1st February, 2008
2008年2月1日、『となりの守護神』の初日。“王”らしさは、殺陣のなかに。
『となりの守護神』開幕
『となりの守護神』開幕
早退予定の職場、日頃は自分のラインに“非常事態”などほとんど起きないのですが、眼前でまさにそれが発生して、衝撃!
これが長引いたら帰りにくくなる、と思った自分、直近の締切には間に合わないのでその次の締切をめざして作業を…という空気になりそうなところを「こうすれば間に合います!!」。
…結局、やってみたらなんとかなっちゃったので(みんなハッピー♪)、一難去って静かになった職場を、心置きなく後にしてました…
…と、気持ちよく地下鉄の駅に着いたら、シアターサンモールの最寄り駅の新宿御苑前を通る唯一の鉄道・東京メトロ丸の内線が、自分が改札を通ろうとしたまさにそのとき、止まったと駅員さんが人を散らし始めたではないですか!!!
思い出すのは、地震で都内の公共交通機関が麻痺、タクシーも大渋滞で、お花計画のメッセージを差し入れなければならないにも関わらず、池袋駅の手前でタクシーを乗り捨てて劇場にぎりぎりに文字通り駆け込んだ(遠方からおいでだったのに、御覧になれなかった方も…【涙】)、悪夢のような『H〜i! Jack!!』初日のこと…
…でも、振替輸送で大回りして乗り継いで新宿駅まで行ったら、丸の内線、何事もなかったかのように動いてました。
そんなこんなで着くまでに紆余曲折、開場もだいぶ遅くなり、幕が開いたのは30分近く遅れの18:55頃…
…と、かなりボロボロ状態。
最初は自分のチューニングも狂っていて、第1幕は今後もっと楽しむぞ! 状態だったのが、第2幕はとてつもなく夢中になり、帰り道にはなんかこう、語りたくていてもたってもいられない状態に!!
そんな自分の内外も劇的な、思い出深い初日になりました!
【その出方は、“悪役”。〜セラミュファンの感激】
幕開きから、暗がりの中に浮かび上がるのは、天野さん。…しかも誰か(ランスロット)を、殺害してます!!
自分はセラミュ育ちなので、なんでもセラミュに照らし合わせて判断して恐縮ですが(今回の第1幕は、まさにそういう状態!)、セラミュの冒頭でこういうシーンが展開されたら、それはその物語の悪役、物語の発端となる凶事。
…天野さんアーサー王、その登場は、“悪役”です!!
そしてここでまた、セラミュファン的感慨が。
セラミュでの“悪役”(特にラスボスや、セーラー戦士と心通わせるメイン悪役)は、若手がやるセーラー戦士より“偉い”“格上”“芸達者”イメージがあるもの。
天野さんがセラミュを卒業した後、いつか悪役の偉い人で帰ってきてくださったら、大感激だよね…と、語り合ったこともあったりしました。
その“夢”が、かたちを変えて、こんな素晴らしいキャストの公演で“叶った”ような気がして(しかも、天野さんアーサー王、ポジション的にもラスボス感たっぷり[途中、窪寺さんガヴェインが疑わしい動きをみせてましたが…【笑】 井上和彦さんもラスボス的雰囲気もありましたが、比較的早い段階で里緒&ランスロット側とはっきりしたので]、哀愁もたたえ、最後は浄化!)、この“悪役”登場を観た段階で、うるっと感涙もの…
この感動は、続くオープニングのシーンでさらに高まり!
【オープニング映像的。〜交錯する人物達】
その後、メイン登場人物達が、それぞれの関係性を象徴するような動きで向かい合ったりすれ違ったり…という動きを見せる、作品のオープニング映像的シーン。里緒とグィネヴィアが登場して交差するシーンは、セーラームーンとクイーンセレニティ(前世のプリンセスとかそんな感じの人物)みたい…等、またまたセラミュ的にひきつけられてしまう自分。
円卓の騎士達が次々に登場、それぞれむちゃむちゃかっこよく動き、その騎士達が剣を構えた壮観な構図のセンターに天野さんアーサー王が登場、そしてきびすを返して舞台奥に再び消えるところは、そのシーンのかっこよさと、そんなポジションに天野さんが…の感激で、シビれすぎ!!
【自分側のバッドチューニング。〜第1幕、ミュージカルの幻影】
第1幕は、ほとんどが原作のストーリーに、第2幕で展開される中世シーンの“謎提示”的断片が挿入されるという構成。というわけで、天野さんアーサー王ウォッチ的には“待ち”が多かった第1幕、自分がストレートプレー用にチューニングができていなくて、苦しむ羽目に…。
登場する里緒達、女子高校生3人組。
制服でとっても可愛いのですが、セラミュのうさぎちゃん達もだいたいは高校生だったことを考えると、セリフも動きもとびはねるようなウキウキ感がなくて、落ち着いてます!
…でも、スカートの短さは、セラミュ級。
そのスカートが全く翻らないあたり、やっぱり落ち着きすぎです、ムスメ達(笑)。
井上和彦さん露天店主は、とっても明るくフレンドリーな感じで、その様子に“もしやラスボス!?”と、疑惑をかけてしまう自分(【笑】 天野さん御出演前のセラミュに、そういうストーリーの作品があったんです!)。
里緒の日常あたりから、自分のバッドチューニングぶりが…
たとえば、照明がやや明るさを落として、里緒の感情を表すようにピアノ曲のイントロが流れ出したとき、そこから里緒がソロ曲で自分の心情を歌い上げてくれるのでは…という、ミュージカルじゃないんだから、そんなのあるわけねえ!! という期待を、繰り返し繰り返し繰り返ししてしまう自分!
里緒が舞台に座り込んでいて、そこに歌が聞こえてくると、歌に入ったーっ!!! と一瞬狂喜乱舞しかけ、すぐにそれがBGMのボーカル曲だと気づいて落胆することも…
これが昂じると、里緒がインストの音楽に乗って登場して、歌わないで帰っちゃう動きに不満を抱いたり、ボーカル曲のBGMが断片的に大きく流れてはすぐにフェードアウト、という音におあずけをくった犬のようにいらいらしたり、と、泥沼状態。
…自分がAND ENLESSの舞台を観たときも、ミュージカルのBGMではまず絶対使わないボーカル入りの曲も劇中音楽に取り入れていたような気がしますが、そちらの舞台ではその世界観に合ってるなあ、ぐらいに思っていた曲使いに、第1幕では慣れることができなかった模様の自分。
でも、このあたりは慣れなので、学校シーンについては今後右肩上がりに観やすくなると、楽しみにしておきます!
稽古場でも皆さんの笑いを誘っていたというウワサの佐久間祐人さん小久保先生。
ウワサの違わぬお笑いパワーで、今後もしかすると日替わり等に走ってくださるかも? と期待。
【天野さんアーサー王の人間関係、その1 窪寺さんガヴェイン】
アーサー王伝説では、基本的に気のいい人物・ガヴェインですが、『となりの守護神』の窪寺さんガヴェインは、もう登場した瞬間から“犯人顔”!“このひとは、絶対何か悪事を働いている! ていうか、黒幕!”というのが、火を見るより明らかな表情、お見事!
二時間ドラマならこんなに怪しい人、絶対真犯人じゃない! と断言できそうな怪しさなのですが、『となりの守護神』は二時間ドラマじゃないし、その窪寺さんの犯人顔も『本田博太郎〜magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!〜』の“犯人なのか犯人じゃないのか…”的深みがあって、ラスボスなのか、ラスボスじゃないのか…と、悩むのがまた面白く(初回のみの楽しみ!)。
…そして窪寺さんのその“犯人顔”、とにかくかっこいい!
窪寺さん、とてつもなくカッコイイ役者さんだなあ…と、今回もほれぼれ。
そんな超怪しくて絶対悪でとてつもなくカッコイイ窪寺さんガヴェイン(ラスボスオーラさえ!)が、天野さんアーサー王と意味ありげに対峙し、照明で二人クローズアップされ、視線を交わす…
…天野さんアーサー王もかなり“悪役”ムードたっぷりなので(あの黒ずくめの衣裳からして! …というか、天野さんアーサー王もかなり顔、コワイです…)、その“悪のからみ”、ゾクゾクするような魅力で、たまらず!!
【天野さんアーサー王の人間関係、その2 吉田さんランスロット】
窪寺さんガヴェインとの“悪のからみ”に、うっとりと酔いしれてまもなく。魔導師マーリンがいなくなった…という話題での、天野さんアーサー王のセリフ。
「あいつもおれも、幼い頃から頼りにしていたからな」
…ということは、『となりの守護神』のアーサーとランスロットは、幼なじみ設定?
単独でもかなりきゅう〜、とくる設定ですが、窪寺さんガヴェインとの暗黒的ムードにひたった直後にふっと“幼い頃”などという無垢イメージの言葉がくると、より効果覿面!
天野さんアーサーと吉田さんランスロットがまだほとんどからみを見せていないこの段階から、二人の関係が気になりだし!
【天野さんアーサー王の人間関係、その3 大桑マイミさんグィネヴィア妃】
グィネヴィアのもとにランスロットの首を届ける、などと、悪役全開なことを言う天野さんアーサー王。あなたは王妃を愛しているのか、と聞かれての「もちろん愛してるさ」。
このセリフはかなりいいセリフで、初日の天野さんアーサー王も悪くなかったのですが、回を重ねるにつれて、もっと味わいが出てくるかも…という注目ポイント。
ちなみに、“仲違いをしている夫婦で、夫が妻に示す愛情”…というシチュエーションの自分の中の頂点に君臨しているのが、2002年に観た串田和美さん演出の『夏の夜の夢』の、清水紘治さん演じるオーベロン(【天野浩成さん共演者様作品見聞録:『夏の夜の夢』(清水紘治さん)】)!
30年ぐらい早いかもしれませんが(笑)、それぐらいの円熟の境地、目指してみてほしいと思います!
【“かっこいい” 田中良子さんカイリ】
1幕部分のメモに、田中良子さんカイリについて“かっこいい”。…このときはまだ、俊敏で華麗な殺陣の動きと、凛とした声・口調に、ちょっと“かっこいい”と思っただけだったのですが…
2幕になると…
自分を知らなさすぎる、一幕の自分…
【ああ吉田さん吉田さん、あなたはなぜ男なのですか。
“男装の麗人”風吉田友一さんランスロット】
『となりの守護神』では、物販として、生写真3点セットの舞台衣装写真を数名のキャストさんについて販売。“男装の麗人”風吉田友一さんランスロット】
その、吉田友一さんランスロット(メイクばっちり、金髪ソバージュ)をみたとき。
…小野妃香里さんに似てる…?
小野妃香里さんは、天野さん御出演のセラミュ『かぐや島伝説』『かぐや島伝説[改訂版]』で女海賊ルーフ・メロウ役を演じられた、セラミュのスター中のスターの女優さん(かなり“お兄さん”ぽいですが…)。
ランスロットのメイク & 衣裳の吉田さん、わかりやすく言うと“宝塚”っぽい感じで、さらには舞台メイクの妃香里さんにかなり似ているような!
そして舞台の幕が開くと、吉田さんランスロット…ますます妃香里さんと似ているような気が。
そもそも、原作『となりの守護神』で、ランスロットが“恋”を知るシーン、真っ先に思い浮かべたのが『かぐや島伝説』の小野妃香里さんルーフ・メロウの、胸が苦しくて痛いのは“胸焼け”と教えられ、胸に手を当てて「これが…むねやけ?」とつぶやくシーンだったりした自分…
こうなるとランスロットのセリフが、吉田さんの声と妃香里さんの声(演技も、吉田さんとかなり違う演技をつけているVersion)で脳内二重音声で聞こえて、おトクなんだか困るんだかわからないぞ状態(笑)。
とにかく吉田さんランスロット、かなりキレイで“男装の麗人”的雰囲気たっぷり。
もし吉田さんが女性でランスロットの役を演じていらっしゃる(秋山奈々さんの稔のように)のだったら、ほぼ確実に吉田さんランスロットにハマっていただろうな…そして天野さんアーサー王とのからみに狂喜乱舞状態だっただろうな、自分!! と、惜しかったんだか危なかったんだかわからないぞ状態。
そんなランスロットがもてるのを阻止しようとする里緒のたくらみは、“逆・王子プロデュース”だと思いました(笑)。
【主人公はそうでなくっちゃ! 戦え里緒】
あまり恋愛物はよくわからないので、第一幕では里緒については、あまり“主人公”という強い印象を受けていなかったのですが…第2幕の里緒の「今度は私が守る!」で、里緒=主人公モード、着火!
(セーラームーンの「私が(みんなを)守る」がなければ全く成立しないセラミュ的感覚が、骨の髄までしみついている自分【笑】)
自分のなかでは、そこで本当に『となりの守護神』の幕が開いた、ぐらいの重要セリフ!
…ランスロットの危機で、舞台中央の扉が開いて里緒の姿が現れ、奇跡を起こしたあのシーン、里緒が名乗りをあげて自らアーサー王と戦ってくれなかったことに若干のフラストレーションを感じたことはナイショです(笑)。
【第1幕=事件編、第2幕=解決編。中世シーンのリピート】
第1幕、騎士達それぞれ思惑がありそうでも、それがわかりにくいなあ、『かぐや島伝説』みたいなミュージカルだったら、それぞれの騎士が自分の思惑をそれぞれ歌って、それが二重唱、三重唱と重なっていて、最後は騎士団の大合唱…で盛り上がって、キャラクターもわかる、一石二鳥なシーンができるのになあ…などと、一幕の頃は思っていましたが。第2幕、グィネヴィア妃が部屋からの脱走を試みて阻まれ、騎士同士の争いが…というシーンの後、第1幕にも登場した、円卓の騎士が一堂に会し、天野さんアーサー王が「御苦労であった!」とこの舞台での第一声を発するシーンが繰り返され。
…ああ、第1幕の中世シーンは、第2幕のシーンを断片的に見せて謎を提示する“事件編”、第2幕は実際に何が起こってどうなったのかを明らかにする“解決編”なんだなあと。
…それにしても窪寺さんガヴェイン、どう考えても“犯人”です!(笑)
【“王”らしさは殺陣にあり。天野さんアーサー王、“王”の剣】
初日、天野さんアーサー王に“王”を最も感じたところ。それは、ランスロットを倒すことはできないとアーサー王に剣を向ける円卓の騎士・ヘクターとの殺陣!!
意を決してアーサー王に向かって剣を抜くヘクターに、まず背中を向け。
そして、ヘクターの剣を軽くよけた後…
剣を腰の鞘から抜きかけた状態で体をひねり、抜ききらない剣でヘクターを弾き飛ばす!!
このシーンで思い浮かべたのが映画『椿三十郎』で、ひとつのキーワードにもなっているセリフ“本当にいい刀は、鞘に入っているものです”。
この動きひとつからして、騎士達の剣とは異質な“王の剣”のすがたが、強烈に!!
その後、ゆっくりと剣を抜き放ってからの天野さんアーサー王の動きも、剣も身体も最低限の動きで相手を圧するところ、どこか“和”を感じさせるところ…とにかく他の騎士達の動きとは根本から異なる異形の剣、という感じで、圧巻。
“この作品は殺陣がスゴイ”と聞いてはいましたが、アーサー王の“王”をこんなにあざやかに、感覚に強烈に訴えかけるほど意味の深い“スゴイ”だったとは!
【共に演じるチャンスを頂けるのも、一種の“力”。井上和彦さんマーリンとの対話】
うれしかったのが、井上和彦さんマーリンと天野さんアーサー王が語らうシーン。井上和彦さんはさすがの存在感と巧さと味わいで、そんな井上さんのマーリンと、一番じっくり向き合って語らうシーンを天野さんアーサー王がもらえたという、そのこと自体とにかく幸せ!
『仮面ライダー剣』のときも、本宮泰風さん、増沢望さん、春田純一さん…と、大人の素晴らしい準レギュラー・ゲスト出演者様とじっくり向き合うチャンスを、次々に(4人のライダーの中で、天野さんに集中!)いただけたことを思い出したりも。
そういうチャンスをいただけることも、一種の“力”だなあと。
シーンについては、また後日のレポで、たぶん繰り返し…
【守峰の心の内を見透かすように… 田中良子さんカイリ!!!】
舞台序盤では、守峰的期待は、いかにも悪役的な表情の天野さんアーサー王と窪寺さんガヴェインが、共犯者的愛憎劇を繰り広げてくれたら…と希望していたのだと思うのですが。2幕クライマックス直前の天野さんアーサー王登場のシーンで、アーサー王に対する“愛情”に限りなく近い感情が炸裂したのは。
「あなたを囲む騎士であることを、今日ほど誇りに思ったことはありません!」
…田中良子さんカイリ!!
魂震えました!!!
そして、この瞬間になって、ここに来るまでに自分が田中さんカイリにハマりまくっていたことに気づいた自分…(遅っ!!)
かつて、『機動戦士ガンダムW』というアニメ作品のキャラクターで自分は誰が好きなのかな、と考えたとき、主人公5人の中ではカトルかな、でも5人に限らなければゼクズかな…と思考が動いた果てに、結局一番好きなのは女性士官のノインだと気づき、ああ(セラムンでウラヌス/はるかにココロを奪われたきり)自分はもう一生男性キャラクターにはハマれないのかも…と愕然とした経験をもつ自分…
グィネヴィア妃との関係が、ちょっと『ガンダムW』のリリーナとノインの関係を、ガヴェインとの関係が、『W』でのゼクスとノインの関係をそれぞれ思わせる、凛々しく強く、しかも女性として魅力的なカイリに、魅かれないワケがないと、なぜもっと早くに気づかないのかと…
田中さんカイリの凛とした敬愛が天野さんアーサー王に向けられたことは、爆発的にしあわせ!!!
…ちなみに、公演直後、久しぶりに会ったお友達に“カイリは守峰さんがハマりそうなキャラクターだよね”と言われ、やっぱ気づくの遅いのは自分だけじゃん! と、恥じ入りました…(笑)。
天野さんが好きだってことも、天野さんに出会った次の日にお友達に指摘され、いったんは“違います!”などと言っていた自分らしいといえば自分らしい…。
【愛はどの辺に…? ややこしい三角形=(アーサー、ランスロット、グィネヴィア)】
クライマックス、グィネヴィア妃を賭けてアーサーとランスロットが対決するシーン。うれしそぉ〜うに「やっと3人だ!」というアーサー王の“愛情”の大きさは、“グィネヴィア>ランスロット”というより、その時点では無邪気に“グィネヴィア=ランスロット”という感じ。
「ガキの頃からな!」というアーサーの言葉から感じられるアーサーとランスロットの長く続いた関係の重み、ランスロットと剣を交えるシーンの情念のほとばしりを見てしまうと、むしろ“ランスロット>グィネヴィア”なんじゃあ、という気がひしひしと…
ランスロットはランスロットで、里緒はグィネヴィア妃を見て“ランスロットが愛していたのはこのひとだ”と断言しているものの、ランスロット自身はグィネヴィア妃を愛しているという雰囲気のシーンはなく…グィネヴィア妃を命懸けで助けているシーンは多々あっても、グィネヴィア妃を安全なところに連れて行ったら自分は死ぬつもり、というなら、グィネヴィア妃を愛しているんだかアーサー王を愛しているんだか客観的には判別つかず…
グィネヴィア妃が少女のように可憐で、あまり男女の情欲がどーのこーのというキャラには見えない分、アーサーとランスロットの間の濃密さが際立って、この三角形って一体…と(笑)。
【王子様は大きくなって、王様になりました。カーテンコールの後】
カーテンコール、最後の御挨拶は井上和彦さんが、御来場のお礼と千秋楽まで頑張る旨の、オーソドックスな御挨拶。終わると、舞台の両端の方から、舞台奥の扉へと退場。
みなさんさくさく小走りに退場して行かれる中、天野さんアーサー王は、舞台の上に残ろうとするような感じで、何かしようとしてるのかな、いや、そんな雰囲気でもないな…と思っていたら。
天野さんアーサー王は、大桑さんグィネヴィア妃が自分の横に来るまで振り返って待っていて、そして寄り添うように二人並んで退場!
もう9年近く前、99年5月のセラミュファン感謝イベントで、お客さんをステージに上げるコーナーで、3歳の小さなお友達(女の子)がステージに上がるとき、白い手袋の手を下から差し出して小さなお友達の手をのせ、夢のようにきれいなエスコートをごく自然にみせていた“王子様”天野さん。
そんなしぐさを素で自然にやっちゃう“王子様”が、おおきくなって、あたりまえのようにお妃様をエスコートする優しい“王様”になったのを見られたような気がして、ほのぼのとしあわせなキモチに。
天野さんアーサー王、最後の最後まで素敵でした!