際に、怜は順子からの手紙を受け取る。
そこには、夢のために命を賭けようとする怜に勇気をもらった、今の気持ちは「生きたい」ということ、生きてさえいればあなたに会える、あなたが元気になった姿をテレビで観られる、私達は十分苦しみ、その苦しみと誠実に向き合った、私があなただったら、1%でも生きる確率が高い方を選ぶ、お互い、頑張って生き残ろう、と綴られていた。
主治医は、順子はここにいない、としか怜に告げなかったが、そのとき、順子のベッドは、順子の愛読書などがそこに残されたまま、片付けられていた…。
浴衣で観覧車に乗り、お祭りを歩く怜とマイ。
メジャーデビューが決まり、怜に触発されて、バンドの名前を“changing my life”にしたというマイ。
生きている楽しさを実感する怜。
傘をもって駅まで迎えに来た母に、おんぶをせがんだ怜は、すごく生きたくなった、タレントじゃなくなっても、子供が産めなくても、生きていればいいことあるよね、といって、骨髄移植を受ける決意を告げる。
退院から半年悩んだ末、怜は移植を受けるために再入院した。
最初の入院のときとは比べものにならないほどすさまじい副作用のある抗ガン剤治療と放射線治療。
しかし、家族の愛に包まれ、怜は手術までの日を過ごしていく。
移植の前夜、怜は、産んであげることができなかった自分の子供への手紙を書く。
明日母から二度目の命を授かる、その命には、母と、私と、あなたの命が含まれている気がする。
自分は一人じゃない、母と、あなたから力をもらったんだから、こんな強い力はない。
こんな私を助けてくれてありがとう、もしもこの先逃げ出したくなっても、つらいことがあっても、負けないから。
私の身体の中れ、私の心の中で、あなたは永遠に生きているから、一緒に生きているから、だから力を下さい、弱い私にあなたの力を下さい。
愛してるよ、ずっと、ずっと愛してる、ありがとう、と。
骨髄移植は成功し、怜は元気になり、家族で旅行に行く。
私、呼吸している、と実感する怜。
2003年7月、骨髄移植を受けてから2年目の定期検査では、白血病の再発は認められなかった。
この検査で異常がない場合、再発の確率は5%以下。
さらに3年異常がなければ、完治と考えてよいとされている。
そして怜は、タレントに復帰し、「おはようございまーす!」と光あふれる現場に向かっていった。
|
 |
|
Check Point!
−天野さん孝史くんみどころ−
■ 最初のカットでは、しゃべっている怜とマイをはさんで、反対側の女性とグラスを動かしつつ会話しているしぐさ。
かなりCOOL系!
■ 怜に「酒飲んだことないの」と声をかける孝史くん。
ささやくような声が、なんともアンニュイで、“芸能人同士の虚ろな人間関係”な雰囲気を漂わせつつも、チャラチャラした他の仲間とはちょっと違う、という雰囲気が出ていて絶妙。
「珍しいね。真面目なんだ」も、非難したりからかったりというニュアンスのない、落ち着いた口調と表情。
■ 怜が「孝史くんってかっこいいよね」と言ったときに映される、女性と2ショットの孝史くん。
カウンターに頬杖をついたしぐさから、その手を下ろして女性に向かい合うクールな表情、確かにかっこいい!
■ 髪が抜けた自分を皆が笑っている…という怜の悪夢に登場する、怜を取り囲んで笑う人々(ぼんやりと半分透けるような合成のされ方)の中に、メグと並んで立つ白いTシャツの孝史くんも。
薄いのでよく表情までは見えないものの、笑ってはいない?
■ “俺も頑張ってやってるから、怜も頑張れよな。怜は特別な子なんだからさ。”というメッセージの映像(白いA4サイズぐらいの紙に黒マジックの大きな文字で書かれたメッセージは、音声で読まれたものより長く“…できていないけどみんなすごく怜のこと思ってるよ。/俺も頑張ってやってるから、怜も頑張れよな。/怜は特別な子なんだからさ。/孝史”)に合わせて、それを読み上げる孝史くんの声。
クールでアンニュイなセリフとはちょっと違って、ちょっとあどけなさもある口調。
■ 孝史のこの“怜は特別な子なんだからさ。”は、冒頭近くに出てくる怜の“芸能人でなければ生きている意味はない、自分は神様に選ばれた特別な子なんだ、と、無邪気に信じていた。”という言葉と、見事に響き合うフレーズ。 退院後の怜と再会するシーンでのセリフと考え合わせると、深い意味が…
■ 怜の肩を抱いて、カラオケデュエットする孝史くん。
怜と顔を見合わせるときは、ちょっと微笑んでいるような。
画面の歌詞を見ているのか、ちょっと上向きの視線の表情が新鮮できれい。
■ 孝史くんがメグとつきあっているという噂を聞いて、ショックを受ける怜ちゃん。
怜ちゃんは別に孝史くんの彼女だったわけではなく、親友のマイでさえも怜が孝史くんが好きだった驚いているぐらいなので、孝史くんには道義的責任はなく(笑)、怜ちゃんに好きでいてもらって光栄! ということだけありがたく感じられる、いいシチュエーション。
■ 孝史くんがメグとつきあっているという噂を聞いた夜、怜が思い浮かべる、メグともう一人の女友達にはさまれて、夜の街を歩く孝史くん。
自分の頭よりも高いところで、高さを示すように手を水平に動かしたりしている孝史くん、すごく自然な感じなだけに、何を話しているのか気になります!
■ さらに、メグとカラオケデュエットな孝史くん。
怜とのときには肩(二の腕)に手を置いたいたのに対し、メグのときはメグの首の後ろのあたりで、メグの髪をいじるようなしぐさ。
目を伏せるようにして歌う表情、メグのほうを向いたときの笑顔のない表情もCOOL。
■ 怜が退院した頃、芸能人仲間のたまり場のクラブで、“吉井怜って死んだらしいよ”という噂ばなしがされるシーン。
このとき、天野さん孝史くんの向かって左隣(右隣はメグ)に座って、“吉井怜って死んだらしいよ”(男声)に応えて「マジで!?」と言っているのが、後に【義経と弁慶】で共演、関連イベントのときは、なんでここまで! と思うほど、天然な天野さんの面倒を見てくれた林剛史さん!
ドラマの映像にしてみると、こんな一瞬の共演がきっかけで、(おうちが近かった、という事情はあるにせよ)お互いに『仮面ライダー剣』『特捜戦隊デカレンジャー』が決まったときには一緒に飲んだり、『義経と弁慶』のときのあの仲良しっぷりだったりというお友達になってしまう、というのは、すごい…と。
■ 無責任な噂をする仲間達、メグの甘えたような「まだ死んでないよ、やだなあ」という言葉に、少し苛立ったように「死んだも同然だろ」と言い放つ孝史くん。
それまでの軽いノリを制するに十分な迫力のセリフ、“ろ”がちょっと巻き舌(笑)。
■ 続く「芸能人じゃなくなったんだからさ」のセリフ。
“芸能人でなくなったら、死んだも同然”というのは、白血病にかかった頃の怜の気持ちそのもの。
孝史が無菌室治療中の怜に送ったメッセージ“怜は特別な子なんだからさ。”が、病気になる前の怜の“自分は神様に選ばれた特別な子なんだ、と、無邪気に信じていた”と響き合うこととあいまって、“孝史”というキャラクターは、病気になる前の怜の考え方の象徴のようなキャラクターなのだと、示すセリフ。
そしてそれは、孝史くん自身の“芸能人じゃなくなったら、生きている意味がない”という、確かなものが何もない芸能界で生きようとする覚悟を示すセリフとしても、味わい深く。
■ 自分の言葉を怜に聞かれたときの、怜をみつめてから目をふせる、気まずい表情。
踊ろう、と怜がホールの方に向かい、遠景になってから、天を仰ぐ動作が、ぐっときます。
|
|
Last update :
9th April 2006
|