愛の劇場
愛のうた!
第30話
心を癒す結婚式
Staff & OA
脚本 ◆ 山浦雅大 演出 ◆ 山崎統司その他のスタッフ ◆ 【愛の劇場『愛のうた!』 スタッフ&キャスト詳細データ】へ
放送日時 ◆ 2007年12月7日 13:00〜13:30
◆公式サイト◆
【TBS公式:愛の劇場『愛のうた!』】【TBS公式:番組情報−愛の劇場『愛のうた!』】
◆参考サイト◆
【TBS公式:テレビ番組表−2007年12月7日】【ドリマックス公式:ドラマ−愛の劇場『愛のうた!』】
Cast
黒川亜紀:雛形あきこ黒川 楓:荒井 萌 黒川紅司:泉澤祐希 黒川花梨:三好杏依
木村晃:渋江譲二 蒔田亮介:天野浩成
内田麻里:橘 実里 内田守:新妻大蔵
三上里香:阪田瑞穂 小峰 舞:金澤美穂 小峰直也:嶋 大輔
琢磨:堀越光貴 幸治:高橋征也 勝:小倉史也
田村義晃[喫茶店の客] 芸プロ テアトルアカデミー
黒川源三:左右田一平 黒川千歳:大森暁美 ほか
(※クレジットなし:加藤仁志[里香の結婚相手] 御本人ブログ【−The middle of a journey−:2007年11月16日_オードブル】より)
Story
これ以上黒川家に迷惑はかけられない、と晃(渋江譲二)が出ていった。すぐに亜紀は飛び出し、自転車で探し回るが、みつからない。
朝食の席では、花梨(三好杏依)が、晃は帰ってこないのか、どうして出ていったのかと問いかけるが、誰も答えられない。
出て行ったものはしょうがないでしょ、黙ってごはんを食べなさい、と楓(荒井萌)。
内田牧場で晃が出て行ったことを守(新妻大蔵)、麻里(橘 実里)に話し、晃は悪くないのに絶対おかしい、と憤りをみせる。
しかし、帰ってきてほしい、という亜紀に麻里は、戻ってきてもまた陰でこそこそ言われるのだから、このままのほうがいい、という。
そうかもしれないが、このままお別れなんていやだ、と亜紀。
千歳は源三に、晃の昔のことを全部知っていたのなら、少しは自分にも話しておいてほしかった、そうすればもしかするとこんなことにならなかったかもしれないし、という。
そして、何も答えない源三に、すいません愚痴っぽくなっちゃって、と言って立ち去る。
喫茶店《三匹の猫》では、馴染みの客が亜紀に、晃が出て行ってよかったね、などと言う。
ああいうちょっと怪しい人は…というその客に、晃さんはそんな人じゃない、わけも知らないで勝手なこと言わないで、とくってかかってしまう。
紅司(泉澤祐希)は授業中、晃のことを思い出してしまう。
東京に行くとき、亜紀がつくろったシャツを持たせてくれたこと、源三の壷を壊してしまったとき、かばってくれたこと…
アルバイト中の楓も、晃のことを考える。
源三に燃やされそうになった稲穂の絵や絵の具箱を、火の中から救い出してくれた晃、慶太に告白する勇気をくれた晃…
子供部屋で紅司は楓に、晃に悪いことをしてしまったと打ち明ける。
晃から逃げるようなそぶりを見せてしまった、ちゃんとあやまりたい、と。
庭では花梨が、縄跳びの練習をしていた。
帰宅した亜紀に、教えるのがとても上手だった晃兄ちゃんに教えてほしい、晃兄ちゃん帰ってくるよね…と訴えかける。
晃はどこに行ってしまったのか、稲穂さん私どうしたらいいんだろう…と悩んでいた亜紀に、晃の妹・里香(阪田瑞穂)の、今度結婚する、なんとしても兄に出席してほしい、という言葉が浮かぶ。
亜紀は里香に電話し、結婚式の場所を教えてほしいと頼む。
本当に晃兄ちゃん帰ってくるの? という花梨に、ママ母が絶対連れて帰ってくる、と請合う。
晃が本当に来るかどうかわからないのに、そんな約束をして大丈夫か、と心配する紅司に、亜紀は、絶対来る、平気、もし来なかったとしても、自分が日本中の探偵を雇って探してもらう、と断言する。
自分もこのまま晃とお別れなんていやだから、お願い、と頼む紅司。
紅司に亜紀は、声を小さくして、ホントは私も不安なの、でも、帰ってくる、って言ってたほうが、ホントにそうなる気がしない? だかれ平気、絶対平気、と。
そんな亜紀を紅司は、頼もしいと思う。
里香の結婚式場に、亜紀は亮介(天野浩成)と共に訪れる。
ごめんね、せっかくの休みなのに、とすまながる亜紀に、他ならぬお前の頼みだからいい、という亮介は、今日会えなかったら二度と会えなくなっちゃうような気がして…と、晃のことに真剣になる亜紀を見て、複雑な表情に。
なんでそんなに熱心なのか、晃はいわば居候の身で、亜紀が首を突っ込むことはないのでは、という亮介に、晃は家族のような人だから、そんな大切な人を放っておくわけにはいかない、という。
お前らしいといえばお前らしいけど…と、さらに複雑な表情の亮介は、今日来ないかもしれないんだろ、というが、亜紀は、きっと来る、そういう人だから、と断言する。
皆の祝福を受けながら式場を出てくる、ウェディングドレス姿の里香を見て、きれい…晃さんに見せたいんだろうな、と亜紀。
そんな亜紀を、複雑な表情の亮介は、そっとみつめる。
そのとき、亮介は、少し離れたところから花嫁をみつめる若い男に気づき、あの人違う? と亜紀に教える。
それは、陰ながら里香の晴れ姿を見に来ていた、晃だった。
亜紀は晃に声をかけ、里香に会ってあげて、と頼む。
ずっと晃のことを探してたんだよ、今日が一番幸せな日なんだよ…と。
答えずにその場を立ち去ろうとする晃に、亜紀は、いつまでそうして逃げているつもりなのか、里香のときも、黒川家のときも、迷惑をかけるからといって結局逃げているだけではないか、そんなのは卑怯、残された人の気持ちを考えないでで全部自分のことだけ、と、晃に叫ぶ。
これから先もずっとそんなこと繰り返していく気、妹さんのことを本当に思うなら会ってあげてよ、と。
亜紀の後ろに控えていた亮介も、晃がそうして逃げていると、妹さんは苦しみ続けるんだぞ! と晃を一喝、何が彼女のためなのか考えてやれよ、と、訴えかける。
それを聞いた晃は、振り返り、再び祝福の輪の中にいる里香をみつめ、考える。
ブーケと投げた里香は、里香に会おうと近づいていた晃に気づく。
晃は里香の前に進み出、今までのことを詫び、結婚を祝福する。
そして里香の夫となった人に、妹のことをどうかよろしくお願いします、たった一人の俺の妹ですから、と、深々と頭を下げる。
それを見た亮介は、よかったな、と亜紀に。
うなずいて、亜紀は微笑む。
亜紀と一緒に那須に帰ってきた晃だったが、自分にはあの家に帰る資格はないのでは…と言い出す。
亜紀は、家に帰るのに資格なんていらないと思うけど、と、晃をうながす。
家に帰ると、庭で縄跳びの練習をしていた花梨が駆け寄ってきて、ずっと晃の帰りを待っていた、お帰りなさい、また縄跳び教えてね、と晃に抱きついて迎える。
家に入ると、紅司が、晃のことを怖いと思ってしまったことを謝る。
源三が入ってくると晃は、涙ながらに、どうもすみませんでした、と頭を下げる。
そんな晃の頬を打ち、源三は、馬鹿野郎、忘れたのか、お前の面倒を見ると決めたとき言ったろう、人はやり直せると、と怒鳴る。お前は十分償ったんだ、逃げる必要はない、もういいんだ…と。
そんな源三に、晃は膝をついて、すみませんでした、すみませんでした…と繰り返す。
源三は、明日から大変だぞ、お前がいないから、作業がずいぶん滞ってる、わかったな、という。
ありがとうございます、ありがとうございます…と号泣する晃。
家族の皆が、晃の帰りを歓迎していた。
家族の中に空いた穴が、埋まったのだった。
そして源三の目には、少しだけ、涙があった。
Check! −天野さん亮介的みどころ−

【第8話】の“独身男がたまに休みあったって、何もないの知ってるだろ”と比べて、今回は“亜紀大好き”アピールが直接的!
冒頭からかなり焦りが見られる、わかりやすくてカワイイ亮介くん。

フクザツな心境が、ガラスケースに入っているように、透けて見えるどころではない表情!
そこから目をあげて、亜紀を一瞬見る目が、ものすごく印象的!

いきなりすねたコドモみたいな表情に!
「だって晃さんって、言っちゃえばただの居候だろ。別にお前が首突っ込むこと、ないと思うんだけど…」と、いきなり【第29話】では感情移入していた晃さんのことを悪ぶって突き放した言い方をしてみたり、言葉でも思い切りすねたコドモに!
(…のわりには“ないと思うだけど…”の語尾が微妙にヨワヨワになってくるあたりが、天野さん亮介くんの味。)

「まあ、ね…お前らしいっちゃお前らしいけど」と、ため息混じりに言う亮介くん。
さらに視線をそらして「けど、今日、来ないかもしれないんだろ」と、すねたコドモ加速! というか、来てほしくなさそうな!(笑)

もうホントに泣きそうに口をこころもちへの字にとがらせてから、うつむきながら無理に作る笑顔。
でもその笑顔を亜紀に見せないまま教会の方を向いちゃったのは、思うように笑顔ができなかったせい?

どうしてそこまで! というほど、しおれた表情でうつむいてしまって、見てるほうが泣きたくなりそう(笑)!
それから、亜紀のことを、ちょっと悲しげな、大事そぉーうにそっとみつめる動き、いいなあと。

「おい、あの人違う?」と亜紀に教えるという、警視総監賞級の働き!
亜紀にとってものすごくお役立ちという、亮介の属性がまた、いかんなく発揮され!

“あんたがそうやって逃げるのはいいけどさあ”の軽さとのギャップ、亜紀よりも激しい口調、亮介にもこんな感情のほとばしりが!…など、さまざま入り混じって、“妹さんは苦しみ続けるんだぞ!”の迫力は驚愕モノ!
紅司を陥れた小学生を相手に亜紀がタンカを切った【第12話】ではずっと亜紀の後ろに控えていた亮介くん、その激しさの源は、仕事柄犯罪者の家族の苦境を聞いて感じていた心の痛みか、妹の前から姿を消した晃への“わかる”という感情移入か、晃を大切に思う亜紀へのフクザツな気持ちか…

高校時代の友達の家の居候、という、亜紀以上に“首突っ込むこと、ないと思うんだけど…”な相手への、真剣な、真剣な。
先の亮介の一喝で晃さんが振り返り、そしてこの言葉で再び、じっと里香のほうをみつめて考え出す、という最高殊勲賞的働きがうれしく。
(晃さんが考えていたのは“お前誰だよ”かもしれないにせよ…)

また、ちょっと泣きそうな表情から、うつむいて頑張って作った笑顔。
“来るよ、きっと来る、晃さんそういう人だもん”が実現して再び浮かべられたその表情の意味、考えるとさまざまに想像できて、複雑!
でも、いずれにせよ、いい表情。たぶん“亮介”を端的に表している、いい表情。

静かな、微かに湿りを帯びた、若さ青さの感じられる声。
最初はあんなに晃に関してすねたコドモ状態だったのが、この穏やかな“よかったな”にたどりつく、そのあたりが亮介らしいんだろうな…と思える一言。