2nd February, 2008 Matinee
2月2日(土)13:00、観劇2回目という回は、天野さんアーサー王には関係のない現代シーンの鑑賞に良いタイミング。現代シーン鑑賞回。
叶っていた、いくつもの夢
叶っていた、いくつもの夢
初回はアーサー王がどこでどう出てくるのか、ということに関心が集中して、現世サイドはあまり身を入れて観られないし、回数を重ねると今度は天野さんアーサー王と関係ないシーンは脳内圧縮されて(どういう仕組みなのかわからないのですが、どの舞台でも、回数を重ねるほどお気に入り人物の登場比率が増大していくような気がするのです!)、あまり見えなくなってくるので…
というわけで、ちょっと現世シーンに関するコメント多め(…といっても、タカがしれているのですが!)な、2回目レポ。
…といいつつも、天野さんアーサー王で“実現した”と感じられた天野さんに関するいくつもの“夢”、天野さんアーサー王の殺陣と、やっぱり天野さんアーサー王中心!
【セラムンは女の子のカタログ。里緒と友人達】
初日は平面的に“3人組”と見てしまった嘉陽さん里緒、折井さん友子、桜川さん早苗ですが、『美少女戦士セーラームーン』(細かくいうと、コミックス版設定でなく、アニメ&ミュージカル設定の)でいうと、折井さん友子はレイちゃんポジション、桜川早苗は亜美ちゃんポジション、と思うと、すとんと落ち着き。嘉陽さん里緒は、ランスロットを救うときの姿はまさに“うさぎちゃん”なのですが、1に経済、2に経済…とか、ランスロットを30万で学校に売り払うあたりとかは、ゲンキンな美奈子ちゃんという感じ(笑)。いずれにせよ可愛い!
そんな可愛い女の子達のスカートは、ダンスで回るたびに翻るように設計されているセラミュ衣裳と違い、素材的にひるがえらないモノ。
それ以上に衝撃的だったのが、里緒達ががっちり太ももぐらいまでの長さの黒のボトムをはいていること!
このボトム、本来はスカートから見えないようにたくしあげているのか、学校の先生達が里緒の家に行くシーンでは、突然見えなくなっていたり(里緒がソファにもたれかかったりすると、太ももがかなりあらわに…)、なかなか扱いがムズカシイ模様。
…ブルマサイズで完全に見せること前提のセラミュの“ツン”と、それを着用していた勇者なセーラー戦士達の偉大さを再認識しました!
【王らしさ。天野さんアーサー王の声】
初日は、他の騎士達とは異質な、重厚感のある殺陣に最も“王”らしさを感じた天野さんアーサー王。この回では、最初に声を聞けるシーン、一堂に会した円卓の騎士達への「ごくろうであった!」を第一声とする、ローマに出陣しようとする騎士達に檄を飛ばすシーンの声のいい響きに、“王”を感じました!
このシーンで“王らしい”と思わせると、後のシーンの全てに影響、という感じ。
毎回、頑張ってほしいところです!
騎士達に檄を飛ばす声の勢いから一転、ケイ卿に「あなたは王妃を…」と問われての「もちろん、愛しているさ」。
この声も、初日より深い響きに感じ。
【男装の麗人(?)パート2(吉田友一さんランスロットをカウントすると、パート3)。稔くん】
男装の麗人(?)といえば、秋山奈々さん稔くんもちょっとイイ感じ。吉田さんランスロットとのアイコンタクトがお気に入り。
(里緒ちゃんよりふっくらした胸元がマニア受けしそう…というのは、黙っておくべし【笑】)
【大人のギャグ。先生ギャグの不思議な因縁】
今回ちょっと残念なのが、先生方のギャグがわからないこと!小久保先生の“カツラ”と“クロマニヨン”以外のギャグ全てと(フンイキの面白さ重視言って下さっているので、詳細聞き取れなかったりも)、高橋先生の“夢はフリーダム フリーダム シャボンのようだね”。
笑っているのは大人の女性で、“カツラ”のような、幼児でも笑えるギャグしかわからない自分、ジェラシーです…
でも、高橋先生の“夢はフリーダム フリーダム”は、その後検索で、光GENJIの「スターライト」という曲の歌詞と判明。
その“光GENJI”は、天野さんが1999年に出演の『ヤマダ一家の辛抱』で、雛形あきこさん演じる山田家長女・直子のお相手となる“カレー男”荒太を演じていらした諸星和己さんがアイドル時代に所属していたグループ!!
『愛のうた!』御共演の御縁で、雛形あきこさんから天野さんに立派なスタンド花を頂いたこの公演でそういうネタが出てくるのも、なんだか不思議な感じです。
【これはわかります(笑)。ランスロットTシャツ】
2回目は初回より舞台に近い席だったので、里緒が“生活に疲れた感じならまかせて!”とランスロットに着せたTシャツの文字まで読めました。原作ではアニメの女の子の絵がプリントされているTシャツでしたが、舞台版では黒字に赤と白で『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブルの“認めたくないものだな。自分自身の若さ故の過ちと言うものを”。
…若手俳優さんでも、ガンダムに凝りまくっている方は多いようなので、このTシャツ、(着用するかは別として)欲しがる人も多いのでは…? と思ってしまった自分、ダメですか?
ものすごくたくさんの作品がある“ガンダム”シリーズ、井上和彦さんも当然御参加。
テレビシリーズ第2弾の『機動戦士Zガンダム』で、女性のような名前の主人公に向かってうっかり「なんだ、男か」と言ってしまったがゆえに(?)、次々と不幸に見舞われる軍人、ジェリド・メサ役で御出演。
このあたりもなんだか不思議感覚…(笑)
【舞台の華!ハプニング対応 吉田さんランスロットのリーチ】
里緒の学校に編入したランスロットの人気にキレた西山さん結城が、「お前の居場所なんかない!」と、カードを床に叩きつけるシーン。…叩きつけたカードは、舞台の下に!!
かなり“エマージェンシー!”な事態ですが、西山さんはなすすべもなく退場(初舞台の西山さんには、かなり過酷なシチュエーション!)。
そして、続くシーンで、そのカードを手に取らなければならない吉田さんランスロット。
…舞台の上からかがみ込んで舞台下の床に手を伸ばし、カードを拾い上げ!
ステージが低いシアターサンモールだったからこその大ワザですが(サンシャイン劇場ならアウト)、それにしても吉田さんの腕のリーチの長さに驚愕!
レアなシーンを観られて、貴重でした!
【天野さんアーサー王のマント。第1幕エンディング】
初回のレポで、『となりの守護神』第1幕には、登場人物達がその関係を示すように次々と行き交うオープニング(オープニング曲:arp『桜』 【arp公式:Discography】の 1st ALBUM『Everything is Beautiful』のところから視聴できます)があると書きましたが、第1幕にはエンディングも。そのエンディング、“王の出口”とでもいうべき、上手の高いところにある出入り口の前で見返り姿を見せていたアーサー王が、“王の出口”にはけていくとき、マントのすそを軽くはねあげていく仕草が、細かくツボ。
公演期間中、天野さんマントさばきうまいよねー、というお友達の声を聞いて、そうかー、と思いましたが…
セラミュ『かぐや島伝説』春夏、本公演だけで55ステージでタキシード仮面としてマントをひるがえしていた経験はダテじゃないと思いました!
(タキシード仮面はマントが重要! という証拠に、原史奈さんのコーナーがある雑誌に、天野さんたきしーどかめん様、稽古着にマントだけ着けている[かなり不思議な光景【笑】]稽古場写真があったり…)
【ムードのありか。吉田さんランスロット vs 窪寺さんガヴェイン】
原作第1巻のクライマックスにあたる、ランスロットと結城の決闘シーン。「里緒! 出てきてくれ!」と里緒への想いをランスロットが訴えるラヴ最高潮のシーン、吉田さんランスロットは完全に割れた声で、押して押して押しまくる!!
ものすごく直球で、力まかせで、ロマンティック度・色気度・ムーディー度は低めで清潔感の塊、それが“根性”“体育会系”吉田さんランスロットの愛すべき持ち味。
対して、天野さんアーサー王の第2幕最初の登場シーンでの窪寺さんガヴェイン。
ランスロットを討つ、という窪寺さんガヴェインに天野さんアーサー王が「お前にできるのか」と問う、それに答えての。
「それができるのはこの国で、私とあなただけ」
…別にラヴ関係のシーンでもなんでもないのに、“誘惑”“秘密”“背徳”といった言葉が浮かぶ、窪寺さんガヴェインの艶のある声。
このあたりのさかさま感が、舞台『となりの守護神』の、ひそかな魅力…!?
【さかさまといえば。天野さんアーサー王の爽やかな空虚】
姉・イスターシャに「(グィネヴィアを)もう解放してあげなさい」と言われての天野さんアーサー王。「できることなら、とっくにそうしています」
微かな笑みとともに、口調は、一見とっても爽やか!
…でもそれが、アーサー王の中にある空虚を際立たせるという、複雑ワザ。
【声の魅力。井上和彦さんマーリン登場】
第2幕で、里緒達に“カードを燃やす”とおどされて、扉の奥から登場した井上和彦さん大魔導師マーリン。思いっきりコミカルな声での「こんなの初めてだッ!」に、劇場大ウケ!
その後もコミカルな声を発するごとに、劇場を笑いで揺らす偉大なる井上和彦さん、改めて声の魅力をみせつけてくださいます。
そういう実感の後、天野さんアーサー王が円卓の騎士達に発する「ごくろうであった!」が見事に響くと、うれしさ倍増。
【王の剣。天野さんアーサー王の殺陣、その1】
初日に天野さんアーサー王に最も“王”を感じた、ヘクターと剣を交える、天野さんアーサー王最初の殺陣。最初は剣を抜ききらずにヘクターを退けたあの一撃に象徴されるように、アーサー王の剣は、たやすくは抜かない、むやみに振り回さない、肘で撃つ等剣を使わない生身の攻撃を多用…と、“剣を使わない”ところに“王の剣”の重さが(やっぱり『椿三十郎』の“本当にいい刀は鞘に入っている”に通じる精神かも)。
剣を提げているときは、ぶらさげているように軽く握っていて、いざ剣を振るうときはその一撃が重く威力がありそうに見える、そのメリハリも、天野さんアーサー王の剣。
飾りや見世物じゃない、実用の剣。
【出入り!! ランスロット討伐】
「これよりランスロットの討伐を命ずる!」な、天野さんアーサー王。オールバックの髪型、強面系メイク、この回はちょっと巻き舌だったかもしれない檄…といったもろもろで、思い浮かんだ言葉は“出入り”。
…任侠系の世界!
(そういえば【PLATINUM JUNON】では“BOYS最新レポート”として“天野浩成くん出演舞台『となりの守護神(ガーディアン)』ゲネプロレポート”という天野さんに焦点をあてた3頁ものの記事を掲載してくださっているのですが、そこでの紹介は“天野くんは舞台のオリジナルキャラクターで、ランスロットが生きる中世の国を取り仕切るアーサー王を演じます。”…“取り仕切る”というとなんとなく、任侠系かマフィアかというフンイキです…【笑】)
天野さんが『本気!』シリーズの九くんや五郎といった“若い衆”役を演じていた20歳ちょっとくらいの頃は、30歳ぐらいになったら、小さな組のトップ(本気さんのように!)を演じたりするようになるのかな…と思ってました。
その後会社が変わって、任侠系への出演機会はなさそう…という状況になっても、たとえば【Wanna be FREE! 東京ガール】での芸能事務所社長役などを観るにつけ、今任侠系に出たら、どれぐらいの地位になるのかな…などと考えたり。
この“ランスロット討伐”が“出入り”なら、天野さんアーサー王は間違いなくトップ、しかも全国レベルの組織の! と思うと、楽しくてたまらず!
【王冠。大桑マイミさんグィネヴィア妃】
大桑マイミさんグィネヴィア妃、“でかっ!”という感じではないのに、すらりと背が高いです!ヒールのある靴をはいているにしても、嘉陽さん里緒ちゃんとの身長差が。
そんな背の高い大桑さんグィネヴィア妃の頭の上には、さらに髪にボリュームをもたせたふくらみが。
天野さんアーサー王の頭の上にも、大桑さんグィネヴィア妃以上に大きく髪を立てたふくらみがあって、多分王冠をそれで表現しているのかなあと。
天野さんアーサー王のそれはごつくちょっとコワイ感じですが、大桑さんグィネヴィア妃のは可憐!
【セリフの力。井上さんマーリンと天野さんアーサー王】
井上さんマーリンとのシーンは、大ベテランで数々の名キャラクターを演じてきた井上和彦さんの胸を借りての天野さんアーサー王が観られる、至福のシーン。演技ももちろん見応えがありますが、セリフそのものがツボどころいっぱい!
大魔導師マーリンの「お前ほどの王が、さみしい顔を見せるんだな」というセリフ。
“お前ほどの王”という言葉に見える、王位の行方を左右するほどの大魔導師も認めるアーサーの王としての器量の大きさ、“さみしい顔”という言葉が漂わせる、無防備さ、せつなさ、人恋しさとが隣り合って、たまらなく。
それを聞いてのアーサー王の「ぬかせ」に対しての、大魔導師マーリンの「国を統一すべき男が、情を持っていて何が悪い」。
本当は人としての情にあふれているのに、王としての立場ゆえにそれを必要以上に抑えこんでつっぱっているアーサー王の姿が、王っぽくない“ぬかせ”という言葉と口調とともに見えてきて。
「王ではない。円卓の騎士の一人だ。私が望んだのは、その場所だ。」
アーサー王が初めて自分の心の内を語ったセリフ。
このセリフは劇中のさまざまなシーンに効いてくるセリフで、2回目観劇の時点では、その全体像が見えていない自分…
「結局、お前が選んだのもランスロットだった。違うか。だからお前はあいつを生かした。お前の力でな」
アーサー王のこの言葉の意味についても、観劇を重ねるにつれて、深く、深く…
このときは、階段に座り込む天野さんアーサー王の、どこか可愛らしいような姿に、めずらしく心をさらけだすアーサー王の無防備さをせつなく感じるのが主。
マーリンの「私はどちらも選んでいない。昔から一度もな。選ぶのは、お前達だ。」
“どちらも選んでいない。昔から”という言葉で、アーサーとランスロットが並び立ってきた長い長い時間が語られ、最後の対決を深いものに。
“選ぶのは、お前達だ。”という、おごそかな響きのある言葉には、二人を見守るマーリンの視線、数々の選択をして現在を生み出してきた二人のこれまで、そしてこれからの二人の運命を“選べ”というメッセージがこめられていて。
決して長くないセリフに、過去と未来が交錯するようなスケール感が。
アーサー王の「ならば話が早い。休戦の丘をけがすぞ」。
マーリンの「お前は決めたんだな。ならば会うのは、ここで最後にしよう。」
ランスロットとの最後の戦いが、ランスロットと共にずっと頼りにしてきた大魔導師との訣別までもを意味する、というのは、ものすごく重く。
王であるアーサーにとっては、単なるグィネヴィアをめぐっての三角関係の決着ではすまないのだと。
「聞かせろ、マーリン。俺のカードは、何と出ている」というアーサーの問い。
答えないマーリンに対しての、朗らかな表情と声を作っての「なじみだ。それぐらい教えろ」。
「お前のカードは」と、マーリンは言葉を切って。
「…キングだよ。最初からな」
このマーリンの言葉は“宿命”そのもの、という響き。
それを告げられた天野さんアーサー王の、泣きそうなぐらいの顔。
「やはり…オレの大嫌いなカードだ…!」
そこから、その感情が乗り移ったような殺陣に…。
【人を殺している剣。天野さんアーサー王の殺陣、その2】
マーリンの宣告を聞いての泣きそうな表情で、王の命を狙おうと取り囲む黒衣のコロス(アンサンブル)剣士にゆっくりと背中を向ける天野さんアーサー王。襲いかかる剣士達の剣を、首を左右に軽く振るだけでよけるところが、対ヘクター戦の“たやすくは抜かない”殺陣をすでに観ているだけに、とてつもなく強そう!
そこからゆっくりと振り返り、たやすくは抜かない剣を抜き放った天野さんアーサー王には、鬼気迫るものが。
ほとんど体は動かさず、腕の動きだけでばっさり斬る(腕を振っても体の軸がぶれない!)所作も迫力なのですが…
そのあと、人を斬った剣を、そこについた血をふるい落とすように軽くひと振りする動きが…
…怖っ!!!
【2005年1月28日 『義経と弁慶』(史跡めぐり)公開撮影】での、『義経と弁慶』のメイキング映像に入れる、キャストさん達が“楽しくチャンバラごっこをやっています”という風景を撮影しているときはとってもカワイイ感じなのに、待っている間、、しゃがみこんで刀の向きをぱっぱっと変えながら握り直す動作を繰り返したり、立ち姿で垂らした腕で刀を軽く振ってみせたりするしぐさがむちゃむちゃ怖かった、あのときの印象がよみがえり!!
…今回の殺陣、そういう天野さんの本来持っている迫力を十二分に生かしたものなんだなあと。
そして、映画村でそんな天野さんを観ていて思った“天野さんが刀を振るって活躍されるような作品(時代劇でも、ダークヒーロー系!)、観てみたいなあ…”という願いが、この作品でかなっていることに、わきおこる幸福感。
そう、天野さんアーサー王の剣は、人を殺してきた剣。
おびただしい人数の命を奪ってきた、きれいごとではすまない剣。
アーサー王伝説では、アーサー王は、魔術師マーリンが用意した、岩に刺さった剣を抜くことで、自らの王としての正統性を証明し、王位に着いたとされています。
でも、天野さんアーサー王の殺陣を観ていると、アーサー王が“王”であり続けたのは、ごくシンプルに“強かったから”ではないか…そんなことも考えました。
続く窪寺さんガヴェインも、首を左右に動かして、軽く敵の剣をよける動きから。
殺陣の流れは天野さんアーサー王と近いのですが、窪寺さんガヴェインの立ち回りは派手! 華やか!
さらに続く田中さんカイリにも、首を左右に動かして、軽く敵の剣をよける動き。
あざやかな蹴りがかっこよく!
この殺陣三連続は、超みどころ!!
そして観る回を重ねるごとに、さまざまな感情を呼び起こしてくれる名シーン。
【何度でも観たい! 大人愛シーン】
窪寺さんガヴェインを伴ってランスロットとの対決に赴こうとする天野さんアーサー王を、田中さんカイリが止めるシーン。実はカイリに言われずとも全てを知っていたアーサー王が、ランスロットとアーサー王を陥れようとして奸臣に堕ちたガヴェインを自ら討とうとするカイリの背中を、その想いもわかっていて後押ししつつ、自らは一人でランスロットとの戦いに赴くシーン。
何度でも観たい、大人の愛のシーン。
そこで田中良子さんカイリが叫ぶ、『となりの守護神』の中でも一番うれしいかもしれないぐらい好きなセリフ「あなたを囲む騎士であることを、今日ほど誇りに思ったことはありません!!」に応えての天野さんアーサー王の「勝ってから、それは言え」。
その快活な声の表情からも、きっといい笑顔で言われているんだろうな、と思っていましたが…
それを言う天野さんアーサー王にかなり近い、下手側前方席で実際にその笑顔を実際に見て、明るく輝くような全開の笑顔に感動!
“王”という立場に飾られることも制約されることもないアーサー王が、人間としてとても魅力のある、気持ちのいい人なんだ、ということが、その一瞬で伝わるシーンで、ますます天野さんアーサー王が好きになり。
こんな“大人”のシーンで、一番器の大きな人物をあざやかに演じている天野さん。
いつの日か、大魔導師マーリンのような、“もっと大人”の役を演じている姿も観たい、という夢も生まれました(何十年でも待ってます!)。
【大技も繰り出し!対ランスロット戦 天野さんアーサー王の殺陣、その3】
アーサー王への“忠義”を示すランスロットに対し、「そういう生き方を、いつも目の前でしてきた。私の目の前で、ガキの頃からずっとだ」という天野さんアーサー王。静かに怒気をはらんだようなような口調は、アーサー王が大嫌いな“王”であることをアーサー王に見せつけるような態度を、ランスロットがし続けたから…本当は、もっと違ったランスロットとの関係を、アーサー王は望んでいたのに…? 等、考えさせるもの。
そしてそれは、続くセリフにしっかりと生き!
「聞け! グィネヴィア。ここへ来たのは王ではなく、一人の男としてだ。
お前を賭けてこの場に来たんだ。
連れて行きたいなら連れて行け。命を賭けてそれを阻止しよう。」
やはりここにも“王ではなく”が。
自分を斬って行け、というアーサー王に、アーサー王を“王”としてしか見ないランスロットも「それしかないなら」と心を動かしかけてたときの天野さんアーサー。
「すまんな。黙って渡すほどの、惚れ方はしてないんでな」
…“王”でないアーサーが、こんなに男として、人間として魅力的なところをみると、“王”ではない生き方を希うアーサーの気持ちが、より説得力をもつような。
そして最後の殺陣、対ランスロット戦。
これまで“剣を振らない、使わない”が特徴だった“王の剣”が、“王”の立場をかなぐり捨てたこの戦いでは、途端に動きが大きくなり!
黒衣のマントを翻し、蹴りまで繰り出すその力感も、また迫力!(動いていても重厚!)
斬った後、剣に手を添える(このあたり、完全に西洋の両刃の“剣”ではなく、日本刀的しぐさ)しぐさが、なんとも凄みがあって怖く。
…その一方で、添えられた天野さんアーサー王の手は意外なほど華奢で小さく、こんな小さな手が、大剣を振るっているようなあの重量感のある剣技を…と思うと、せつないような気持ちにもなったり。
【倒れてからも、華。アーサー王のラストシーン】
里緒の祈りパワーで、『となりの守護神』幕開きで示された、アーサー王がランスロットを倒す運命が変わり、ランスロットがアーサー王を倒してその胸元に剣を突きつけたシーン。以前、『Wanna be FREE! 東京ガール』で共演した上山竜司さんやエイベックスの松本寛也さんが出演した【ミュージカル『エア・ギア』(2007年1月)】を観たときのこと。
上山さん演じる王子様的雰囲気たっぷりの敵役“ロミオ”が、松本さん演じるジュリエットの裏切りで倒され、舞台の中心には松本さんジュリエットがいるとき、舞台の端で傷ついた身をチームの仲間達に支えられてぐったりした様子をみせている上山ロミオが、動きはないもののしっかり“ロミオ”な雰囲気で、動いているときに勝るとも劣らない色気をかもしだしていたのに、ものすごく感心したことが。
そして、今、吉田さんランスロットに逆転され、倒れたアーサー王。
吉田さんランスロットに向かって「よくやった!」と言い放つ姿。
…倒れていても、あの重厚で威圧感ある剣を振るう“剣豪”的な力強さも、“王”としての風格も、男としての色気も備わって、なかなかよいのでは?
“王”の威圧感でアーサー王の全身を覆っていたマントがはだけて、真っ白いボトムと黒のブーツの脚が露になっているところは、「王としてではなく、一人の騎士としてそれ(ランスロットがアーサーを斬ること)を望もう」という言葉にもしっくり。
アーサー王にとどめを刺そうとするランスロットをグィネヴィア妃が「やめて!」と止めた瞬間、ランスロットが自らの身に剣を突き立てた瞬間のアーサー王の表情が観たく!(下手側からはダメ!)
驚いたような気配、息を飲んでみつめる気配が、後姿からも伝わってくるので…!
【どうしてそんなに困ったカオを、天野さん…? 御挨拶は嘉陽愛子さん】
全10公演の2公演め、御挨拶は嘉陽愛子さん。どうやら最後の御挨拶は、日替わりの模様。
嘉陽さん「全10公演の中ではスタートしたばかりですが、1ヶ月稽古してきて、この環境でステージに立てることを、幸せに思っています。
今日、こんなにたくさんの人に出会えて、この作品を通して、みなさんと心がひとつになれたらいいなと思っています。
千秋楽まで頑張りますので、皆様、応援よろしくお願いします!」
…と、はきはきした口調で、心の入った立派な御挨拶!
そして、嘉陽さんの「本日はどうも!」
皆さん「ありがとうございました!」でシメなのですが…
嘉陽さんが立派な御挨拶をしていると、天野さんがなんらか困〜ったカオをしていたのが(笑)。
窪寺さんと何か話したりもしていたようですが、御自分の挨拶の番が心配になっちゃったとか?
【ハッピーエンドの続き。天野さんアーサー王 & 大桑さんグィネヴィア妃の退場】
そして、退場。初日にも“いいな”と思いましたが、天野さんアーサー王、必ず大桑さんグィネヴィア妃を振り返って待って、一緒に並んで退場。
劇中では、アーサー王とグィネヴィア妃の関係修復に希望をもたせるような終わり方で、二人の結末ははっきりとは描かれていませんでしたが、カーテンコールでのお二人を観ていると、ハッピーエンドの続きを観ているようで、しあわせな気持ちで劇場を後にできます!