プロデューサー ◆ 松田佐栄子(テレビ朝日) 日笠 淳 武部直美 宇都宮孝明(東映) その他のスタッフ ◆ Data Pageへ 放送日 ◆ 2004年5月30日 ※仮サブタイトル「残酷な解放者」(後編)
広瀬 栞:江川有未 白井虎太郎:竹財輝之助 上城睦月:北条隆博 橘 朔也:天野浩成 山中望美:宮澤亜理沙 栗原天音:梶原ひかり 上城弥生:栗田よう子 上城隆一:田崎正太郎 仮面ライダーブレイド:高岩成二 仮面ライダーカリス:伊藤 慎 仮面ライダーギャレン:押川善文 仮面ライダーレンゲル:岡元次郎 渡辺 淳 永瀬尚希 永 徳(ジャパンアクションエンタープライズ) レンゲルの声:梁田清之 ボアアンデッドの声:福山弘幸 ローカストアンデッドの声:塩野勝美 ディアーアンデッドの声 ジャガーアンデッドの声:大村 亨 ナレーション:小杉十郎太 桐生 豪:増沢 望 栗原遙香:山口香緒里
桐生はレンゲルに変身。アンデッドを操り、ブレイドとカリスに襲いかかり、ブレイドとカリスは苦境に追い込まれる。 レンゲルはカリスの顔面を強打し痛めつけながら、人間に魂を売り、腑抜けになったようだな、とカリスを嘲笑する。 橘(Cast:天野浩成さん)はそんな桐生にやめてくれと叫ぶが、レンゲルは桐生の声で「ならばお前が戦え!橘。ギャレンとして、お前がな」と返し、グリンクローバーで走り去る。 川のほとりで桐生は、レンゲルの変身を解く。 レンゲルのベルトをみつめ「ついに俺は手に入れた。最高の力を。最強の仮面ライダーだ」と酔いしれる。 レンゲルのベルトを桐生に奪われ、その恐ろしさを知った睦月(Gast:北条隆博さん)は、改めて剣崎(Cast:椿隆之さん)から、レンゲルのベルトを使いこなすのは無理だと告げられ、肩を落とす。 とぼとぼと白井家を去ろうとする睦月の携帯に、望美(Cast:宮澤亜理沙さん)から、どこにいるのか、と電話が入る。 白井家の門の前にうずくまって涙にくれる睦月を、望美は自転車で迎えにきて「行こう、睦月」と、自分の自転車の後ろに乗るよううながす。 レンゲルのベルトが桐生の手に渡ったことを橘から聞かされた栞(Cast:江川有美さん)は、とても意思の強い桐生なら、レンゲルのベルトを使いこなせるかもしれない、と言うが、橘は「無駄だ。君の知っている桐生さんは、もういない」と否定する。 剣崎は橘に頭を下げ、桐生に会ってほしい、桐生を救えるのは橘しかいないと思う、と頼む。 レンゲルの攻撃で傷ついた始(Cast:森本亮治さん)がハカランダに帰ってきた。 倒れた始を看病する遥香(Cast:山口香緒里さん)と天音(Cast:梶原ひかりさん)だったが、「人間に魂を売った」というレンゲルの言葉に傷ついた始は、無意識のまま天音に鋭い眼を向ける。 やはり始は危険なアンデッドだと警戒する虎太郎(Cast:竹財輝之助さん)に対し、剣崎は「始は天音ちゃんには手を出さない、俺は信じてる」と反論する。 睦月はバスケットの試合でも失敗ばかり。 そんな睦月を見て、望美はため息をついてみせつつも顔をほころばせ「よし、かわいいぞ、やっぱ睦月はああでなくちゃ」と声援を送る。 その帰り道に立ち寄った神社で望美は、睦月がすっかり元に戻ってよかった、と睦月にも言う。 しかし睦月は望美の言葉も耳に入らず、スパイダーの力に魅入られたように“レンゲル”とつぶやき続ける。 橘は一人、桐生と会いに行くと、桐生は「俺と戦う気になったのか」などと言う。 なぜ自分が桐生と戦わなければならないのか、と、レンゲルのベルトを返すよう頼む橘に、桐生は「やっと手に入れた力だ。今の俺に悩みはない。俺の意思とベルトの意思は完全に一つだ」と断言し、あなたの正義はどうなったのかと問う橘に、正義なんてただの言い訳にすぎない、ただ、力がふるいたかっただけなんだ、とうそぶく。 そんなことは聞きたくない、と叫ぶ橘に、桐生は、ならばギャレンとして戦え、と告げる。 桐生とのやりとりの後、沈む橘に剣崎は、桐生はベルトの力に取り込まれているのではないか、と言う。 そして、桐生の本当の心の声、橘に助けてほしいという声が聞こえたような気がする、と。 その剣崎んな剣崎に、橘は背を向け「よせ。何ができる。…何ができる」とつぶやく。 レンゲルのベルトに再び執着し始めた睦月は、白井家からギャレンのベルトを盗み出す。 栞から連絡を受けた橘と剣崎に追い詰められ、橘に「それは君には使えない」と告げられても、睦月はギャレンのベルトを返そうとせず、線路を越えて逃げ去ってしまう。 ギャレンのベルトを持った睦月は、レンゲルに変身した桐生のもとへとやってきた。 ギャレンのベルトと交換にレンゲルのベルトを返して欲しいと懇願する睦月を、桐生は「無駄だ。ギャレンのベルトを持つ資格のある者は、この世でたった一人。それは、俺ではない」と退ける。 そこに、剣崎と橘が駆けつける。 剣崎はブレイドに変身し、橘に向かって「戦って下さい!」と繰り返し叫びながらレンゲルに立ち向かうが、やはりレンゲルの圧倒的なパワーに為す術がない。 「できるのか、俺に。…今の俺に」 自問自答する橘に、桐生の心の声が響いてくる。 “さあ来い、橘。” 事故で右腕を失った直後、桐生が橘に言った言葉がよみがえる。 “頼む。俺の代わりに戦ってくれ、ギャレンとして。…お前ならできる。” レンゲルの姿で戦う桐生の姿を見る橘に、そのときの言葉ともつかず、今の桐生の心の声ともつかず、その言葉は響く。 “お前ならできる。” 橘は意を決したように、アンデッド達の攻撃をかわしながらギャレンのベルトを掴み、ついにギャレンに変身する。 レンゲルは桐生の声で、橘を迎える。 「待ってたぞ、ギャレン」。 迷いを振り払ったギャレンは、レンゲルと激しい肉弾戦を交えた後、ギャレンラウザーの銃撃でレンゲルのリモート攻撃を封じつつ、バーニングディバイドでレンゲルを撃破。 レンゲルは反撃もままならないまま、戦いの場となった線路から、車両庫へと逃れる。 傷ついたレンゲルは変身を解除、桐生へと戻る。 地面に落ちたレンゲルのベルトを、睦月が拾い上げた。 「変身」 現れたレンゲルは4体のアンデッドに桐生を襲うように指示して立ち去っていく。 桐生の悲鳴を聞き、ブレイドとギャレンが駆けつける。 アンデッドに襲われ傷ついた桐生を気遣い、何度も振り返りながら、ギャレンは桐生の見守る中、銃撃でアンデッド達を圧倒。 その間にブレイドは3体のアンデッドを次々と封印。最後に残ったボアアンデッドも封印する。 アンデッドに襲われ倒れた桐生は、瀕死の状態で、駆け寄ってきた橘の、泣きそうに歪んだ顔を見て笑う。 「なんてツラしてるんだ…情けねぇ」 その言葉に、ますます顔を歪ませる橘に、桐生は告げる。 「俺はな、昔からお前に言いたいことがあった。 もっと馬鹿になれ。 真面目すぎるんだよお前は。つまらねえ奴だ」 涙する橘に、自分自身に言い聞かせるように、桐生は続ける。 「これでよかったんだ…」 地面に突かれた橘の手に、桐生は自身の右手を重ねる。 「結局、お前には勝てなかったってことさ…… なりたかったよ……おれも……仮面ライダーに……ライダーに……」 涙する橘の目の前で桐生は静かに息を引き取った。 橘は、桐生の右手を取り、そのうえに頭を垂れた。 「桐生さん…」 その光景に背を向け、レンゲルは睦月の姿へと変わり、無言で立ち去っていった。
![]() 素直な、ほんのちょっとだけ泣きたそうな“信じられない”という表情がきれい。 ![]() 怒鳴るときの橘さんはコドモ仕様が定番でしたが、ここは比較的大人モード。 ![]() 引き結んだ口許がちょっととがってる感じもして、やや幼い表情に(そしてやっぱり、微泣きそう)。 去るグリンクローバーに追いすがるように道に出てきたときの、口許が僅かにひらかれた表情も、置いていかれた子供のような。 ![]() 桐生さんに向けていたあのあどけない表情はいったい…と思ってしまうほど、オトナの渋い声、少し目を細めた渋い表情。 少し目を伏せがちにしての「君の知っている桐生さんは、もういない」も、大人の憂い顔。 ![]() 「俺、思うんです。桐生さんを救えるのは、橘さんしかいないと」と言われたとき、やはりその表情は動いていないようでいて、微妙に苦悩の表情(ここでも微泣きそう)がみえ。 ![]() その歩調、最初に桐生さんと再会したときのことも思い出させる、橘さんの気持ちの一部のような。 ![]() 風に微かに揺れる髪がかかった表情の真剣さ、“いけないのですか”という硬い口調に表れる、橘さんの生真面目さ。 「返してほしいんです。レンゲルのベルトを」という口調にはあくまで後輩らしい節度があり、「あのベルトは邪悪なベルトだから」というちょっと未熟さの感じられる口調には、若者らしい青い正義感が感じられて、ほんとうに“後輩”の表情、口調。 ![]() 表情を大きく変えたわけではなくても、目許が微泣きそう。 「やっと手に入れた力だ。今の俺に悩みはない。俺の意思とベルトの意思は完全に一つだ」と言われるにいたっては、口許もちょっととがらされてきて(あごのあたりにくるみ状のしわが…)のども上下と、さらに泣きそうモード。 「俺は全てのものを倒す。俺以外のライダーもな。それが俺とお前が戦う理由だ」とまで言われて、「あなたの…あなたの正義はどうなったんです!」は、もう半分泣き顔では…。 「そんなものどうでもよかったのさ」と言われた後のアップでは、目も潤んだような光が映りこむ、「レンゲルの力を手に入れて俺は初めて気がついた。正義なんてな、ただの言い訳にすぎない」と言われての「やめてください」は、声は落ち着いた声だったものの、かなり泣きそう。 「ただ、力がふるいたかっただけなんだ!」では、桐生さんまで泣きそうな顔。「やめてください!」と声を荒らげた直後の橘さん、目も伏せてほんとうに泣きそうな表情からの「聞きたくない。桐生さん」は、ほんとに目が光っていて。 ![]() そこからあっという間に「なら戦え!」と、桐生さんに胸倉を掴まれて振り回されるとき、されるがままに揺さぶられながらもじっとせつない表情で桐生さんを見ている橘さん。 桐生さんに突き飛ばされて、しりもちを突く(ちょっと可愛い動き)ときも、じっと桐生さんを見上げていて。 ![]() 座り込んだまま、桐生さんをじっと見上げる橘さん(海をバックにした、きれいなアップ)も、それを感じているはず。 ![]() いかにも気落ちした様子で、剣崎君でなくとも慰めたくなる様子。 ![]() その沈んだ声、剣崎君をみつめる目線から、沈んだ声とともに目を伏せ、さらに眉根を寄せてちょっとなきそうな顔になるところ、気持ちの揺れが伝わってきて、そんなに橘さんの心を乱す剣崎君が、やや悪人に思えてくるほど。 ![]() 「よせ」と言うまでの横顔が、またきれい。 クリアな声での「何ができる」と、声を落とした「…何ができる」の対比が、海に向かう後姿とあいまって、橘さんの無力感を。 ![]() “それは君には使えない”と、首を横に振りながら諭すところなど、大人。 睦月が線路を越えたとき「危ない!」と、本当に心配そうな表情でずっとその行方を見ていた橘さんには、睦月とずっと関わっていく予感も。 ![]() 橘さんを大切に認めるこの言葉は、橘さんがいない場面のものでも、橘さん的みどころ。 ![]() 橘さん達に向かって進もうとするアンデッド達を制止する桐生さん、橘さんをかばうようにレンゲルに向かって構える剣崎君。 桐生さんを見ていた橘さんが、ぱっと剣崎君を見るしぐさ、なんだか三角関係の頂点的しぐさ。 ![]() 騎士です(笑)。 ![]() 正面からの、横顔の、苦悩の表情。 ![]() これから戦おうという場面なのに、温かく、優しく。 右腕を失って、ベッドの上にいる桐生が橘に告げた“お前ならできる”が、ほんとうは無念な気持ちを押し殺すようなくるしげな表情で押し出された言葉だったことを思うと、その温かさ、優しさは、さらに尊さを増し。 ![]() 振り返る橘さんの表情、どの一枚一枚も、すっごくきれいです! ![]() 前転、トランポリンも使ったジャンプが連続する、見応えあるアクション! 東映ヒーローネットのインタビューで“トランポリンを飛んで転がってという練習で、最初は変に転がってアザを作ったり、マットを敷いてもらって肘や膝にサポーターを入れても痛かったけれど、身体が急速に慣れて、コンクリートや砂利の上でもマットを敷かず、サポーターも入れてなくても大丈夫になり、ちょっと軽く飛んでから受け身を取るほうが楽になった”などとおっしゃっていた練習&実践が実った成果のようで、うれしいシーン。 その後、JAE伊藤さん & 押川さんのものすごいジャンプに続くこの華麗で最高にかっこいい、忘れ難く印象的なこの変身シーン、たくさんの、いろいろなポジションの役者さん、スタッフさんの密な共同作業によって生まれた傑作というところが、またうれしく、感動的。 ![]() そして何より、ギャレンラウザーで桐生さんレンゲルを狙い撃つときの息遣い。 集中、その裏に渦巻く感情、感情を抑えようとする懸命さ…と、いろいろなものがそこに。 ![]() そんなにシンプルで、動きの少ない映像で、熱い魂のドラマが描かれているところが、まずすごく。 橘さんの泣き顔は、女優さんだったら“すごい女優魂”と言われるような、きれいとかかっこいいとかからはほど遠い、ほんとうにぐしゃぐしゃに歪められたもの。 それが、静止状態で見ても泣けてくるぐらいの、たまらなく魅力的な表情に見えるところが、さらにすごく。 ![]() 天野さんもテレビ朝日のメールマガジンで、「すごく印象深くて好きなせりふです!」とおっしゃっているセリフ。 そのメルマガで天野さんが書かれていた、“一度現場で悩むことがあったんですが、そんな時も増沢さんが食事に誘ってくださって、真剣に相談に乗ってくれました。嬉しかったですね。”というエピソードも思い出されてきたりと、幾重にも味わえる、深いもの。 ![]() 橘さんに全てを譲って穏やかな表情だった桐生さんの、最後の最後は、せつないほどの無念の表情。 回想シーンでの“お前ならできる”とともに、ほんとうは無念でたまらない桐生さんの心情は、橘さんを思いやる気持ちを嘘にするものでは決してなく、むしろそれを超えて橘さんに注ぐ愛情の大きさ、負の感情を抑える桐生さんの心の尊さを示すもの。 それがあったからこそ、自身も失われかけた力を追い求め、ブレイドに打ち勝たなければという妄執に苦しみ、道を誤った橘の気持ちに、ひたりと寄り添えたのかもしれないという、もの。 ![]() その手を橘さんが、深い想いを感じさせるしぐさで大切そうに取り、そのうえに頭を垂れたシーン。 失われた何かが再生されるのを見たような、微かな救いの感じられたシーン。 ![]() 【東映公式:仮面ライダー剣−第20話紹介】で天野さんが、自然に出てきた、とおっしゃるセリフ。増沢さんも「自然に出てきたセリフでしょ、あれはよかった」とおっしゃってくださったセリフ。 この一連のシーンの最後に、しっかりと、ふさわしいセリフ。
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Last update :
4th June 2004
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