おいしいプロポーズ   日曜劇場
おいしい
プロポーズ

 
第3話
バンビの誘惑


Staff & OA
脚本 ◆ 小松江里子  演出 ◆ 加藤 新
プロデュース ◆ 伊藤一尋
プロデューサー補 ◆ 佐々木雅之  演出補 ◆ 高津泰行
その他のスタッフ ◆ Data Page
放送日時 ◆ 2006年5月7日(日)21:00〜21:54


Cast
白石鈴子:長谷川京子  葛城春樹:小出恵介  島崎沙織:小林麻央  浅倉ミチル:サエコ  柏木マキ:小池栄子
桑原裕介:天野浩成   藤田 翔:大東俊介  メアリー富田:石田未来  片瀬未来:清水由紀
社長秘書:大門マキ  白石ちはる:黒田 凛
大河内孝信:石井正則(アリ to キリギリス)  白石 徹:天野ひろゆき
剛州[ガードマン]  青木麻由子[受付嬢]  樋渡真司
平 岳大[日野原茂紀]
芸プロ  劇団ひまわり  劇団東俳
大河内民雄:西村雅彦  葛城道造:橋爪 功


Story
 鈴子(長谷川京子)と春樹(小出恵介)はパーティーからの帰りに大喧嘩、それぞれ朝帰りする。

 鈴子が車に忘れていったバッグを手に春樹が部屋に戻ると、幼馴染みのミチル(サエコ)が勝手に上がりこんでいた。
 ミチルにしつこくどこに行っていたのかと問い詰められた春樹は、鈴子と朝まで海沿いのモーテルで一緒にいた、と嘘をついてしまう。

 鈴子はといえば、同居しているマキ(小池栄子)にパーティーのことを聞かれ、春樹にだまされたと話そうとするが、自分だけ店に残そうとしているとは言えず、言葉を濁す。
 朝帰りを冷やかすマキに、何もなかったと言うが、マキは信じない。

 出勤後、大河内マネージャー(西村雅彦)にどうだったか聞かれた鈴子は、売り上げを倍にするしか店を残す方法がないようだと答える。
 売り上げを伸ばそうと大河内達が過剰なほどの接客をしだしたところに、ミチルが店にやってきた。
 ミチルは、出された前菜の鶏レバーのクロスティーニを大声でまずそう、いらない、とけなして下げさせる。
 憮然として戻ってくるマキに、大河内マネージャーは笑顔での接客を呼びかけるが、副料理長の桑原(天野浩成)は「笑顔だけじゃね」と、愛想だけでは売上げ倍増は難しいことをつぶやく。
 さらにペンネ・アラビアータが運ばれると、ミチルは自分の髪の毛を入れ、シェフを呼べと騒ぎ立てる。
 そんなはずはない、と大河内マネージャーには言いつつも、鈴子は、客であるミチルに謝罪。
 それでいいのよ、ミチルは勝ち誇ったように鈴子の謝罪を受け、これ持ってきてあげたから、と、鈴子が春樹の車に忘れたかばんの中身を床にぶちまける。
 さらに、春樹と昨夜海沿いのモーテルで一晩過ごしたと春樹から聞いたということをまくしたて、ミチルは代金も払わずに帰っていく。
 違いますよ! と、鈴子は否定するが…

 春樹は沙織(小林麻央)を彼女のジュエリーショップに訪ね、パーティーで一緒だった日野原(平岳大)について尋ねる。
 沙織は、彼は精神科医で、春樹の兄で沙織の婚約者だった修一が事故で亡くなったあと、相談に乗ってもらっていたと話す。
 そんなに悩んでいたとは知らなかった、言ってくれれば…という春樹に、あなただって辛いのに言えない、という沙織は、それより春樹も鈴子と仲が良さそうだったと話を変える。
 鈴子の舌だけは一流だから夕べのパーティーも料理の味見をしてもらいたかっただけ、という春樹の言葉を、弁解なんてしなくていいわ、とさえぎった沙織は、鈴子は好きだといい、誕生日のときのお礼も兼ねて、今度鈴子を誘って食事に行こうともちかける。

 ミチルの爆弾発言の後、大河内秘書(石井正則)が来店、店の売上げが倍増に程遠いと大河内マネージャーに告げる。
 そんなに店を潰して全員クビにしたいのか、という大河内マネージャーに、鈴子だけはクビにせず、新しい店で働いてもらうよう春樹に言われていると答える大河内秘書。
 その言葉を聞いたウェイトレス達は、春樹と鈴子には男と女の関係があるからだと騒ぎ出す。
 桑原は「シェフもやるもんだな。俺達を裏切ろうとするなんて」と静かな怒り口調でつぶやいて席を立ち、藤田(大東俊介)も、許せない、と追随。
 マキだけは、鈴子が私たちのことを裏切るわけがない、と鈴子をかばおうとする。

 そのとき鈴子は、春樹に嘘を撤回させるため、春樹の会社を訪れていた。
 約束がないことで受付で押し問答となり、さらに警備員とも自転車のことでもめているところに、社長の道造(橋爪功)がやってきて、自分の知り合いなのでいい、と鈴子に助け舟を出す。
 エレベーターの中で道造は、鈴子に春樹との関係を尋ねる。
 単なるオーナーとシェフだという鈴子の答えに、それなら僕と付き合えますね、などと言い出す道造に、鈴子は困惑する。

 春樹のオフィスに着くと、鈴子はドレスとヒールを借りたジャケットと一緒に突き返し、春樹の嘘を仕事中に皆の前で言われた、責任を取って皆の前で本当のことを言えと詰め寄る。
 それを聞いた春樹は、丁度あなたに頼みたいことがあった、あなたの誤解を解くための交換条件で、と反省の色もない。
 こんなときによくもそんなことを…と憤る鈴子だったが、かかってきたマキからの電話で、大河内秘書の発言で店が大変なことになっていると聞き、仕方なく春樹の頼みを受けることにする。

 約束の食事の夜、鈴子がレストランに行くと、先に来ていた春樹は沙織と楽しそうに談笑していた。
 ところが、その食事の席には、日野原も沙織に呼ばれていたのだった。
 そのことを知らなかった春樹は日野原の出現に憮然となる。
 重い空気の中で、鈴子は沙織に聞かれるがままに、昔つきあっていた彼のことを話す。
 春樹は初めて会った夜鈴子と食事をしていた鈴子の兄・徹(天野ひろゆき)が鈴子の彼だと誤解していたが、鈴子は春樹の反応に首を傾げつつも、その誤解には気づかない。
 鈴子は、当分恋愛はいい、それよりシェフとしてもっと勉強して、いつか自分の店を持ちたい、と語る。
 会話が止ってしまうと、鈴子は、春樹の皿の料理を、一口もらっていい? といきなりつついて、一同を驚かせる。
 もう一口、と、おいしそうに食べる姿に、沙織が微笑み、それを観ていた春樹も微笑んで、場は和やかになる。

 鈴子が留守にしているアパートでマキとちはる(黒田凜)が留守番をしているところに、徹が訪ねて来る。
 家に上がりこんだ徹を、不審者だと思いこんだマキがフライパンで殴ったところで、ちはるが「パパ!」とうれしそうに声をあげる。
 すぐに上海に戻らなければいけない、という徹は、マキに空港までのタクシー代を借りようとするが、徹がちはるに渡した中国みやげのパンダのぬいぐるみは日本製、マキは不審の目で徹を見るようになる。

 レストランの化粧室で沙織と一緒になった鈴子は、沙織に、日野原とつき合っているのか尋ねる。
 結婚を前提につき合ってほしいと言われている、いい人だし、ちゃんと考えてみようかな、と沙織。
 春樹のことは…という鈴子の問いに、沙織は答える。
 「彼は…私がこの世で一番愛した人の、弟なの」

 日野原は春樹に、沙織は本当に春樹のことをよく話す、と語る。
 きっと春樹に婚約者だった兄の面影を見ているのだろうが、彼女の人生はまだこれから、これ以上過去に囚われるのはよくない、という日野原に、それは精神科医としての言葉か、一人の男としての言葉かと問いかける。
 両方だと答える日野原に、兄の死で傷ついた彼女の心に簡単に滑り込めた、いいお仕事をお持ちでしたね、と、とげのある言葉を返す春樹。
 そんな春樹だったが、食事の後沙織を送ろうとすると、沙織は日野原に送ってもらうといい、日野原の車に乗り込んでしまう。
 彼女を乗せた車を悲しげに見送り、無言で近くの店に入っていった春樹を心配して、鈴子は春樹の後を追う。

 ショットバーのカウンターで酒をあおり続ける春樹を放っておけず、鈴子は春樹の隣で飲み始める。
 気持ちわかるけどこれ以上はやめなさい、と鈴子は止めたが、兄貴が死んでから俺がどんな気持ちで彼女のことを見守ってきたかわかるのか、と鈴子の制止を振り切り、春樹はさらに浴びるように飲み続けた。
 泥酔した春樹を支えながら歩く鈴子に、春樹は、俺と付き合わない? といって、キスをしてしまう。
 思わず春樹を突き飛ばした鈴子は、起き上がらない春樹を一瞬心配するが、春樹は笑顔を浮かべて眠ってしまっていた。
 眠ったり起きたりの春樹を、迷いながらもようやくタクシーで家まで送り届ける鈴子。
 ベッドに運んだ春樹をみて、こうやってみるとなかなか可愛いバンビじゃない、とつぶやく。
 部屋には、春樹、沙織、そして春樹の兄の写真。
 兄貴が死んでから俺がどんな気持ちで彼女を見守ってきたかわかるのか、という春樹の寂しげな言葉を思い出しながら、鈴子は春樹の寝顔を見つめていた。

 朝、春樹が目を覚ますと、カギは郵便受けに入れておきます、という鈴子のメモだけが残されていた。

 トラットリア・バンビーナに出勤した鈴子だったが、他のスタッフ達に口もきいてもらえない。
 そこに春樹がやってきて、従業員達を呼び集める。
 春樹は、鈴子と自分の間には、皆が想像しているような関係は何もないこと、鈴子に残ってもらうというのは彼女のシェフとしての腕を評価しているからであり、他の従業員も、評価に値すれば残ってもらうかもしれない、と宣言する。
 笑顔が戻る従業員達。

 店を出ていく春樹を追って、鈴子は皆の前できちんと話してくれた礼を言う。
 約束だから、という春樹は、自分こそ送ってもらって…と言い、鈴子に言われるがまま、申し訳なかったと素直に謝る。
 しかし、春樹は、夕べは何もなかったよね、と、鈴子にキスをしたことを覚えていない様子で訊ねてきた。
 何もなかった、ありえない、と返した鈴子は、沙織にちゃんと気持ちを伝えたほうがいい、と忠告する。
 ほんとに無神経だな、会うたびに呆れる、といって走り去った春樹だったが、バックミラーで鈴子をみつめる表情には、微笑が浮かんでいた。


Check! −天野さん桑原君みどころ−
 大河内マネージャーがミチルからのオーダーを「コマンタレ ペンネ・アラビアータ ウノ!」と通すシーン。
 ていねいにザルの中のものを鍋にあけるしぐさ中だった天野さん桑原くん。
 「ベーネ!」と3人揃って返事をする直前、作業をしてうつむいている表情が(ピントはあっていないながら)かなりアップに!

 どんな客にも笑顔で接客、という大河内マネージャーに、マキが「ついてけないわ」の後。
 鍋の中ものをまぜながら「けど、笑顔だけじゃね」とつぶやく天野さん桑原くん。
 ちょっとため息まじりの口調も、マキの言葉に反応という組み合わせも、桑原くんの言葉をひきとってのの藤田くんの「売り上げ倍にはなんないと思うけど」のカワイイ子分ぶりも、ナイス!

 ミチルが騒ぎ立てている声を聞いて「なんかあったのかな」と天野さん桑原くん。
 店の状況に人一倍気を配っていることが感じられる、生真面目な心配の声が、よく。

 大河内秘書の「白石シェフは別です」と聞いたときの天野さん桑原くん。
 食事を終えて、ステンレスのマグカップを手にした姿勢でその言葉に聞き入る横顔、かなりかっこいいのでは!

 「やるもんだね、シェフも。俺達裏切って、一人だけ残ろうとするなんて」と、静かな口調でつぶやいて、食べ終えた食器を手に席を立つ天野さん桑原くん。
 第2話のイワシで失敗した藤田くんへのものすごい怒号とは対照的な静かな口調、かえって深く静にふつふつと怒ってる感じが伝わってきて、こわいです…
 それに従うように思いっきり天野さん桑原くんを追いかけるように身体の向きを桑原くんに向けての藤田くんの「許せないっすよ! 一緒に頑張ろうなんて言っておいて」も可愛く。

 春樹のオフィスに抗議に行っている鈴子にマキが「大変なことになってるんだって」と電話をかけているシーン。
 “大変なことになってる”お店の描写の最初が、マキが電話をかけている従業員控え室に、天野さん桑原くんが指を切ってしまって、いまいましげに「んーっ!」とうなりながら乱暴にドアを開けて入ってくること!
 優等生タイプで、日頃は落ち着いていそうな天野さん桑原くんがそんなに動揺しているあたり、実は鈴子のことをすごく信じてた? という感じも。
 切ったところをくわえて、手当てのためのものを探しに引き出しをあげるしぐさ、男のひとっぽい可愛さ。

 朝、鈴子の後に続いて、食材の箱をもって入ってくる天野さん桑原くん。
 きびきびした動き、特に“鈴子を無視している”というイジワルを感じない気持ちよさ。

 ウェイトレス達が「おはようございます」と入ってきたとき、軽く挨拶を返す天野さん桑原くん。
 食材を取り出している横顔がきれい。

 大河内マネージャーがやってきたとき、おはようございます、と頭を下げる天野さん桑原くん。
 目上の人に対する丁寧さが、出ているしぐさ。

 春樹に従業員全員を呼ぶように言われた大河内マネージャーに、はい、と応じる厨房の中の天野さん桑原くん。
 なんだろう、という感じの出ている、手をとめた様子。

 春樹の前に整列するとき、最初は一人だけ背中を向けるようにしている天野さん桑原くん。
 一瞬でも、春樹に対する気持ちが見事に視覚化されてます!

 鈴子がやってきたときには、さすがに春樹の方を向いて立っていた天野さん桑原くん。
 でも、そっぽをむくようにしている表情が、あざやか!

 評価に値すれば他の従業員も新しい店に残ってもらうかもしれない、という春樹の言葉に、皆が笑顔になったとき。
 天野さん桑原くんだけは(藤田くんも笑顔になって桑原くんを振り返っているのに!)笑顔になっていない、その心は。














Last update :
14th May 2006


















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