17th July, 2010
『デビルマン-不動を待ちながら-』7月17日14:00の回は、Bチームの初日。チーム違えば。
B限定の名シーンも…Bチーム初日
B限定の名シーンも…Bチーム初日
AチームとBチーム、同じことをやっていても、演じる役者さんの個性によってだいぶ雰囲気が違うんだろうな…と思っていたら、“同じことをやって”という前提自体がかなり違っていて!
この回は、その違いを追って、さらっと観る感じになり!
【フジも来てない! 牧村邸中継】
AチームとBチームの違いを…と言っておきながら、まずは共通ポイント。初日に“テレビ東京が来てない!”ということが気になった牧村邸を取り囲むテレビ局中継車、今日の加藤さん白石エリカのセリフを聞いてみると、フジテレビも来てないことに気づき!
系列の東海テレビさんは、『インディゴの夜』キャストの天野さんあてに花スタンドを出してくださっているのに(笑)。
【立ち位置まで違い! 倦怠期な二人】
Bチーム、同じセリフでシーンを演じていても、立ち位置までAチームと全く違うところが多々!序盤では、ジュンヤがミナモの制止もあって、牧村邸の外に出ようとしたヤマトとアツシに従わず邸内に残ったものの、ちょっと離れて座ったりと、関係がぎくしゃくしている様子が見える…というところ。
Aの江前さんジュンヤと下川さんミナモは、舞台正面、20〜30cmの段差がある広い面が重なって舞台の広い部分がゆるやかで低い階段状になっているセットの中段に、距離を置いて座っていました。
それに対し、Bの橋本さんジュンヤと下川さんミナモは、下川さんミナモが下手側の階段脇に置かれた箱の上に腰かけ、橋本さんジュンヤはさらに下手端の床の上に座り込み、と、大きく位置が違い。
この立ち位置の違い、ややこしくないのかな…と最初は思いましたが、18日のアフタートークショーで天野さんが、AとBとではセリフが微妙に違ったりするので、間違えないように、今やっているのはAかBか、袖で確認する、とおっしゃっていたりするのを聞くと、立ち位置からして大きく変わっていたほうが、間違えなくていいのかも…と思うようにも。
【兄妹的? 西舘さん北浦ヒトミと天野さん雨竜先生】
天野さん雨竜先生&フォンチーさんシグレと最初に合流して一緒に逃げてきて、牧村邸でも天野さん雨竜先生の秘書のように付き従って行動する、北浦ヒトミ。西舘さをりさんヒトミは、高くてかたちのいい鼻等、お顔立ちの系統がなんとなく天野さんに近いせいか、どことなく兄妹的な雰囲気が。
大学生達に向かって「問題多いな!」と言い捨てて天野さん雨竜先生について退場したり、皆さんずっと働きっぱなしで…と皆を気遣う美樹に、天野さん雨竜先生が「やっておかないと・・後悔はしたくありませんから」というのに同意して「それだけは嫌だね」という響きも、なんとなく妹的。
谷口さんヒトミと天野さん雨竜先生との間は、どちらかというと緊張感を強く感じる雰囲気だったのですが、西舘さんヒトミと雨竜先生のシーンは、ちょっとなごみました(笑)。
【ややシリアス? Bチーム大学生】
シングルキャストの田中さんアツシも含め、衣装のTシャツのカラーもがらっと変えてきたりと(Bチームのほうが赤や黄色があざやか!)、Aチームと雰囲気が違う、大学生チーム。序盤、最初に“違う!”と思ったのは、柴咲ヤマトと城島アツシが牧村邸の外に出ていった後、牧村邸を囲んでいた人々の投石でヤマトが額に傷を負い、天野さん雨竜先生
とアツシに抱えられるようにして戻ってくるシーン。
武田さんヤマトは、傷を受けて大騒ぎしているときや、鏡で傷を見ようとするやりとり等、痛そうな中にもどこかコミカルさが。
それに対し、Bの友常さんヤマトは、ひたすら傷が痛そう苦しそうで、緊迫感高まりまくり!
“ケガをして痛い”という、かなり生理的な反応を表現するシーンでも、こんなにシーンの雰囲気が違ってくるのか…と、目からウロコ。
【可愛いかんごしさん! 土田ひろ子さん植木ユカリ】
縫い合わせることもできない傷を負った看護師・植木ユカリ。登場の瞬間“傷が違う!”と!
園田さんユカリは、傷を負った方の腕を三角巾で吊っていたのに対し、土田さんユカリの傷は肩に近い上腕部で、包帯を巻いて血がにじんでいるというだけの表現。
が、そんな違いは些細なこと、と思わせてくれたのは、土田さんユカリの声!
アニメ声、というより、アニメの子供のような、よく通る可愛い声!
【デビルマン〜不動を待ちながら〜稽古場ブログ:2010年7月10日_おつかれさまです! (下川みくに)】で下川みくにさんが、土田さんの声について“つっちーの声、かなりすき。/特徴があって、/だれともかぶらない個性的な声。/きっと、男性陣は、/みんな癒されてるにちがいない。”と書いていらっしゃいましたが、確かに個性的で、癒されます!
まだあどけない女学生さんが、戦時中で医療スタッフとして駆り出されているような、少し心の痛みを伴うような“可愛いかんごしさん”。
Bチーム・土田さんユカリが、Aチームの“しっかり者”という感じの大人っぽい園田さんユカリよりあどけない印象なのに対し、Bチームの妊婦・岡田久実さん演じる早川マチコは、Aチームのギャル系妊婦・黛さんマチコよりも、ぐっと落ち着いた、地に足の着いた生活感を感じさせるタイプ。
そんなあどけない土田さんユカリが、落ち着いた感じの岡田さんマチコに、穏やかに「落ち着きなさい」と語りかけるシーン(中盤、マチコが“殺すほう”“殺さないほう”どちらに加わるかという局面で、夫が悪魔に変貌した瞬間を思い出し…という場面)は、あどけない少女の姿に宿った天使とか神様とかといった存在がマチコに語りかけているような、不思議なムードが漂い。
で、天野さん雨竜先生との組み合わせでは…
11年前のセラミュの頃の可愛らしい天野さんだったら、土田さんユカリとのとりあわせがぴったりで、園田さんユカリとのシーンがあまり想像できないのに対し、今回の講演の天野さん雨竜先生は、ABどちらもユカリを思いやる優しさが魅力的で、どちらかというと園田さんユカリとのシーンが“日常的”という印象。
そのことひとつをとっても、今回の天野さんの“大人”ぶりを実感!
【ケツ出しNG!? 橋本祐樹さんジュンヤ】
外の状況もよく理解せずに外に出て行こうとして、怪我が大丈夫なら出て行け、と兼崎さんリョウに迫られた大学生達が、ライターを提供するからここに置いてほしい、と懇願するシーン。その最中に、橋本さんジュンヤに、なんと、ママからの電話!
Aチームにはなかったシーンで、初めて観た瞬間はかなり驚愕したのですが、【じんのひろあきカリガリスタジオ:デビルマン -不動を待ちながら-(初演脚本)】をよく読んでみると、これは初演脚本にもあったシーン(意外!)。
江前さんジュンヤは、舞台の上では“個性的”と感じられるぐらい素朴な感じの風貌なのに対し、橋本さんジュンヤはいかにも可愛らしい感じのルックスなので、ママからの電話も“カワイイ”という感じ。
そんな橋本さんジュンヤ、大学生の他の2人と一緒に外に出なかったことを責められるシーンでも、A・江前さんジュンヤがパンツをはがされお尻の割れ目まで晒す羽目に陥ってたのに対し、アイドルっぽく“ケツ出しNG”なのか、脚にプロレス技をかけられる(?)ぐらい。
当然、下手から入ってきてそれを見た天野さん雨竜先生のセリフも「なんでケツ出してんだよ!」じゃなくて「元気そうだな!」。
大学生といえば、要所要所で彼女の亜美からのメール着信がある、柴咲ヤマトの携帯の着信音。
Aの武田さんヤマトがアニメ『タッチ』の主題歌なのに対し、Bの友常さんヤマトは『踊る大捜査線』のテーマ。
【仲間でドSで女の子。加藤千尋さん白石エリカ】
“コンビニチーム”の紅一点・白石エリカ。コンビニ襲撃でリョウを窮地から救った、勇ましく、サバサバした女性、というキャラクターは共通でも、AチームBチーム、かなり違いが!
衣装に一番差があったのは、この白石エリカかも。
Aチームの清水さんエリカは、ジャージ上下でかっちり身を固め。
これに対し、加藤さんエリカは、ショートパンツにノースリーブと、挑発的なぐらい露出度大!
兼崎さんリョウとの関係の違いがくっきり表れたのは、リョウが配られたカップ麺(Bチームでは《どん兵衛》)を取り替えてくれと言ってくるところ。
Aチームの清水さんエリカは「すみません、大人気だからいいと思いまして」と、リーダー格のリョウに忠実な感じ。
これに対し、Bチーム・加藤さんエリカは「ごめん、好きだったからいいかなーと思ったんだけど」。
言葉遣いのフランクさ、“一般的に人気だから”ではなく“リョウが好きだから”とパーソナルな好みまで把握しているところなど、ぐっとリョウと親密な感じ!
そんな加藤さんエリカ、コンビニ襲撃のときにリョウが店員を殺した、という話題のときには、リョウが話している方向の舞台中央に背を向け、ぐっと傷ついた表情。
Aチーム・清水さんエリカが、気まずそうに口調をにごすにとどまるのに対し、ずっと“女の子”で、もしかしてリョウが好きだったりする可能性も? ということまで思わせるキャラクター。
でも、バクにお尻を触られると、「何さわってんのよ!!!」とキックをお見舞いしたり、もっと後、大学生達に殺すか殺さないかの意思表明を求めるシーンでは、生きるために人を殺すのでは外の悪魔狩りとどう違うのか、と疑問を提示するジュンヤを「そんなこと生き残ってから考えればいいんだよ!」とはり倒す(【じんのひろあきカリガリスタジオ:デビルマン -不動を待ちながら-(初演脚本)】をみると、本題は津田=荒谷バクのセリフ!)など、あざやかなドSっぷり!
メリハリキャラです、加藤さんエリカ!!!
【ナチュラルお笑いポイント。カップ麺の情景《リョウ&バク編》】
お前、何食ってんの、とリョウがバクに、手にしたカップ麺を食べながら話しかけつつ上手(そちらのほうでお湯を配っているという設定)から登場、階段をのぼって2階に上がっていくシーン。Bチームの兼崎さんリョウは、大きな体に似合わぬミニサイズのカップヌードルを選んだAチームのときとは異なり、《一平ちゃん》(やきそば)を選択。
(ちなみに安部慎二郎さんバクは《マルちゃん麺づくり》)
そして、安部さんバクが、《マルちゃん麺づくり》が大好き、兼崎さんリョウが食べている《一平ちゃん》より上、といった話をしているとき。
リアルに《一平ちゃん》を食べていた兼崎さんリョウ、食べていた《一平ちゃん》をこぼしてしまうというアクシデント!
安部さんバク「こぼさないでくださいよ!」
不良的イメージのわりにはものすごく几帳面に、あたふたこぼれた麺を広い集める二人に、作品テーマのあまりの重さにお笑いポイントでも笑いのでなかった客席からも、地味ながら笑いが(笑)。
このリョウ&バクのカップ麺シーンは、この後の公園でも、日々さまざまなハプニングの温床に…
【バファリンの半分は。カップ麺の情景《大学生編》】
前のシーンで選んだカップ麺にお湯を入れて、大学生達が舞台上に戻ってくるシーン。Bチームは「バファリンの半分はやさしさでできてるでしょ」と、解熱・鎮痛剤《バファリン》のコピー“バファリンの半分はやさしさでできています”をもってきた会話に!
あれってどうやって入れてるんだろう、おじさんが入れてくれてるんだよ、1個1個…といった会話が展開されるのですが、Aチームはこんな会話ではなかったはず。
Aチームではどんな会話だったか、夜公演で要チェック!
【高校の先生>>>キャバ店長 天野さん雨竜先生の迫力】
自分がコンビニ襲撃で店員に殺されかえたとき、棒立ちになって何もしなかった、と、矢羽々昭幸さん刈島ゴンを責め続ける兼崎さんリョウ。そんな兼崎さんリョウに、繰り返し「もうやめろ」といい続ける天野さん雨竜先生。
その「もうやめろ」は、最初は“静かな怒り”だったのが、だんだんクレシェンドしていき。
最後の「もうやめろ!!!」は、声の音量が大きかっただけでなく、かなりドスが効いた、ド迫力の怒号に!!!
…学校の先生とケンカして高校にはほとんど行っておらず、キャバ店長という、任侠系の方々ともおつきあいしなければならないような職業で、コンビニ襲撃では殺人も経験、今は牧村邸の皆さんに“殺すか殺されるか”の選択をかなり強圧的に迫っている兼崎さんリョウより、もしかすると(任侠的なカンジで)コワイかも…という迫力を、女子校の先生が出しちゃうって、スゴイ…と、思ってしまうぐらいの迫力、数々のヤンキー系&任侠系Vシネの御経験ありの天野さんならでは!
【スタッカートの陰の優しさ。兼崎さんリョウ】
初日、兼崎さんリョウの第一声を聞いたときにとても特異な感じがした、スタッカートのついたような口調。初日になんとなく予想した通り、その口調は兼崎さんリョウのすべてのセリフで現れるわけではなく、特にカップ麺シーンのようなほのぼのシーンでは、影をひそめ。
やはりスタッカート口調は“殺人するか殺人されるかの2つに1つしかない”とか“ヤツらを殺したから生きてるんだ!”とか、兼崎さんリョウが“殺す”ことによって“生きる”のだと主張し、皆にもそうするよう求めるところで登場。
祝いの宴の幸福の絶頂で親戚が目の前で悪魔化し、そして警官に射殺され、自らも追われる身となり、その自らもコンビニ襲撃の際に殺されかけ、自らを守るために店員を殺した…という、壮絶な体験を経て生き延びている兼崎さんリョウの、心の鎧のように。
そんな鎧をまとう兼崎さんリョウの、鎧の中身。
現実を理解せず、軽率に出ていこうとした大学生達を「お前らなんていてもいなくても同じ」と許し、コンビニで自らが殺されかけたときに何もできなかったと攻め続けていたゴン/サキを、最後には「おまえが俺の目の前で殺されそうになったら、俺は助けるけどね、おまえと違うからさ」と許し…と、偽悪的な口調ながら、最終的には誰を彼をも許しているリョウ、本当はかなり、お人好しに近いキャラクターかも。
キャバ店長時代の兼崎さんリョウがどんな店長ぶりだったのか、ちょっと知りたくなったりも。
案外、女の子達の抱える事情に親身になって相談に乗ったりする、人情派店長だったり…
【世界一受けてみたい授業。天野さん雨竜先生の日常】
「俺が先生のようにふるまって指揮をとれば、皆はまるで生徒のように、言うことを聞く」という、天野さん雨竜先生のセリフ。フォンチーさん & 雨竜先生の学校が、ヤンキーもの作品に出てきがちな、武闘派の生徒達が日々覇権を争って抗争を繰り返しているような学校ではなさそう(笑)…ということも窺わせると同時に、天野さん雨竜先生、生徒との間に基本的な信頼関係があって、授業のうまい先生だったんだろうなあ、ということを想像させ。
生徒達が信頼感をもって雨竜先生を受け入れるについては、フォンチーさんシグレがセリフの中で言っている『医者は病気が治らないからといって、患者の親や社会のせいにしない。学校だけだ、その責任を他人に押しつけるのは』という雨竜先生の言葉で“ああ、この人ちゃんとしてるなって”思った、というようなエピソードがいろいろあるんだろうな…という、雨竜先生の言動が一番重要なことはもちろんなのですが、天野さん雨竜先生のあの端麗な容姿も絶対プラス要因に(笑)。
女子校で、バレンタインとかどんなことになってたんだろう…と考えると、また楽しく。
授業については、天野さん雨竜先生のあの美声は、大きな武器になったはず。
あの、よく響く朗々とした声から、ささやくようなスウィートボイスまで、広い幅をもつ魅惑の声を、緩急とりまぜて使うだけで、単調な声でボソボソ話している授業より格段に効果ありそう。
天野さん雨竜先生(教科知りたいです!)の授業、受けてみたいです!!!
【あどけなさのかけら。シグレを失った天野さん雨竜先生】
ヤマトへの亜美からのメールで、自らが人間の心を失うのではと恐れ、そのときには雨竜先生の手で殺してほしいという願いも届かずに絶望したシグレが、外に出ていき、群衆に殺さればらばらにされてしまった…と知った、天野さん雨竜先生。あれほど“人を殺してまで生き延びる何かがあるわけじゃない”と、“殺す”ほうに組することを頑なに拒んでいた天野さん雨竜先生の「俺も殺すほうに入れてくれ」は、一瞬で心身ともにぼろぼろになったような、壊れた感じが、ますますくっきりと。
そして、シグレのことを語る「あいつは、西海岸へ行くバスだった!」のあとの号泣。
舞台の下手側客席寄りの位置で、膝を抱えてうずくまるようにして泣く姿は、11年前の『ミュージカル美少女戦士セーラームーン「かぐや島伝説」[改訂版]』で、船が難破してかぐや島に流れ着いた天野さんまもちゃんが「だからこんなつあー、きたくなかったんだ…」としゃがみこんで泣くようにする姿(【1999年8月25日昼_『かぐや島伝説改訂版 夏休み宝石探検隊』東京公演】)とカタチが似ていて、どことなくあどけなさも。
いつもあどけなく可愛い『かぐや島伝説』のまもちゃんの、その可愛さを強調するポイントだったそんなシーンと、大人の男性としての魅力をみせ続けていた『デビルマン』の雨竜先生の、不意打ちのようなこのシーン、天野さん雨竜先生がどんな人かということを、深めてくれ。
【最初からシリアス。友常さんヤマト】
作品の冒頭近く、外に出ようとして怪我を負ったシーンでも、Aチームのようなコミカルさより、差し迫った雰囲気が伝わってきたBチームの友常勇気さんヤマト。ヤマトの最大の見せ場である、突入を告げる亜美からのお別れメールの読み上げでも、最初は軽いややコミカルな口調だったAチームの武田さんヤマトに比べ、友常さんヤマトは、最初からシリアスめ。
友常さんヤマトは、ルックスはかなり“イケメン”系な一方で、声はハスキーで太い、あんまり“王子様声”じゃない骨太な男っぽさの声で、そのギャップが個性的。
その武骨な声で読み上げられる、恋の思い出を連ねたメールには、独特の感慨が。
【“泣き”と“絆”。天野さん雨竜先生と兼崎さんリョウ】
そこからラストシーンへへと向かう天野さん雨竜先生は、その“泣き”が、初回よりぐっと深くなったような。美樹が“戦う”と決めた決意を語るシーン。
天野さん雨竜先生は、それを聞いている皆のなかでも、一番“泣いている”表情!
それを確かめるために、ひととおり皆の表情を見渡してみると、天野さん雨竜先生以外で“泣いている”感が強いのは、妊婦の岡田さんマチコと、意外や意外、兼崎さんリョウ(でも、大学生達やゴンに見せた優しさを思うと“意外”ではないのかも…)。
そんな天野さん雨竜先生、リョウに「まだ死ぬ気か」と問われての「生き延びたい」も、すごく泣きそうな様子で。
それでも…というより、“泣き”とは一見結びつかないドスのききかただからこそ「俺には仕事が残っている」は、ものすごい迫力。
それに応えるように、兼崎さんリョウが「生き延びろよ」と告げる回を重ねるごとに、リョウと雨竜先生の絆が…さらには、兼崎さんと天野さんの絆が、強く、深くなっていくような。
【Bチーム限定の名シーン。タバコをめぐる情景】
兼崎さんリョウが天野さん雨竜先生にタバコをあげたけれど、火がなかった、というシーン。通りがかった大学生に火を借りる、というところは同じなのですが。
登場したときは、タオルをエプロンのように首の後ろで結んで、口許を覆っていた友常さんヤマトが、そのタオルをおろして天野さん雨竜先生に向かって自分の口を指さし、一服をねだる、という、Bチーム独自のシーンが!
天野さん雨竜先生は、それに応えて自分が吸っていたタバコを友常さんヤマトに渡し、友常さんヤマトはおいしそうに一服吸うと、それをまた天野さん雨竜先生に返す…という、濃密なフレンドリーが展開。
笑顔で口許を指さす友常さんヤマトの笑顔、タバコを渡す天野さん雨竜先生の“大人の男”を感じさせるしぐさ、深々とその一服を味わう友常さんヤマト、返されたタバコを吸う天野さん雨竜先生…
10年以上前、天野さんの『本気!』シリーズの共演者様・石橋保さん御出演ということで観た『ガメラ2』(【天野浩成さん共演者様作品見聞録:ガメラ2】)の、石橋さん演じる自衛隊員が、最後の戦いに赴く際、それまで協力者として行動を共にしていた民間人・吹越満さん演じるNTT北海道社員に「これが終わったら、おごらせてください」というシーンにものすごく憧れたことがあったのですが、今、天野さんがそれに匹敵するようなシーンを、“若者”の笑顔を受け止める立場で演じられていることに、体の芯の芯までしみいるような感動を覚えました!
【最後まで“泣き”。天野さん雨竜先生のラストシーン】
いよいよラスト近く、兼崎さんリョウと二人きりになり、突入しようとしている悪魔特捜隊はすぐ近くに来ているせいか、静かで気配がない、という対話での「ああ、静かだな」。友常さんヤマトとのやりとりでは、ちょっと笑顔だったような気がする天野さん雨竜先生、また泣いている表情に。
その後も、泣き顔で、タバコを胸いっぱいに吸い込むようにして。
そして、そういう表情の延長で。
「ごらん、世界はこんなにも美しい」
天野さん雨竜先生の“泣き”の深さに、圧倒されたまま、最後の無言の戦闘劇へ…
【視線を合わせる2人。カーテンコール】
通常版のカーテンコールは、最初はシングルキャストも含めたBチーム全員、次にBのダブルキャストさんがはけて、残ったシングルキャストさん(笠原さんも含め)7人、そして最後に、兼崎さんと天野さん、という順番で。最後、兼崎さんご天野さんが顔を見合わせて視線を交わし、微かにうなずくような感じになるのが、たまらなく素敵です!!!